学習研究社 場外乱闘を生きてみろ! 男は馬之助

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昭和58年3月1日初版発行
発行所―株式会社学習研究社

昭和58年(1983年)に学習研究社より刊行された「場外乱闘を生きてみろ! 男は馬之助」です。
日本マット界における本格的な日本人悪役レスラーの草分け的存在である上田馬之助が、自らの生い立ちやレスラー人生、そして悪役哲学を激白した本です。
日本人レスラー=善玉、外人レスラー=悪役というのがまだ常識だった時代に、頭髪の一部を金髪に染め、竹刀片手に反則の限りを尽くす凶悪ファイトで暴れまわっていた“まだら狼”上田馬之助。その悪役伝説のスタートは昭和51年(1976年)、国際プロレスでのラッシャー木村からのIWA王座奪取劇でしたが、悪役レスラーとしての真価を最も発揮したのは翌昭和52年(1977年)の新日本プロレス参戦からではないでしょうか。“インドの猛虎”タイガー・ジェット・シンと凶悪コンビを結成し、更には日本プロレス末期に起こったクーデター事件で自身に付いていた、“密告者”“裏切り者”というダーティーイメージもプラスに働き、「日本マット界に弓引くアウトサイダー」としての立場を確立、因縁のアントニオ猪木や坂口征二らを相手に血で血を洗う抗争を繰り広げました。
そんな上田が最も光り輝いた試合が、昭和53年(1978年)2月8日、日本武道館で行われた猪木とのネイル(釘板)デスマッチです。無数の五寸釘を打ち付けた板をリング下の四方に置き、闘う二者が絶対に逃げられない形式の試合で、「どちらかが釘板の上に落ちて本当に死んでしまうんじゃないか?」という恐怖とスリルのこのデスマッチ...、実際には両者は落ちることなく猪木の完全勝利で試合は終了し、プロレスファンは安堵するやらちょっぴりガッカリするやらの微妙な思いを抱いた試合ですが(笑)、今観直してみるとキワモノ感たっぷりの見世物興行的な体裁をとりつつ、その実、内容はストロングスタイルと喧嘩ファイトが絶妙に入り混じった、新日らしい好試合だったんだなぁと思いますね。特に試合序盤の、上田が猪木を攻める場面に“元祖シューター”たる上田の実力の片鱗が垣間見えるのが良いですね。力道山門下生として、キッチリとプロレスの基礎を叩き込まれた2人だからこそ為しえた、昭和プロレスの思い出深い試合の一つです。

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