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ばねとりこ (Banetoriko) “片の轍 (Kata No Wadachi)
以前は米国LAで活動していたばねとりこ(Banetoriko)こと植田珠來さんが大阪に帰郷して、日本の地で新たに活動を始めたことは、ご存知の方もいるだろう。実は、私は、ばねとりこの大ファンで、コロナ禍直前にLAでThe HaterことG.X. Jupitter-Larsenと一緒に3人で会っています。その前後頃から、ばねとりこさんのことはジワジワと日本のノイズ・リスナーの耳には入っていたと思われます。実際、私がばねとりこさんの音を聴いたのは、2014年に岐阜のお化け工房から出たSalmonellaくんとのスプリットCD “Kagefumi”だったと記憶しています。それから、リリースの度に買ったり、交換したりして、ばねとりこさんの「妖怪ノイズ」を楽しんできました。しかしながら、実際にばねとりこさんのライブ・サウンドを生で体験したのは、2022年5月21日に落合Soupで対バンした時でした。ばねとりこさんは、通常、Banetekと言うリールが付いた、金属の摩擦音或いは軋み音を発する自作楽器を使っているのですが、実際のライブでは意外とマルチエフェクターのようなゴツい機材やその他小物等も交えて演奏するのに、ちょっと驚いたものでした。更にばねとりこさんの演奏や曲には、モチーフになる妖怪があり、特に生で観た演奏では、正に妖怪が「憑依」しているかのようなパフォーマンス性もあって、大変驚かされました。そんなばねとりこさんのLPが、親日の仏レーベルAn’archives出たとのことで、早速、入手しました。と、その前に、ばねとりこさんのバイオグラフィーを少し書いておきます。植田さんが、ばねとりこを名乗って、LAで活動し始めたのが2011年で、ずっとLAを中心に活動しています。その後、家庭の事情などで、2021年に日本(多分、生まれ故郷は奈良だと思いました)に帰国して、大阪を中心に活動をしています。そして、日本でも、マイペースながらも、類を見ない演奏で、ファンを増やしていきます。今回は初のVinylでのリリースとなりましたが、そのまえにも、2017年に、坂口卓也氏のレーベルNeurecより”Beside the Sluice”を、2022年より”Yorioto Hogiokuri ”等をリリースしています。他にも、カセット作品やCDR作品も出していますが、どの作品も1曲に1ついての「妖怪 (この概念は海外では分かり難いかも?)」をモチーフとして、自作楽器を中心に様々な「背景」の音を混ぜ込み、作品化してきています。ばねとりこさんの音は、海外アーティストと比較すると、The New Blockaders, Organum, Ferial Confine等に近いかも知れませんし、音の使い方は1980年代のHands ToやJohn Hudakなんかも想起するかも知れませんが、そのコアな部分は大きく異なります。それは、ばねとりこさんが日本人であること、「妖怪」と言う極めて日本的な存在を知っていることと関係しているのかもしれませんが、金属質な音自体の即物性よりも、そんな音を通して現前化する「何か」に焦点を当てていることの違いかも知れないですね。また、ここら辺のコンセプトについては、ばねとりこさんから直接聞いてみたいです。 それで、本作品”片の轍”では、片輪車と輪入道と言う2人の妖怪がそれぞれ取り上げられており、A面には、片輪車の懸け歌(A1)と返し歌(A2)の2曲が、B面には輪入道の1曲が収められています。これらの妖怪のことを知らなくても、充分に「ばねとりこ」ワールドに没入できますので、ご安心を!また、本作品の制作には2022年〜2023年と時間を充分に掛けていますので、正に精魂込めた力作と言って良いでしょう。それでは、本作品の各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “片輪車の懸け歌/Katawaguruma Kakeuta”は、不気味な重低音に金属質な軋み音と柔らかな打撃音が絡む曲で、反復する歌の一節(!)も入っており、やがてBenetekの軋み音が多層化しつつ空間を支配していきます。と思っていたら、いきなり終わります。 ★A2 “片輪車の返し歌/Katawaguruma Kaeshiuta”は、Banetekの独特の錆びついたような金属質の軋みを中心に奥張った通奏低音も聴取されます。その後、再び静謐な金属質な軋み音が微音から始まり、微音の歌も入ってきて、多層化していき、またフェイドアウトしていきます。 ★B “輪入道/Wanyudo”は、地響きのような音と低音摩擦音のループらしき音から始まり、段々と後者が空間を支配していき、そこに言葉にならない声が、、、まるで頭の中を掻き乱すようですが、この曲では、更にBanetekの摩擦音の逆回転のような音も入ってきて締めてくれます。 妖怪とは、幽霊や悪霊とも違って、元から異形の存在であり、それぞれに異なる異能力を持っている訳ですが、ばねとりこさんの音楽は、主にBanetekによる異形の摩擦音を組合せることによって、様々な音形態を紡ぎ出していく作業である訳で、向かうベクトルが異なるようにも思えますが、いわゆる「ばねとりこ節」とも言える自作楽器Banetekの金属質の軋み音から様々な表現を可能にしている所に、ばねとりこさんの異能力があるのでは?と思わざるを得ないんです。それによって(特にライブでは)、ある一つの妖怪をモチーフとして多彩な表現を可能にしているのではないかと思います。後、今回、初めて気付いたのですが、ばねとりこさんの歌(と言っても鼻歌のような微かな声?)を聴けたと言うこと。これはライブの時の小物の微音に繋がるような気がしました。また、個人的には、第二期K2時代に散々メタル・ジャンクの演奏(これには、摩擦音も含む)をやってきたことからも、ばねとりこさんの音が私の好みの音でもあると言うことで、全面的に応援したいと思う訳です!そして、ばねとりさんの本領はやはりライブを体験するのが最も良いとも思いますので、一度は観ておいた方がよいですよ。勿論、帯付きのこのアルバムもマスト・アイテムです! [本作品はYouTubeに上がっていないので、落合Soupでのライブ動画を貼っておきます] https://youtu.be/ISkq4oPUk1c?si=vMIPFHjRO-kHs8sb [BandcampのURLは貼っておきます] https://anarchiveslabel.bandcamp.com/album/kata-no-wadachi #Banetoriko #ばねとりこ #KataNoWadachi #片の轍 #An’archives #FirstVinylAlbum #LA-Osaka #Experimental #Yokai-Noise #妖怪ノイズ #Banetek #Self-BuildInstruments #MetalScratch #摩擦音 #軋み音 #歌 #憑依 #TamakiUeda
Experimental / Yokai-Noise An’archives 不明Dr K2
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Self Deconstruction “Wounds”
