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東スポ劇画シリーズ第2弾 悪魔が来りて笛を吹く
昭和54年2月1日初版発行
発行/東京スポーツ新聞社
『八つ墓村』以来、10年ぶりの横溝正史作品のコミカライズとなる影丸版『悪魔が来りて笛を吹く』。
マガジンでの『八つ墓村』連載当時は、松本清張に代表される“社会派推理小説”が全盛であり、旧来の探偵小説作家である横溝正史の存在は知る人ぞ知る、というものでしたが、この影丸版『悪魔が来りて笛を吹く』が発表された昭和54年はその時とは状況が一変し、作品が次から次へと映画・ドラマ化されるという空前の横溝ブームの渦中にありました。
東スポ劇画シリーズ第2弾として発表されたこのタイトルも、同時期に公開された西田敏行主演の映画版と連動したコミカライズです。
映画とのタイアップだけあって、出演者の紹介やスチール写真も掲載。そのうえ漫画本編はセリフや構図に至るまでかなり忠実に映画版を再現し、これ一冊が映画のガイドブックとしての役割も果たしています。
ただ、肝心の映画版が原作を一部改変した結果、「微妙」な出来になってしまったこともあって、それのコミカライズである影丸版のほうも「微妙」なものになってしまった感はありますね。犯人、そして事件の端緒となった斜陽華族の禁忌が暴かれる場面のゾクゾクする緊張感や、フルート曲「悪魔が来りて笛を吹く」のメロディに込められた秘密など、映画版では原作の良いところが抜け落ちてしまっているからです。影丸氏には映画のタイアップとかそういう制約なく、このタイトルを存分にコミカライズをして欲しかったなぁ、とつくづく思います。
そんな訳で『八つ墓村』ほどの思い入れはありませんが、公開当時を偲ぶアイテムとして、手放せない一冊です。
#悪魔が来りて笛を吹く #横溝正史 #影丸譲也 #金田一耕助 #東京スポーツ
収集じいさん
2021/10/14 - 編集済み影丸譲也の「八つ墓」は以前所有していたのですが、「悪魔が来たりて笛を吹く」は知りませんでした。
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dape_man
2021/10/16あと2006年にサスペリアミステリーという雑誌で『霧の別荘の惨劇』を描いています。
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