FREEing　figma　SP-120 多治見要蔵

横溝正史の代表作の一つ『八つ墓村』はこれまでに何度も映画やテレビドラマで映像化されてきましたが、何といっても一番有名なのは昭和52年（1977年）に公開された松竹映画版ではないでしょうか。監督・野村芳太郎、脚本・橋本忍、撮影・川又昂、音楽・芥川也寸志という、名作『砂の器』のスタッフが再集結して製作された大作映画で、数奇な運命の元に生まれた主人公・寺田辰弥に「ショーケン」こと萩原健一、事件の鍵を握る妖艶な未亡人・森美也子に小川真由美、そして、名探偵・金田一耕助に『男はつらいよ』の「寅さん」でお馴染みの渥美清と、同時期の角川～東宝の金田一耕助シリーズにもヒケを取らない豪華キャストでしたが、中でも圧倒的な存在感を放っていたのが山崎努が演じた多治見要蔵（原作では「田治見」要蔵）でした。
多治見要蔵は、戦国時代に村に落ち延びてきた尼子義久ら8人の落ち武者を騙し討ちした村人らの首謀者、多治見庄左衛門の子孫で、28年前（※劇中での時間軸）に八つ墓村で32人もの人間を虐殺した先代の多治見家当主。ストーカーに拉致監禁、挙句の果てには無差別大量殺人を起こした極悪非道な人物ですが、映画ではそんな狂気に取り憑かれた男を名優・山崎努が怪演。満開の桜の下を日本刀と猟銃を持って走りゆくシーンは恐ろしくも美しい、日本映画史上に残る名場面でした。

そんな松竹映画版『八つ墓村』の多治見要蔵をアクションフィギュア化したのがこの「figma　SP-120 多治見要蔵」です。
全高約16センチほどの大きさですが、これが実に良く出来ています。特に感心したのがその表情。そんなに大きいフィギュアでもないのに、ちゃんと「山崎努演じる多治見要蔵」になっているのが素晴らしい。しかも無表情顔とニヤリ顔（画像6枚目）、2種類の表情があって、差し替えられるのも嬉しいですね。
他の付属品は日本刀と猟銃で、それぞれ手に持たせられるように手の交換パーツも付属しています。和装での立体化ということで可動域はあまり広くはありませんが、ガシガシ動かして遊ぶ訳ではないので、個人的にはこれで充分満足しています。それにしても「山崎努演じる多治見要蔵」のアクションフィギュアがマスプロダクツで手に入るなんて、凄い時代になったものですね。

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