何故か、惹かれてしまうバンド、通称「セルコン」ことSelf Deconstruction!結成は2010年だそうです。初めて観た時は、男女のツインVoに場違いな程ロリなGと屈強なDrsの4人組で、数年前の「地獄のコミュニケーション」で男性Voが脱退するとアナウンスされた時だと思う。その前に、X(旧Twitter)を始めた頃、Kuzuha (葛葉)さんから、SPKとかの古いノイズ系のカセットを購入したことが、一番初めのコンタクトかなぁ? その後、Kuzuha (G), Kubine (Vo), Jiro (Drs)の3人組としてセルコンは活動を続けていました。私は、1度だけ、落合SoupでChris Goudreauの日本ツアーの3daysが行われた時に、対バンをしたことがありますが、凄い迫力だったと記憶しています。その後、Kubineが脱退し、MarinoがVoで加入しますが、バンドは諸事情によりバラバラになり、Kuzuhaさんだけが、セルコンの看板を背負っている形になって、現在もメン募をしているようです。まあ、そんなこんなで、Kuzuhaさんの日常をFBとかで眺めていたのですが、先日、偶々、Kuzuhaさんが誕生日を迎えられたのをFBで知って、その時に、LPが欲しいと思い、その旨を伝えたら、早速、送ってくれました。Kuzuhaさん、どうも有難うございます。こちらのレコードの発送が遅れてすいませんでした。 それで、今回、入手したアルバム”Wounds”は、単体としては2枚目に当たり、実はこの作品は、アナログ盤の出た2年前の2016年に、CDでBreak The Recordsからリリースされています。そうして、2018年にミルキークリア盤は伊のF.O.A.D. Recordsから、血液赤盤は日本のBreak The Recordsからリリースされています。メンツは、Kuzuha/葛葉 (G), Kubine (Vo), Jiro (Drs)と言うベースレスのトリオです。彼等自身が標榜しているフリースタイル・グラインドコアがたっぷり23曲(A面13曲/B面10曲)詰まっています。ほぼほぼ1分以内の短い曲なので、曲間は良く分かりません。ですので、各曲毎の紹介ではなく、アルバム全体のご紹介をしたいと思います。 A1 “Disaster” (0:38) A2 “Ain't It Fun” (0:27) A3 “Spring's Trend” (0:37) A4 “Pay Up” (0:50) A5 “Dog” (0:28) A6 “Vulture” (0:44) A7 “Our Graves” (0:48) A8 “Dear Weekend” (0:41) A9 “Malice” (0:41) A10 “Psychowhore” (0:30) A11 “Taken For Granted” (0:38) A12 “Deeper” (0:39) A13 “Not For Me” (0:33) B1 “You Deserve” (0:22) B2 “Possession” (0:27) B3 “It Was Rain” (0:14) B4 “No Savior” (0:51) B5 “The Burden” (0:35) B6 “Hazard” (0:47) B7 “Virtue” (0:55) B8 “Force Fed” (0:48) B9 “Mess” (1:29) B10 “Grace Period” (1:25) 私自身、グラインドコアをLPでちゃんと聴くのはほぼほぼ初めてなのですが、ベースレスにも関わらず、音は、結構分厚く、また、タイトな録音にもなっているのに驚きました(Gとかは一部重ねている部分もあるのかな?)。とにかく、曲の中のリフと言うかパタンが殆ど繰り返されない、それこそ1曲の中で次々にリフが繰り出され、テンポすら目まぐるしく変わる演奏は、正しく「フリースタイル」グラインドコアであると確信しました。KuzuhaさんのGのキレが凄くて、何度も聴き直してしまいました。特に、曲間と思われるところの本の一瞬が特に好みです。また、Kubineちゃんのデスヴォイスも様になっています(これって歌詞があるのかな?といつも思ってます)。録音された演奏も迫力があるのですが、これらの曲を作曲し、ライブで演奏する方が大変なのでは?と思ってしまいます。この時期のセルコンは、結構好きだったこともあって、動画はよく観てましたが、アルバムとしての体験は初めてだったので、非常に楽しめました❗️また、Kuzuhaさんには、Self Deconstructionとして活動を復活して欲しいですね! https://youtu.be/noT6f0Acr5c?si=rb9BnLM0agiN1efL [BandcampのURLも貼っておきます] https://foadrecords.bandcamp.com/album/wounds-2 [オマケ: live in Obscene Extreme Fes. 2018] https://youtu.be/aURJlHxmjyQ?si=1FCc4h-Zt89QvSQo #SelfDeconstruction #Wounds #BreakTheRecords #F.O.A.D.Records #SecondFullAlbum #Japanese #GrindCore #FreeStyleGrindCore #PowerViolence #Bassless #Kuzuha #Kubine #Jiro
Grind-Core / Power Violence Break The Records / F.O.A.D. Records 不明Dr K2
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Transient & Bastard Noise / Completed Explosion & Blackohone 666 “s/t”
これは強力なシングルですよ❗️何と、グラインドコアバンドTransientにEric WoodがBastard Noiseとして合体したA面と、大阪のグラインドコア・バンドCompleted Explosionに東京のノイズ・ミュージシャン黒電話666が合体したショートテイクから成るB面と言う内容です。日米ノイズ・コア対決ですね。なお、リリースは米国のTo Live A Lie Recordsです。私はグラインドコア系はそれ程詳しくはないのですが、両面の組合せについて紹介しておきます。先ず、A面ですが、TransientはAdam Wilson (G), Justin Rodda (Drs), Hayden (B), Krysta Martinez (Vo)から成り、今回、A2てはMakiko Suda (Vo)もゲスト出演しています。そして、TransientにBastard NoiseことEric WoodがNoiseで参加しており、A1 “Manipulation Sedan”とA2 “Shame Is The Gremlin”の2曲が収められています。割と重いリズムの曲で、曲の構成もやや複雑で、その中にブラスト・ビートが組み込まれています。そして、特に、曲間には、金切り声のようなEricの電子ノイズが聴取できます。一方、B面には大阪のハードコア・バンドCompleted Explosionが参加しており、メンバーはYasuhito ‘Milk’ Fuchibe (G), Yosuke Ueda (B), Shinya ‘Shin-chan’ Yoshida (Drs), U-Yan (Vo)で、それに加えて、今回は東京のハーシュ・ノイズ・ミュージシャン黒電話666ことKajiwaraがNoiseで合体しており、ショートカットな6曲(B1 “Never Go To The Circus”, B2 “Compensation”, B3 “Plot”, B4 “International Indifference”, B5 “Old Farts”, B6 “Unsightly Scene”)を収めておりますが、曲間は不明瞭でこれら6曲の区別は困難です。そして、こちらの方が、ブラストビート全開で、更に緩急を付けた曲構成になっており、興味深い仕上がりになっています。そのブレイクの部分とかには黒電話666のノイズが効果的に配置されており、更に深い感覚を感じます。どちらもコラボ・ライブをやったりする仲なのでしょうが、共に面白い化学反応が出来ていると思われ、これらのグラインドコア・シーンに疎い私でも楽しめました。見かけたら必聴です❗️ 本作品はYouTubeにも上がっていなかったので、別作品を貼っておきます。 Transient (feat. Bastard Noise) “My Voice” https://youtu.be/sxkNv-UXbks Completed Explosion “S.A.C.E.” https://youtu.be/RCo8xrgJ6Oc #Transient #BastardNoise #CompletedExplosion #Blackphone666 #ToLiveALieRecords #USAvsJapan #GrindCore #HardCore #NoiseCore
