「破獄」(新潮文庫/吉村昭著)

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昭和51年の吉村昭作品。
史実を元にした小説で、戦前に伝説の脱獄王と言われた白鳥由栄(しらとりよしえ)の生涯を題材にした小説。小説の中では白鳥は「佐久間清太郎」という仮名になってます。

犯罪を犯して収監されている犯罪者ではあるものの、感謝の心理を読み、精神的に支配しつつ脱獄の機会を作る頭の良さには不気味な寒気を覚えるものの、どこか痛快な気持ちを持って読んでしまうのは何故でしょう…。

吉村先生お得意の綿密な取材と調査により、彼がそもそもなぜ犯罪を犯したのかなど、彼の不幸な生い立ちから犯罪者の心理を描く作品です。

30年前に網走監獄は見学しましたが、白鳥が天井裏を伝って脱獄するシーンがマネキンで再現されていました。

白鳥由栄は、最近ではゴールデンカムイでもキャラクターの1人、脱獄王の白石由竹のモデルになってます。

学生時代からの愛読書の一つです。

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