BIG STAR / SEPTEMBER GURLS - STAX504 U.S 1973 45RPM

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外の世界36℃、エンジンルーム50℃、10万トン級の船のエンジンルームのチンチンの熱さのなかで(しかも岸壁についたばかり)ボア径65の2シリンダーを、二日徹夜オーバーホールして帰ってきた疲労感と虚脱感が家に帰ると襲ってきて、水のシャワーを浴びたあとビールを開け、1枚のシングルレコードに針を落とした瞬間に世界が変わり、疲労困憊している窓に映る自分が明け方の朝に踊りだせる曲があるとしたら、それはいったいどんな曲なのだろうか。そしてそんな音楽があるのだろうか?

自分がレコードを買い続ける理由は「死ぬまでに、それ(ら)を知りたいから」。ただそれだけ。

アレックスチルトンの熱狂的なファンの友人がいた。今思えば彼は相当かわっていたけれど、彼の部屋に行くとチルトンの良さを嬉しそうにレコードをかけながら話している彼の姿が脳裏に焼き付いている。

アレックスチルトンが結成したバンドBIG STAR。彼らのセカンドアルバム RADIO CITY にこの曲は収録されているが、1973年にスタックスからでていたビッグスターのシングルレコード。これこそが夢にまでみたレコードだった。

1枚のシングルレコードまたはLPレコードに信じられないお金をかけれるのは金持ちだけだという人もいる。それはある意味で正しいが、間違っている。お金持ちでない彼ら(わたし)が、なぜレコードを追い続けるかというと、それは自分にとって夢のような音楽を探し続けていて、他のことにはお金をほとんどかけないからだ。

※ブレッドミラノが書いた名作「ビニールジャンキーズ」(河出書房新社)では、そんな人間を理解してくれる、女性は、どの国でもほとんどいないらしく、「ある特定のものにこだわる」というのは特に男性に強い性質らしい。

BIG STAR / SEPTEMBER GURLS STAX504 U.S 1973

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