Noise-Core To Live A Lie Records 不明Dr K2
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Bastard Noise & Merzbow “Retribution By All Other Creatures”
こちらは、米国Bastard Noiseと日本のノイズ・オリジネーターMerzbowのコラボレーション・スプリット・アルバムです。タイトルからも分かりますが、Bastard NoiseのEric Wood & Anthony Saunders(今回はSaundersも参加)もMerzbowの秋田昌美氏も、皆ヴィーガン/ストレートエッジを実践しているアーティストであり、両者の会合は必然であったと思われます。そして、アルバム・タイトルは「他の全ての生物による報復」で、LP1 A面は”Animals Running Human Factory Farms (動物達が運営する人間牧場)”及びB面は”This Is How Human Waste Rolls (人間の屑共を丸め込むにはこうするんだ)”は、Bastard Noise側のミックスで、2020年の後半1/4 (丁度、コロナ禍の中)に、CAのSun ValleyのSpeed Semen Clove Factoryで作製されています。一方、LP2 C面 “zooNOsISE Pt. 1”とD面”zooNOsISE Pt. 2”はMerzbow側のミックスで、2021年1月に東京のムネミハウスで作製されています。先ず、装丁の素晴らしさに驚きます。しかも、100部限定のクリヤー・スモーク盤です❗️アートワークもバッチリで、しかもそれが、Relapse Recordsからと言う凄さです。それで、内容ですが、どれも素晴らしい出来映えです。LP1A面では1曲のようにも聴く事は出来ますが、実は5曲分、即ち第1章 “Birth Into A World Of Torture/Death”, 第2章 “Embryonic Hunger”, 第3章“The Homo Sapiens’ Devil Playground”, 第4章 “Daily/Nightly Fear And Agony”, 第5章 “Tables Of Human Waste Control Tuned”から成ります。タイトル通りEric(とAnthony)が今まで唱えていた「反人類至上主義」的音楽が詰め込まれています。恐らくここら辺だろうなぁと思う境目はありますが、いつもの不安を醸し出すドローン音に抑制の効いた「人類」に対する呪詛のようなEricのヴォーカルと、恐らくはAnthonyによるけたたましい電子音及びMerzbowによる金属質でラウドな電子ノイズが所々に挿入されており、その結果、よりBastard Noiseらしい荒廃した音風景を現出させています。LP1B面でも、同様の手法でミックスされていますが、こちらは、元々、分割されていない点からか、より空間的アトモスフィアで音の奥行きを感じます。一方、LP2C面及びD面は、Merzbowの秋田氏によるミックスですが、こちらは両面とも、背景にBastard Noiseによる不安を煽るようなアトモスフィリックで不吉なドローン音が流れており、それを破壊するかの様なMerzbow による凶暴な電子ノイズが万華鏡の如く煌めいています。両者ともそれぞれ得意な電子音を用いながらも、見事にコラボしており、その結果は「動物愛護」と言う点に帰結していると思われます。そう言う意味では一つのコンセプチュアルなアルバムとも考えられますので、皆さん、心して聴いて下さい❗️ “Retribution By All Other Creatures”紹介 https://youtu.be/HqBund4ol7s ↓ ↓実際のアルバムはこちら。 ↓ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mH1pnnxEqOpNWh-33SsFH3t-bt1f9IUvU #BastardNoise #Merzbow #RetributionByAllOtherCreatures #RelapseRecords #SplitAlbum #Collaboration #HarshNoise #lNoise #NoiseCore #Experimental #Drone #EricWood #AnthonySaunders #MasamiAkita #AnimalLiberation #Vegan #StreightEdge
Noise / Experimental Relapse Records 不明Dr K2
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Bastard Noise (Man Is The Bastard) “Mantra Of Desperation”
以前にも紹介しましたBastard Noise (その前身Man Is The Bastardも併記されている)の新譜を入手しましたので、紹介します。1997年暮れにグラインド・コア・バンドMan Is The Bastard (以下MITBと表記)は解散しているのですが、今回は何故か併記されています。また、現在のBastard Noiseは、完全にEric Woodのソロユニットとなっているようで、アナログ・オシレーターによるエレクトロニクスと彼のデスヴォイスから成る編成になっております。ここ(十)数年、Ericはヴィーガン/ストレートエッジになっており、肉は勿論、卵なども一切食せず、アルコールもやめています。そんな彼の姿勢は、実は、MITBのコンセプトでもあった「反人類至上主義」を更に実践にまで深め、到達した境地であると推測します。それで、本作品「絶望のマントラ」には、A面は”Conditioned Death Addiction (慣らされた死への欲求)”と題された1曲とB面も”The Rituals Of Living Waste (生ける屑共の儀式)”と題された1曲からなっています。音楽的に、両面共、似ているのは似ているのですが、内容には明瞭な差異があります。A面曲は暗澹たるドローン音に不吉な低音デスヴォイスがまるで回転数を間違ったかのようにうめき、そこにギリギリとした破壊的電子ノイズが襲いかかってくる、まるで何か不吉な映画を観ているような感覚になります。構成もドラマチックで、聴かせてくれます。一方、B面曲は、漂うような電子音(アンビエントと言うには邪悪過ぎる)が流れ、そこに鶏の首を絞めたようなEricのデス・ヴォイスが絡みつき、ふっとした瞬間に、突然暴れ出す高電圧電子音が両側のスピーカーから別々に介入してくる様はまるで、植物怪獣ビオランテが触手を伸ばすが如しでもあります。Ericの世界観が満載で、これは何度も聴き直してしまいます。また歌詞も付いていますので、その内容も理解できると思います。そんなヴァージョンアップしたBastard Noiseの新作アルバムを是非とも聴いて下さい❗️因みに通常の黒盤含めて400部限定です。 本作品はYouTubeに上がってなかったので、直近のライブ動画を貼っておきます(本作品とは全然違います)。 https://youtu.be/lSwIjxvffBU #BastardNoise #MantraOfDesperation #AlimentaryMusic #Noise #ManIsTheBastard #EricWood #Electronics #Analogue #DeathVoice #Dramatic #NoiseCore #MichaelRozon
