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角川書店 角川文庫 真珠郎
昭和四十九年十月二十日 初版発行
昭和五十二年九月二十日 十三版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和11年(1936年)から昭和12年(1937年)にかけて雑誌「新青年」に連載された横溝正史の長編小説「真珠郎」。
X大学の講師である「私」こと椎名耕助は、同僚の乙骨三四郎に誘われ、信州を旅行することになった。そして私たちは、鵜藤老人とその姪が住む「春興楼」というN湖畔に佇む邸宅に滞在することになったが、ある夜、柳の樹の下で、水に濡れた美少年が無数の螢火に包まれて立っているのを目撃する。それがのちに世間を騒がせることになる奇怪な殺人美少年「真珠郎」を初めて垣間見た瞬間だった...
妖異漂う類稀なる美少年・真珠郎が引き起こす猟奇的な連続殺人を描いた、戦前の横溝正史の代表作の一つですね。この時代の横溝作品の名探偵役を一手に引き受けていた“由利先生”こと由利麟太郎が登場するシリーズの一つで、横溝お得意の“顔の無い死体”トリックを盛り込んだ作品ですが、そんな謎解きミステリー要素に加えて、この時期の横溝が傾倒していた耽美主義・草双紙趣味も組み合わさり、まさに“怪奇浪漫”と呼びたくなるような一種異様な世界観が形成されています。
本書には表題作の他に短編「孔雀屏風」が併録されています。角川文庫には昭和49年(1974年)に収録されました。
画像は昭和52年(1977年)に角川書店より刊行された「角川文庫 真珠郎」です。無数の螢火が明滅する中で佇む真珠郎と思しき人物。劇中のワンシーンをモチーフにした素晴らしい表紙画ですが、よく見ると真珠郎の身体に○○が有り、ネタバレとなってしまっています...
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