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Brachiopoda
こちらは、岐阜県の奥飛騨温泉郷福地で産出の腕足類です。 本産地は、デボン紀三葉虫も産するものの、全体的に三葉虫は希産であり、むしろ、美しい床板 / 四放 / ハチノスサンゴ、ウミユリなどが多数採れる事が知られています。のみならず、腕足類も多数産します。 こちら美麗な腕足類です。腕足は母岩にくっついており、腹殻サイドが見えているものと思われます。蝶番から放射状に広がる模様 (放射肋) だけでなく、それと交差するように同心円状に広がる肋 (輪肋) が、きめ細やかで美しい幾何学模様を形成しています。 特徴が多く素人の私でも同定できるかなと資料片手に頑張ったのですが、同定かなわずでした。 また学名が判明すれば更新します。
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地 Brachiopoda 横幅35mmほどtrilobite.person (orm)
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Neoproetus sp. cephalon & Endops sp. (?) pygidium
日本の三葉虫、ネオプロエトゥスの一種及びエンドプスの一種 (Neoproetus sp. & Endops sp.(?)) であります。 産地はペルム紀中期の宮城県気仙沼市上八瀬。採掘者より直接譲っていただいたもので、巨大な1枚の30X25cm程度の母岩をそのまま持ってきている面白いプレートです。 複眼つきの頬部化石がネオプロエトゥス (写真3、4 枚目及び2枚目の矢印下側) 、尾部化石がエンドプスと思われるもの (写真5、6枚目及び2枚目の矢印上側) です。いずれも貴重で、世界的にも数少ないペルム紀の三葉虫であります。 特に、ネオプロエトゥスの標本は、ホロクローアル型の複眼の微細な構造がしっかり観察でき、日本産三葉虫でこのタイプの複眼でこの保存の良好さは素晴らしいことであります。 三葉虫以外にも、佃煮状に、ウミユリ茎、腕足類 / 貝類などが散りばめられています。実は、母岩は亀裂が入っていて二つに割れているのですが、断面が観察できるのが面白く (写真8) 、接着せずそのままにしております。
Middle Permian - 宮城県気仙沼市上八瀬 (スパチュリ多産層より下部で産出) Neoproetus sp. cephalon & Endops sp. (?) pygidiumtrilobite.person (orm)
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Symphysops stevaninae
モロッコの浮遊性三葉虫、キクロピゲの仲間の、シンフィソプス・ステヴァニナエ (Symphysops stevaninae) です。 大きな複眼を持つことで有名な本種ですが、複眼つきのものは非常に数が少なく、希少であります。複眼こそないものの、イッカクのごとき頭部の謎のツノや、第一胸節の対になる棘など良好に保存されております。頭部〜尾部の立体感のある保存も見事です。 モロッコのキクロピゲ類は、複数種存在する事が知られていますが、その形態の違いも興味深い点であります。
Upper Ordovician - Kaid Errami, Morocco Symphysops stevaninaetrilobite.person (orm)
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Orygmaspis contracta
カナダのマッケイ産 (McKay fm) のオリグマスピス・コントラクタ (Orygmaspis contracta) です。 マッケイのオリグマスピスは、複数種が存在しますが、その中でも、おとなしめで標準的な体型をしているように思います。。という様な文言を、昔、各所に書いた記憶があります。 しかしいざ手に入れてみると、本産地の種にしてはサイズが大きく、長い頬棘や胸節の後方の1対の長い棘などが良いアクセントになっていて、むしろ派手な印象 (本産地基準で) を受けます。整っていて美的であり、案外好きなタイプの種なのだなと気がつきました。 ちなみに、この標本は裏側 (Ventral) です。このような平坦種は、裏側の方が細部構造がよく分かり、写真に撮る分には見栄えが良く思います。安価でもあり、コスパが良いなと感じます。
Upper Cambrian (Furongian, Jiangshanian) McKay Cranbrook, British Columbia, Canada Orygmaspis contractatrilobite.person (orm)
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Dubhglasina yunnanensis
中国のBaoshan/Pupiao累層産のオルドビス紀の三葉虫、ドゥブグラシナ・ユンナネンシス (Dubhglasina yunnanensis) とされる種です。 Eye ridgeなどが目立つことから、頭部はハルピデス属 (Harpides) を彷彿とさせますが、体尾部はハルピデス程に蛇腹様ではなく、モロッコのハルペス属 (Harpes) に似ているという見た目の種であります。 (Xiu_trilobiteさんのmuseumにて、この目立つeye ridgeは、古い時代のハルペスの特徴なのではないかとの推察をされておられます、なるほどです。) 細かい話ですが、分類上はハルペス属はハルペス科 (Harpetidae) に、ハルピデスはハルピデス科 (Harpididae) に分類されます。 