Noise / Experimental Alimentary Music 不明Dr K2
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Ryoko Ono, Hiroki Ono & Yuko Oshima (学生実験室) “碧山 (Hekizan)”
これは、先日、ライブで知り合った小野浩輝さんとの交換で入手したレコードでありますが、この「学生実験室」と言う名称はちょっと前からSNS上で聞いていたので興味を持っていたのです。この「学生実験室」と言う名称で、Discogsでは違うものが出てきますので、類似品に注意です。それでメンバーは小埜涼子 (Sax), 小野浩輝 (Electronics), 大島祐子 (Drs)から成ります。詳細な情報は殆どありませんが、1998年結成の名古屋のパンドと言うこと、他にこのバンド名でのリリースは無いと言うことです。大島さんのサイトに少しだけでありました。結成当初は、3人でスタジオに入ったりして、ライブもやっていたとのことですが、2000年以降、大島さんが渡仏してからはライブは他のアーティストを誘って時々やっていたようです。そして、2006年に活動ストップ宣言をしています。しかしながら、2014年に、当初のメンバーで学生実験室として録音物を作製しようと言うことになって、2016年にアルバムを1枚出しています。それがこの「碧山」です。バンドは日本ツアーや欧州ツアーを2017-2018年に計画していたみたいですが、本当にやっているのかどうかは確認できませんでした。なお、メンバーの小埜さんは、ドラマーの吉田達也さんのデュオSaxRuinsやインキヤパ/非常階段のT.美川さんのとのデュオなどでも有名な日本屈指のサクソニストでもあります。 それで内容ですが、SaxとDrsだけなら、まあ、よくある即興演奏になるところを、小野さんのelectronicsが加わることで、単なる即興演奏以上のメタ・インプロの如く、異化作用を及ぼしています。また恐らくはミックスやマスタリングを担当したいる小埜さんのポスト・プロダクトしたと思われる部分もあることから、単に即興演奏の実録ではないなぁとも思います。今や、録音の編集も可能になってはいるので、今までの「即興」以上の領域にじわじわと広がって行っている証だと思います。ドレミの音階のあるのにフリーキーに吹かれるSaxとビートを刻まない自由なDrs、それに加えて、色々な音を生成していく電子音、どれもが違う方向を向いている方向は違うのに、出来た音楽に一体感のあるようになっているところは流石だと思います。ここら辺のアイデアは東西の間に位置する名古屋独特の文化と言うか折衷性と言うか、自由度の高い発想だと感じます。いま、名古屋が熱い❗️そう確信させる1枚だと思います。大変面白い音楽なので、是非是非、聴いてみて下さい。新しい「即興演奏」を発見できるでしよう!因みにジャケのアートワークは小埜さんによるものです。またCDもあるので、レコードプレーヤーがなくても、CD、プレーヤーでも聴くことができますよ。 “AAN” https://youtu.be/VAWnFUS-xkg #RyokoOno #HirokiOno #YukoOshima #GakuseiJikkenShitsu #学生実験室 #碧山 #Hekizan #BamBalamRecords #Sax #Drums #Electronics #Improvisation #PostProduction #Nagoya
Experimental music / Improvisation Bam Balam Records 不明。Dr K2
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The New Blockaders & The New Movement “Man's Usefulness Ends Not In Death”
これは掘り出し物。英国の1980年初頭より活動しているTNBことThe New Blockadersと、そのTNBの意思に2015年頃から賛同しているスウェーデンのTNMことThe New Movementほコラボ・アルバムです。今回は、TNBの方は、Richard & Philip D. Rupenus兄弟のデュオで、TNMはKenny JohanssonとTony Erikssonとのデュオでの参加となります。なお、英国のPhil Julianがマスタリングをやっています。TNBについては、以前にバイオグラフィーは書いていますので、そちらを参考ににして下さい。TNMについてバイオグラフィーを少し書いておきます。KennyとTonyがコア・メンバーであるTNMは、Marcel Duchamp, Luigi Russolo 或いはTNBと言った反芸術家によってインスパイアされ、ノスタルジックな感覚を持ちながらも、反芸術の新しい在り方の中から現れている。そのノスタルジーはすぐさま、「無」の哲学へと導かれて、そこで、彼等はTNMの名の下に何かを録音する前に、既に「X宣言」を表明しています。その「X宣言」によると、TNMは「無」の哲学に従い、その武器/手段に寄らず、全てを拒絶し、破壊する立場にあるとのこと。また、その「X宣言」から抜粋すると、「…既に世界は破壊されるべき存在である。…これが、生を拒絶し、死を復活させる理由なのである。」とのことですが、これはTNBのマニフェストと同様な思想の焼き直しのようにも思えますね。そう言う意味では、TNMほTNBの正統な後継者と言うところでしようか? それで、本作品ですが、両面1曲づつの長尺で、曲のタイトルもありません。そして、内容的にもほぼほぼ同様な音感触から成ります。ガラガラと打つかり合い、擦られ、叩き潰されるメタル・ジャンクの音が前面に立っており、何だかTNB単独の曲の様にも聞こえます。寧ろTNMは、その音素材に手をつけず、そのまま最終的に最終コラボ作業を終えたのは?とも考えられる程です。そんな作品なので、TNBファンもTNMファンもすんなり聴けると思います。正しく「無」の哲学ですね。どちらのファンや気になっている方も聴いてみて下さい。ただし、100部限定なので、入力は困難かも知れません。 A “Part I” (15:22) B “Part II” (15:24) 本作品はなかったのでTNB&TNMのライブ動画を! https://youtu.be/8TVrcuOmzMA?si=iRpBY7XzgPgixhBv #TheNewBlockaders #TheNewMovement #Man'sUsefulnessEnd NotInDeath #T.I.C.X. #Noise #Collaboration #Anti-Artists #MetalJunks #HarshNoise #PhilosophyOfNothingness #ManifestoX #RichardRupenus #PhilipDRupenus #KennyJohansson #TonyEriksson #PhilJulian
Noise T.I.C.X. 不明。Dr K2
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Mauthausen Orchestra “Five Years of Slaughters”
