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角川書店 角川文庫 吸血蛾
昭和五十年八月十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和30年(1955年)に雑誌「講談俱楽部」に連載された横溝正史の長編小説「吸血蛾」。
服飾界の女王として君臨する人気女流デザイナー・浅茅文代の専属モデルたちが次々と殺害されてゆく猟奇殺人事件を描いた、横溝正史のいわゆる“通俗モノ”と呼ばれる作品の一つですね。エログロ・猟奇・名探偵対怪人...、前年に同じ「講談俱楽部」に連載された「幽霊男」とほぼ同趣向の作品なんですが、伏線やら何やら取っ散らかった感じで、広げた風呂敷をどうも上手く畳めなかった印象があります。横溝作品としてはマイナーながらも映画(東宝)とテレビドラマ(土曜ワイド劇場)がそれぞれ1本ずつ制作されていて、池辺良が金田一を演じた映画版はDVDで視聴出来ますが、愛川欽也が金田一を演じたテレビドラマ版はソフト化どころか再放送も無く、“幻の作品”と化しています。角川文庫には昭和50年(1975年)に収録されました。
画像は昭和50年(1975年)に角川書店より刊行された「角川文庫 吸血蛾」です。片方の乳房を露出した女と5色の蛾。背後には狼男も描かれていて、まさに小説のイメージを具象化した表紙画です。煽情的な画柄ですが、女の髪の毛や眉、血の色に使われているオレンジが印象的です。
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