前者のハルペス科には、ドリコパルペス属 (Dolichoharpes) 、ボヘモハルペス属 (Bohemoharpes)、エオハルペス属 (Eoharpes) 、リオハルペス属 (Lioharpes) 、ヒベルティナ (Hibbertia) などに並び、このドゥブグラシナ属 (Dubhglasina) も入っております。 従って本種は、分類上はハルピデス属よりは、ハルペス属に近い種であります。 ドゥブグラシナ属は、『L1が小さい、genal rollが狭く一方でbrimが比較的広い、alaが目立たない』などの特徴で、他のハルペスの仲間と分類されます。各部位の名称・位置関係については、最後の写真 (Trilobites infoより) をご参照ください。 本産地の三葉虫はどれもそうですが、表面が荒れているか、保存が良好でも欠けているかの二択であります。 そこで、 1. 比較的全体が残存しているが表面の保存がイマイチの標本:写真1番目など 2. 頭部のみも、細部はよく残っている標本:写真2番目など の二通りをupしてみました。 何と無くですが、上記のドゥブグラシナの特徴を満たしている気もします。
Upper Ordovician Baoshan Baoshan Village, Yunnan, China Dubhglasina yunnanensistrilobite.person (orm)
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Family Cheiruridae
中国の湖南省産の三葉虫、ケイルルスの一種 (Family Cheiruridae) です。 近年市場に登場した種で、おそらく未記載種であると思われます。 ぷっくり目立つ頭鞍に、短く太く頑強な印象を受ける頬棘に加えて、特徴的な3対の尾部の棘が目立つ種です。特に、尾部の棘は、湾曲せずに真っ直ぐに伸びる長い棘と、その間の短い2対の棘というユニークな特徴を持っております。奇抜でかつ格好の良いケイルルスであります。 産地は、インチューフー累層。かなり昔から、パラゼチュネラ (Paraszechuanella) (ほか様々な呼称あり)などとされる種が出回っていた印象があります。近年リエキシアスピス・ジェングジアエンシス (Liexiaspis zhengjiaensis) というユニークな種が、市場に登場した事が記憶に新しいです。 本種は非常に独特な見た目のケイルルスではありますが、よく見るとモロッコなどで産出するフォウロニア (Foulonia sp.) と非常に外観が近いのではないかと考えております。 そのあたりは長くなるので、ブログの記事の方に記載しております。 https://676bbs.blog.jp/archives/37884153.html https://676bbs.blog.jp/archives/37885528.html
Lower Ordovician Yinchufu Yongshun, Hunan, China Family Cheiruridaetrilobite.person (orm)
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Viaphacops bombifrons / Phacops cristata bombifrons
米国ニューヨーク州の、オノンダガ累層 (Onondaga) のファコプス類 (Phacopida) の標本です。頭胸部は揃っておりますが、尾部は折れ込んでいて、その有無は微妙です。 オノンダガ累層は、あまり知られていない累層であると思います。同産地から産出する種としては、吻の串状の構造が特徴的な、オドントケファルス (Odontocephalus) が、比較的有名かと思います。 ヴィアファコプスの一種かも (Viaphacops sp. ) との事で出品されておりました。 特徴から考えるに、ペンシルベニア州産の同累層産の、ファコプス・ロガニなどという名で、ごく稀に提供されていた個体と同種の可能性があるのではないかと考えております。ただし、この学名自体は元々古く19世紀中頃に使用されていたもので、その後、パシファコプスとして再記載されている形跡もあり、有効な学名でない気がします。未記載のファコプスとするのが妥当であると思われます。 希産でもあり、部分化石がほぼ全てであります。更に、ペンシルベニア側の産地は既に閉鎖産地なので、参照できる標本が数体のみしかありません。 それら理由により、全体像を把握することは難しいのですが、色々な画像を見るに、体高が低く、頭鞍の頭部に占める割合の大きな種だったのだろうなというような感想を抱きました。 追記: コメントにて、ktrさん、Trilobitesさん、tatsutoyさんの3名よりご意見を頂き、Viaphacops bombifrons / Phacops cristata bombifronsで良いのではないかと思われましたので、学名を変更いたしました。参考の論文中の同種のfigureを写真の最後に掲載しました。
Middle Devonian Onondaga Syracuse Area, New York, USA Viaphacops bombifrons / Phacops cristata bombifronstrilobite.person (orm)
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Ceraurus pleurexanthemus, Isotelus gigas (pygidium) and Byozoan