これは、伊のPierpaolo ZoppoことMauthausen Orchestra (以下MOと表記)の、1982年〜1985年に録音されていたカセット音源を寄せ集めたセルフ・コンピレーション・アルバムで、The Gerogerigegegeの山之内純太郎氏のレーベルからリリースされたものです。MOについては、前回書いてありますので、そちらを参考にしてください。しかしながら、曲タイトルの付け方が、兎に角、悪趣味過ぎますね。”NecroFellatio”とか”Host Sodomy”とか”Anal Perversions”とか”Murderfuck”とか、読んでるだけで、こっちが赤面しそうですわ。また、カセット音源から、直接、マスタリング無しで元テープを作ったからなのか、音がぺナペナなんですよ。私が初めてMOを聴いたのは、1982,3年頃に出されたコンピ・カセット作品なんですが、この時は、カセットの音圧レベルが尋常じゃない程、ハードコアなシンセ音だったのです。しかしながら、本作品ではその分厚いシンセ音が聴かれず、とても残念です。また、多くの曲を入れようとしたのか、各曲が短く編集されており、絶頂感に達する間もなく、次の曲に移る為、その点でも惜しいです。とまあ文句ばかり言っていても、それぞれの事情はあったと思いますので、仕方ないですが、まあ、単純だけど強烈な電子音はある程度堪能できます。MOのシンセ音の選び方/抽出仕方は卓越しているのがわかります。それと時に混ざってくる、キ○ガイみたいなヴォイスが堪らんですね。彼が今生きていたら、どんなノイズを作り出していたのだろうか?と思うと、何だか、このアルバムの重要性が身にしみます。本作品でも良いので、彼の死を供養すると思って、聴いてみて下さい。 まあ、万人にはお勧めしませんが、、、。 https://youtu.be/YxjpISCjAc4 #MauthausenOrchestra #FiveYearsOfSlaughters #Vis-A-VisAudioArts #PierpaoloZoppo i#PowerElectronics #Noise #SelfCompilation #Sexual #DeadBodyArt
Noise / Power Electronics Vis-A-Vis Audio Arts 不明。Dr K2
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MSBR & Spstic Colon ”Live Electronics At Matsuyama”
皆さん、MSBRこと田野幸治さんのことを覚えていますか?1990年代初頭から2005年まで活発に活動していた日本のノイズシーンにおいて重要な人物です。MSBRとして音楽活動を、また雑誌「電子雑音」の編集長として日本におけるノイズ:ミュージックの啓蒙に尽力した方です。更にショップ「デンザツ・コム」も運営していました。彼が、まさかの大腸癌で夭折したのは2005年夏でした。44歳と言う若さです。個人的にも友人であったので、大変ショックでした。そこで、今回は、日本のMSBRと米国のSpastic Colonのライブ音源のスプリット盤を紹介します。MSBRはMolten Salt Breeder Reactorの略で、彼が松山にいる時に、インスタレーションとして展示した作品の名前でもあります。その頃は、美術家武智さんと共に活動していましたが、やがて活動の拠点を東京に移し、脱サラ(彼は元々エンジニアでした)して、国内外のライブは元より、旬なノイズ・アーティストの日本ツアーのサポートや音源のリリースなどを行なっています。ラウドなハーシュ・ノイズなどの時は「ノイズのはらわた」と言う企画名で、電子音響系の場合にたは「Streamline」と言う企画名で来日アーティストのライブのサポートをしています。また、MSBRの作品は奇っ怪なハンドメイドの包装がなされており、購入者は収納にも困る具合(笑)でした。また田野さんは漫画も描いており、大のプロレス好きでもありました。音楽活動については先述の通りです。一方、Spastic Colonは、米国西海岸のErik HoffmanとJorge Martinのデュオで、私は彼等の日本ツアーの時に初めて知り合いました。その後、ErikはGround Fault Recordingsを始め、当時のノイズ・ミュージックをラウドなもの、静謐なもの、そして、その中間のアブストラクトなものに分類して、世界中のノイズ・ミュージシャンの音源をCDとして流布していましたし、MSBRと共に私が同行した時も泊めてもらい、アンプ等を貸し出してくれました。2021年には、それまでにリリースしたシリーズCDを纏めた34枚組CD&2CDRsボックスセットもリリースしています。 それで、本作品についてですが、Spastic Colon(これ、意外と凄いネーミングで「痙攣する腸管」の意)が初来日した時に、田野さんが、彼等に同行して国内ツアーをしているのですが、その時の四国松山市(田野さんの実家があるところ)でのライブ音源を収めています。Spastic Colonは、多量の機材を駆使して、茫漠としてスモッグのような灰色ノイズを吐き散らしています。所々にリズムのような機械音も聴き取れますが、ライブ録音の為か、音は不明瞭な輪郭を成しています。私は彼等のスタジオ音源を聴いたことがないので、この、T G.の”The Second Annual Report”みたいな音が本来の音楽かどうかは分かりません。一方、MSBRは名機Korgのギターシンセを使った(ギターは使わない)ササクレだったハーシュノイズを放射しています。彼の、一見見た目は優しそうな男性なのに、放射するノイズの強度は非常に高いと言うギャップも魅力の一つです。簡素なジャケですが、内容は濃いので、1990年代のノイズ勃興期が知りたい人ならば、この作品ももってこいなので、お勧めです(ただ300部限定なので、今では入手困難かな?)。 A MSBR “Live Garppling Electronics 1-25.05.97” (22:23) B Spastic Colon “Mr. Donut's Choco-Ring” (19:14) 本作品はYouTubeに上がっていなかったので、各アーティストのライブ音源を貼っておきます。 A) MSBRの京都でのライブ https://youtu.be/ej4uf2MSYQw?si=7PUPsokG_V0lnnZ3 B) Spastic Colonのライブhttps://youtu.be/9FXSKCyDrUY?si=q84zFUYc6nfd0w4F #MSBR #SpasticColon #LiveElectronicsAtMstsuyama #Flenix #MoltenSaltBreederReactor #KojiTano #ErikHoffman #JorgeMartin #JapanTour #LiveRecording #Matsuyama #HarshNoise #ElectronicNoise #SmogNoise
Electronic Noise (Harsh Noise / Smog Noise) Flenix (M.S.B.R. Records) 不明。Dr K2
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Bastard Noise / Xiphoid Dementia ”Human Extinction Engine”
