ミス・プレスのような見本盤 聴かれなかった『淋しかない』 歌・珊瑚一

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まず、ジャケットの端をちぎり取ってあるのはやむをえないでしょう。1966年11月発売のビクター盤ですから当然ベルマークが印刷されていた。それはともかく、三浦綾子作詞による「淋しかない」を聴こうとしていました。珊瑚という人がどこの誰かは全く関知の外ですが。しかしながら聴こえてきたのはまったく歌詞の違う別の曲。レーベルを見ますと『黄色い道』とある。このレコードはビクター・SV-492 『ナナカマドの並木道 b/w 淋しかない』であることに疑いの余地はありません。歌詞カードにも『淋しかない』は印刷されている。ところが、B面のレーベルにはSV-415 の『黄色い道』が。A面のマトリクスがVEY-1891なのに対して、B面のそれはVEY-1654。
『黄色い道』のシングルは『ナナカマドの並木道』より以前に発売されたものでしょう。レコードのミス・プレスというものは実に様々なパターンがありますが、当初はB面をここまで自信をもって堂々とミスしているレコードというのもちょっと珍しいのでは。と思ったのですが、実はこれは「ミス」していないのかとも思えてきました。これは白ラベルの見本盤なので、以前に出したシングルA面のダメ押し、テコ入れのために敢えてこういうものにしたのではないのか?ただし、このプロモ専用のジャッケットまで製作はしなかったと、こういう事情だったのかもしれません。なんにせよ、変なレコードではあります。勿論、『黄色い道』のほうは最初の数十秒しか、『ナナカマド』のほうはまったく聴いておりませんけれども。

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