ショルティ/マーラー交響曲第7番ホ短調夜の歌

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まるで最新のハイテク兵器の破壊力と機能美を見るようなすばらしさ

 ショルティ・シカゴ響の初期録音の傑作です。
 原曲は真夏の夜に百匹の鬼が暴れまわる百鬼夜行のように対位法が駆使され、対位法の海のような曲ですがショルティとシカゴ響はその海にに溺れず、ひたすら前に進む筋骨隆々とした戦闘師団のような迫力と機能美に溢れた音楽を奏でています。

 
 パート全員がソリストのような弦楽器の合奏や、理性や理論で裏づけられ固められたような美しくも力強い響きは、悪霊を焼き払い、消滅させる強烈な光のようです。

 金管楽器の咆哮や炸裂する打楽器のうねり、大合奏での破壊力はまるで最新鋭のハイテク戦闘機のような「機能美」や「凄み」を感じさせてくれます。
 ある意味、原曲を再創造していると言ってもよいでしょう。

 クレンペラーやバーンスタインのようなドロドロした感情の渦や匂うような思い入れは、そこにはありません。
 シャープでダイナミックかつ現代的な演奏が好きな人にお勧めします。反対に音楽に思想や感情・情念、物語を求める人には向いてはいないと言うことです。

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