今や、完全にヴィーガン・ストレートエッジになったEric Woodがやっている(が率いている)ベテラン・ノイズ・ユニットBastard Noise (BNと表記)とEgan BuddのソロノイズユニットXiphoid Dementia(以下、XDと表記)のスプリットLP盤。後者は寡聞にして知らず、申し訳ないです。それでBastard Noise (以下BNと表記)についてはバイオグラフィーを書いてみます。BNほ1991年にEric Wood, Henry Barnes, W.T. Nelsonの3人で結成されたことになっていますが、その母体として、Man Is The Bastardというパワーヴァイオレンス・バンドが1990年にEric Wood (Vo, B), Joel Connell (Drs), Henry Barnes (G, Electronics), Aaron Kenyon (Vo, B)に加えて、Shawn Connell (Charred Remains名義の時はGで参加)によって結成されています。ただ、それぞれのメンバーがバンドの掛け持ちをしていましたので、Man Is The Bastardは1997年に消滅しています。その年から、Eric Woodは BNを本格的に始めます。その時からメンバーに名を連ねていたアーティストは、Henry Barnes, Danny Walker, Joel Connell, W.T. Nelson, John Wieseがいましたが、現在ではBNはEricのソロユニットとなっているようです。なお、XDの方は先述しましたように、詳細は不明ですが、Eganが1990年から録音(宅録?)を始めたノイズユニットで、2002年に最初のリリースが確認できます。 そんな訳で、今回、どう言う経緯でこのスプリット盤が出来たのか?よく分かりませんが、取り敢えず、内容を紹介します。 BNは、独特のオシレーターの音と共に、リバーブを効かせた茫漠とした音に、人間の業を呪うようなEricのヴォーカルと女性(?)によるデス・ヴォイスが聴かれ、更にオシレーターが暴れ回る曲はもう「反人間性」を表明しているかのようです。また細かい電子音の操作も堂に入ったもので、テクニック的にも完全にベテランの域ですね。一方、XDは、広い空間性を持った曲を提示しており、ダウンテンポした大胆なリズムを入れたインダストリアルな音作りで、物凄い完成度の音楽を体感することが出来ます。とても米国のパンドとは思えず、独逸のGenocide Organにも匹敵する内容です。この作品が素晴らしいのは、 多分、マスタリングによるものかもしれませんが、クレジットが無いので、それを誰がやったかは不明です。と言う訳で、このスプリット作品は現行の米国インダストリアル界の一面を丸ごと体験できますので、是非とも、ノイズ・リスナーやノイズ・ミュージックに興味のある方には聴いて欲しい作品だと”確信します。是非‼️ A1 Xiphoid Dementia “Malevolence” A2 Xiphoid Dementia “Spirals” A3 Xiphoid Dementia “Fangs” B1 Bastard Noise “Avenge the Global Animal Holocaust By Any Means Necessary” B2 Bastard Noise “Mandatory Human Exit” B3 Bastard Noise “Cries From the Pterosaur Graveyard” B4 Bastard Noise “Extraterrestrial Spring Evening” https://youtu.be/fKUsA6CFNDo?si=O_8ndhddzq9nXpdL #BastardNoise #XiphoidDementia #HumanExtinctionEngine #PhageTapes #Terror #ExistenceEstablishment #ScryRecordings #EricWood #EganBudd #PowerElectronics #Industrial #SplitAlbum
Noise / Industrial Phage Tapes, Terror, Existence Establishment, Scry Recordings 不明。Dr K2
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Francisco López & G.X. Jupitter-Larsen “s/t”
この組み合わせは思いつかないなあ。スペインの生態学者でありながら、人間の可聴範囲を拡大していくFrancisco Lópezとエントロピーをひたすら推し進め続けるThe HatersことG.X. Jupitter-Larsenよコラボ作品です。これは、お互いの音素材を交換して、それらを加工し、変調し、新たな音を加えて、最終的にお互いがミックスしたと言う作品だと考えて良いと思います。盤面のラベルに記載がないので、はっきりと断定はできませんが、多分、そう言う相互コラボ作品だと思います。GXサイドは大音量で不明瞭な音塊をループのようでループでないようなノイズを無意味な領域までぶつけてくる曲”9 Minute Glitch”。対して、Lopezサイドは更に曖昧模糊としたノイズを組み合わせ、繊細と言う形容すら出来る組曲風に仕上げた”Untitled No282”。どちらも楽しめる出来栄えだと思います。このような異種格闘技戦は、ノイズ・アーティストならではのやり方ではないなかな。しかしながら、音響工作教授Francisco Lópezと雑音虚無主義者GX Jupitter-Larsenの組み合わせは意外と言えば意外。Phage Tapesの偉業ですね。また、10インチでのリリースもナイスです A Francisco López “Untitled #282” (9:59) B GX Jupitter-Larsen “9 Minute Glitch”’(8:55) [本作品はYouTubeに上がってなかったので、それぞれのソロ曲のURLを貼っておきます] Francisco Lopez “Untitled No281” https://youtu.be/lWZ9GhsP_Gk?si=CUmbqllybKvUeh0o G.X. Jupitter-Larsen “Xylowave” https://youtu.be/OLRezDsazwo?si=rqivOSo-fVVOxLxJ #FranciscoLópez #G.X.Jupitter-Larsen #PhageTapes #Collaboration #Untitled282 #9MinutesGlitch #Electro-Acoustic #HarshNoise
Sound Art / Noise Phage Tapes 不明。Dr K2
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Mama Bär “Bildnerei Die Geisteskranken Vol. 1 (Es Ist So)”
