- Sekisentei Japanese Mineral Museum
- 27F 鳥取県 Tottori Pref.
- クロム鉄鉱 (chromite) 若松鉱山 51号鉱体 #0553
クロム鉄鉱 (chromite) 若松鉱山 51号鉱体 #0553
クロム鉄鉱は、鉄、マグネシウム、クロムを主成分とする酸化鉱物で、最も重要なクロムの鉱石鉱物です。ずしりと重い標本で、一面が研磨されています。(背景はソフトウエア処理しています。)
若松鉱山は、同鉱山で発行された『鉱山概説』には「1899年(明治32年)島根県仁多郡八川村の藤原某により発見された。」とあり、他方『日南町史』では1895年(明治28年)松尾鶴太郎が大洪水の復旧工事現場で重い落石を発見し、高所にある鉱床を探し当てたとしています。1905(明治38)年から東洋鉱物商会エスメドースと佐藤百太郎らによる操業が開始され、年3~4万トンのクロム鉱石を生産し、アメリカに輸出していました。1919年(大正8年)に若松鉱山(後の日本クローム工業株式会社)の所有となり、採掘されたクロム鉱石は、製鉄炉の壁となる耐火レンガの原料として使用され、日本の近代製鉄の発展を支えました。1925年(大正14年)から1945年(昭和20年)は全国の生産シェアの47.5%を占める日本最大のクロム鉱山となり、戦後昭和20~40年代にかけて最盛期を迎え、その後も1997(平成9)年に閉山するまで、日本で唯一の国産クロム鉱石の鉱山として操業しました。
2009(平成21)年には若松鉱山を中心とした多里地域のクロム鉱山群が日本の近代化に貢献した産業群の一つとして、経済産業省の「産業遺産群続33」に認定されました。