Mama BärことAndrea Katharina Ingeburg Hjulerを知ってる人はいますかぁ?彼女は、ノイズ或いはポスト・インダストリアル・シーンにおいて録音家として活動していますが、一方で、Flenburgで映像作家或いは視覚芸術家としても活動しています。ソロやグループで世界中の展覧会でキャリアを積んでいます。彼女はしばしば、彼女の夫のKommissar Hjulerと一緒にKommissar Hjuler und Frauとしても活動しでおり彼女は、1999年から音楽を作り始め、2006年には視覚芸術も始めています。主にネオダダやアール・ブリュの領域で活動しています。Inspector Hjulerは、2011年までは、パンの生地を乾かして、彫刻を作ったりしており、彼はそれをパン猫と言ったりして、彼自身の抽象的な世界(時にコミック的でもあったらしいです)を作り上げていました。因みに、The Marketingclub KärntenとKleine Zeitung Österreichは、2010年のイノベーション・コングレスでの芸術部門のコンペで彼のパン猫の作品”Enter Konsum”を優勝者に投票しています。一方、Mama Bär の方は数多くの作品をリリースしたおり、それらはマイナーなレーベルUltra Eczema, Intransitive Recordings,Nihilist Records, Obskyr Recordsなどからリリースされています、また、彼女は、Bomis Prendin, Franz Kamin, Philip Krumm, Wolf Vostellなんかともコラボ作品も作っています。また、Brightonで行われたKommissar Colour out of Space Festivaでは、Hjuler und Frauはパフォーマンスをやっています。と言う訳で、元々が芸術家で、音楽をやっていた訳ではありませんが、本作の内容は、それを裏付けるだけでなく、とんでもない音楽をやっています。ハウリングとかフィードバック或いは打撃音や物音などをバックにMama Bärが呟くような叫ぶようなヴォーリゼーションを繰り広げます。例えて言うならば、劣化したNurse With WoundがSchimpfluchと合体したかのような音楽です。強烈なインパクトを感じることの出来るブツと言ったところでしょうか?Discogsで調べてみると、結構、作品出しているんですよね。それだけのパワーがあったと言う証左ですね。ジャケがいまいちなんですが、これはレーベル側の予算の問題でしょうか?勿体ないです、せっかくいい内容なのに!と言う訳で、アート臭のするアクショニズム的音楽はどうですか?ジャケに惑わされることなく、聴いてみて下さい。 YouTubeにはなかったので、Kommissar Hjuler und Frauの”23XX”を。 https://youtu.be/3NMB4E0FZAs #MamaBär #BildnereiDieGeisteskrankenVol.1(EsIstSo) #SoundArt #Experimental #NurseWithWound #Schimpfluch #Actionism #Dada #KommissarHjulerundFrau
Noise Experimental Shamanic Trance 不明Dr K2
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Blowhole “Guerilla Jazz”
Blowhole、その正体はHands ToでもあるJeph Jermanの似非フリージャス・ユニットです。彼は今では、物音系ノイズ・ミュージックの第一人者になっていますが、こう言うユニットもやってました。バンド名の元々の意味は、クジラなどが頭のてっぺんから海水を噴き出す穴や自然にできた岩壁から海水を噴き出す穴とかの事みたいです。それで、バンドの方に話を戻すと、BlowholeはJeph Jerman、Daniel & Patrick Barber兄弟を中心にして、City of WormsのGeorge EricsonやNew Rage RecordsのAdam Tepedelemなどの多数のミュージシャンが参加している米国コロラドのバンドです。しかしながら、クレジットを見ると、ゲストは2人(Darren Soule [Trumpet: A5]とDave Montgomery [Perc: B3])で、それぞれ1曲づつ参加しているだけで、今回は殆どJephのソロユニットであるようです。この作品は元々、1990年にBig Body Partsからカセット作品としてリリースされたもので、今回のリリースはそのカセット作品をLPで再発したものとのことです。Jephが、殆ど全ての楽器を演奏しているとのことで、G, B, Dr, Saxも演奏しているようですが、宅録紛いのこの録音が、本当に「即興」かどうかは問題になるでしょう(と言うか、これ、絶対に複数人で一発録りしてると思いますよ)。この作品に収めらるている音楽は、一見、フリージャズの様相を呈していますが、蠢くような音やビリビリとした得体の知れない響音が、空間を埋め尽くすようやノイズ・ジャズ・ロックとでも言うべきフリー・ミュージックが展開されています。それとGだけの曲とかは後のJeph Jerman名義にも通じる物音系ノイズの要素も垣間見られます。あと1曲だけAlbert Aylerの曲のカバーを演っていますが、原曲の面影が分からなくなる位アレンジ(?)されています。そして、特徴なのは、曲が即興系にしては短く、また曲間も不明瞭で、A面10曲、B面6曲でほぼほぼ片面1曲みたいな感じになっています。ちょっと渋めだけど、刺激のあるノイズ・ジャズを聴きたければ、これを聴くと良いかもしれません。 A1 “Frig” A2 “If He Only Knew” A3 “Flub” A4 “Scree” A5 “Control Group”; Darren Soule (Trumpet) A6 “Mangle” A7 “Terpsichore” A8 “Sonny Called It” A9 “Via Dave's” A10 “Ghosts” (Albert Ayler) B1 “Limited Resources” B2 “Four” B3 “Argle (Remodeled)”; Dave Montgomery (Perc) B4 “Valves” B5 “Eviction” B6 “Strung Out” https://youtu.be/VMf6luqw4kk?si=2qZ16GNRDx64PkVq #JephJerman #Blowhole #GuerillaJazz #ZabriskiPoint #Reissue #1995年 #BigBodyParts #1990年 #Noise #FreeJazz #FreeMusic #FreeRock #宅録 #Improvisation #Guests #DarrenSoule #DaveMontgomery #CoverSong #AlbertAyler
Free Rock / Free Jazz / Death Jazz Zabriskie Point (Big Body Parts) 不明Dr K2
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Short Term Memory “Effect To Excess”
これを知ってる人は、余程、コアな人だと思います。1983年、私はメールアート/ミュージックの世界にいました。そこで、Chain Letterと言う、一種のネズミ講のようなことが流行っていたのですが、そのシステムについて、少し説明します。先ず、10人/組の住所が書いてあるコピーが送られてきます。そうしたら、一番上に書いてある人/グルーブに1本、自分のカセット作品を送ります。そうしたら、その人/グルーブの住所を消して、自分の住所を一番下に入れたコピーを自分の知り合いのアーティストとかグルーブに10枚を郵送します。すると、やがて、自分の住所が一番上に来た時には100本のカセット作品が送られてくると言う仕組みです。でも、中々、10人の人に送っても、書いてある通りに100本、どころか殆ど送られてきませんでした(幾ら、カセットと言っても、知らない人に送る訳ないよね)。そんな中で、いきなり、送られてきたのが、このShort Term Memoryのファースト・アルバムでした。当然、彼らのことはそれまで、全然知らなかったし、WikiとかGoogleも無いし、当たり前ですけど、まさか、米国Kansas市からいきなりLPが送られてきたら、ビックリしますよね。それで、まだ私はカセット作品しかなかったので、自分のカセットを送りましたよ。ただ、私自身の興味がその頃から病理学に移って行ったので、それっきりになりましたが。まあそんな時代であったと言うことです、ハイ。なので、余りバイオグラフィーとかも書けないんで何とか調べました。メンバーはJim Skeel, Jonathan Paul, Robert Duckworthのトリオで、ミズリー州Kansas市をベースに活動していた電子音楽グループと言うことです。1983年に結成されたグループで、始めはKevin Dooley, Jonathan Paul, Jim Skeelだったとのこと。ただ共通していたのは電子音楽の可能性を見つけることだったらしいです。彼等は土曜の夜に集まって、ジャムセッションをしていたようですが、それをJimが録音したりもしていました。その時は、KevinがSax, JonathanがDrs, JimがKbdで、Mark Rew (G), Jeff Rew (B), Jerry Slepekis (Vo)も加わった編成で、ニューウェーブ・バンドJohn Doeと名乗ってやっていましたが、Kevinとのジャムセッションに余りにも時間を費やし過ぎたとのことで、John Doeは1982年大晦日にラスト・ギグをやって解散します。その後、1983年初めに、JimとJonathan及びKevinは新しい、何処にも無いような音楽をやりたいとのことで、シンセとドラムマシン、シーケンサーを全て同期させた電子音楽をやり始めます。それがこのShort Term Memoryです。基本、ドラムマシンにJimのアルペジオネイターを同期、更にKevinのベース・シーケンサーも同期させ、KevinとJimがシンセでジャムり、またそれらの音をJonathanが操作すると言うスタイルに落ち着きます。DIYレーベルを作り、そこから彼等のファーストカセット”Every Head Needs Cleaning”をリリース。ラジオ局やジンに送りまくります。そして、JimとJonathanはディストロの拡大の為、NYCを目指すことになりますが、戻ってきた時には、Kevinの居場所は無く、脱退します。JonathanとJimはドラムマシンの代わりに生ドラムを使おうと思い立ち、JonathanはDrに戻ります。その後、Cal CooperにVoとシンセをやってもらい、彼らの一番の理解者Dave OldsがBになります。この編成はライブではウケが良かったみたいです。ただ、Daveは出ていって(?)しまいましたが。1984年には、Robert Duckworthが加入しますが、Robertは直ぐにバンドの核と成り、彼の弾くフレットレス・ベースで、よりジャジーな音楽にバンドも音が変わります。その年には30分カセットアルバム”Lost In Gundam”をリリース。更には本作であるファーストLP”Effect To Excess”もリリースしました。これにはKevinのサックスを使っている時のテイクも入っています。まあそんな感じでまだまだ続くのですが、今も彼等の音源などはBandCampで聴くことができます(ここに書いたのは、FBからの引用です)。ザックリ言うとA面は初期のトリオでの曲が中心で、B面はRobert加入後の曲でしようか。なので、A面は宅録テクノポップにジャズの要素(Saxがそれっぽい)をちょっと振りかけた感じで、基本的にドラムマシンを使った曲が半分位あります。B面はドラムがメインで、よりジャズっぽい感じでしようか?Robertのベースが冴えますね。どちらも、ヴォーカルには余り重きを置いてはいないように思えます。個人的にはA面の曲がツボるんですが、聴き直してみると、B面のミニマル・アンビエント風やジャジーな曲など多彩な曲の方も面白いですね。交換した当時は、未だ、インダストリアル小僧だったので、ちょっと背伸びした感じでした。今聴くと中々良いので、もし、よろしかったら、聴いてみて下さい。 A1 “I Don't Care” A2 “Hungry Dogs (Run Fast)” A3 “I Think I'm Losing My Mind” A4 “Take Your Place” A5 “Out East” B1 “Banzai!” B2 “Effect Of Excess” B3 “Freedom” B4 “Page 64” B5 “Lullabye (Happy Industry IV)” https://youtu.be/l1LqL5zAyV4?si=h4fOL9xxfiLx4CVs [BandcampのURLです] https://short-termmemory.bandcamp.com/album/effect-of-excess #ShortTermMemory #EffectToExcess #SillyPoodleRecords #ChainLetter #MailMusic #Synthesizer #DrumMachine #Drums #ElectronicMusic #KansasCity #JimSkeel #JonathanPaul #KevinDooley #RobertDuckworth
Electronic music Silly Poodle Music 郵送代Dr K2
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Contagious Orgasm & TZii “Blind Shadow”
皆さんはContagious Orgasmを知っているでしょうか?1980年代後半から活動する橋本浩さんを主体としたエレクトロ・ノイズ・ユニットで、名古屋を拠点にしていますが、日本での評価よりヨーロッパでの評価がケタ違いに高く、フェスともなれば、1000人希望のオーディエンスの前でライブを行うと言う、日本を代表するベテラン・ノイズ・ユニットです。そのContagious Orgasm(CO)と謎のノイズ・ミュージシャンTZii のコラボ作がこの作品になります。COは最初は橋本さんの個人名義でしたが、近年はパーカッションのMarvelさんやヘルプの人も加わることがあります。基本的には、自宅スタジオで仕込んだ電子音や環境音をサンプラーに取り込み、ライブではそれらの音を半即興的に構築していくスタイルを取っているようです。しかもパーカッショニストもいるので、かなりトライバルと言うかリズミックなアブストラクト・ノイズを放出しています。この様なスタイルのテクノイズ系のユニットは日本には少ないので、貴重な存在と言えるでしよう。一方、TZii なんですが、男性らしいことは何となくわかります。しかし、どこの国の人かとかは不明(ベルギー?)で、1990年代より、北米、英国、日本、インドネシアを股にかけ,欧州全域や豪州を放浪しているようで、名義としては作曲家であり、映像作家であるようです。私はTZiiさんの作品は聴いたことが無いので、余り言及ができませんが、多分、COに近いアーティストではないか?と想像します。と言うのも、本作の出来が、本来のCOと言っても良い高水準であり、あまり違和感が余り感じられない気がしているからです。でもB面の方がエレクトロニクスが若干多目な気がするので、B面はTZiiがミックスしたものかな?何れにしろ、細かいところまで、作り込まれた作品であり、全体を通しのトータルな内容で高水準な内容なので、COとか未聴な方は、聴いてみて下さい。 [trailer] https://youtu.be/lOxUFwpMZlU?si=jPFjODlhweC0MNUb [Contagious Orgasm live in 2012] https://youtu.be/1OcpyLqdyLY?si=8c6vmsGKW6Hbj_QJ #ContagiousOrgasm #TZii #BlindShadow #TripsUndTräume #Collaboration #Japan #Belgium #AbstractMusic #DarkAmbient #HiroshiHashimoto #Marvel
Experimental / Dark Ambient Trips Und Träume 不明Dr K2