アメリカのRust累層のセラウルス・プレウレクサンセムス (Ceraurus pleurexanthemus) のプレートです。 アメリカのセラウルスの仲間の中では、最も一般的な種であると言えると思います。セラウルスと聞いた際に、思い浮かぶイメージの、標準となる種であるようにも思います。 サイズは標準的個体よりもやや小さめの18mm程度です。このプレートの特徴は、見ての通り、イソテルス・ギガス (Isotelus gigas) の尾部や、その他コケムシ、ウミユリの茎などの他の生物が共産していることです。特にコケムシがその表面にくっついた、イソテルスの尾部の存在感は中々のものです。 当時の豊かな海底環境を思い起こさせてくれる、楽しい一品です。 追記: 昔頂いたコメントを読み返していたら(2019年頃のもの)、それなりに出回る、多産する、リーズナブルといった話を交わしておりましたが、本種も今はほぼ見かけなくなりました。 昔の光いまいずこ。隔世の感を覚えます。
Upper Ordovician Rust New York, USA Ceraurus pleurexanthemustrilobite.person (orm)
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Ceraurinus icarus
カナダの希少ケイルルス、セラウリヌス・イカルス (Ceraurinus icarus) の群集プレートです。 1枚目写真の正面左側の個体はほぼ完全体です。写真4,5枚の一体はリバースで、裏側の構造が観察できます。球形のハイポストマが綺麗に残っております。部分化石を合わせれば計5体が載ったプレートであります。 類似するセラウルス (Ceraurus) と比較すると、セラウリヌスは、全体的に骨太でがっしりしている事、特に尾部の棘がトゲトゲしておらず、丸みを帯びている事 (写真6枚目) などが特徴的です。 産地は、ヴァウリール (Vaureal) 累層という、やや耳馴染みのないカナダのオルドビス紀後期の層であります。他に芋虫のような三葉虫ファイレアナ (Failleana sp.) や、セラウルスの一種であるボレアラスピス (Borealaspis numitor) などの希産種を産するようです。 愛らしく可愛らしい三葉虫です。
Late Ordovician Vaureal Maritime quebec, Canada Ceraurinus icarustrilobite.person (orm)
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Superfamily Trincleioidea
中国バオシャンのシーシャン (Shihtian) 累層産と思われる、Trinucleioidea (トリヌクレウス超科) の仲間の三葉虫です。 新規の三葉虫が、今も見つかっているHotな産地でありますが、こちらも、これまでほぼ市場で見かけた事はなく、新種の類だと思われます。この産地にありがちですが、胸尾部は欠損していて頭部も風化が進んでいます。ただ最大の特徴である、長い頬棘と鍔の孔はこの産地にしては良く残っています。 多くのマニアにとって、触手が伸びる類の標本ではないと思いますが、何かの参考になればとupしてみました。 種類に関しては、購入元ではNankinolithusとなっていました。ただ鍔の厚みやら頬棘の長さやらを考慮すると、流石に違いそうです。恐らくAnebolithusとかLloydolithusとか、それ以外の"なんとかlithus"系の雰囲気を感じますが、さっぱりわからんというのが正直なところです。
Ordovician Shihtian (?) Baoshan, Yunnan Superfamily Trincleioideatrilobite.person (orm)
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Onnia superba
チェコの三葉虫、オンニア・スペルバ (Onnia superba) です。 モロッコ産の印象が強い種ですが、チェコでも産出します。 他に、オンニアのタイプ標本としてイギリスなどからも産するようです。 本標本の産地の、オルドビス紀後期のボーダレック層からは、大量の本種が産出します。 その殆どがカケラ〜断片ですが、この標本では、二体のスペルバの頭部が美しく残っております。 頭鞍後部の棘や、本種に特徴的な鍔状の頭部辺縁の小穴も、肉眼でカウントできるほど保存状態が良好であります。 他の同産地の断片標本でも、高密度で二体以上の標本が犇いているようなので、モロッコ産同様、群れで固まって暮らすことが多かった種なんだろうと思われます。 かつては程々に見かけたモロッコの類似種自体、最近市場で見かけることが非常に少なくなっております。 そういう事情もあり、中々貴重なサンプルと言えそうです。
Upper Ordovician (Katian) Bohdalec east, from the excavation of subway D., Prague, Czech Republic Onnia superbatrilobite.person (orm)
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Bathyuriscus fimbriatus
ユタのマージャム (Marjum) 累層より、バチウリスクス・フィンブリアトゥス (Bathyuriscus fimbriatus) です。 ぺらぺらの三葉虫で、母岩と同化しかかっています。薄いカンブリア紀の三葉虫の中でも、とりわけ厚みのない種であるように思います。最も保存状態の良い標本を参照すると、一応はもう少し体高はあったようです。最も、それにしてもオレネルスなみの薄さではあります。 薄さが幸いしてか、体の構造物が模様のようによくわかります。特に、頭部のGenal caecaと思われる波打ち構造がはっきりと見えて興味深いです (写真5枚目など) 。 先に挙げたO. gilberti同様、「昔はありふれていたが今は市場からほぼ消えた種シリーズ」でもあります。特にこの標本は自由頬が残っており、当時からこのような標本は少なめでありました。
Middle Cambrian Marjum House range, Utah, USA Bathyuriscus fimbriatustrilobite.person (orm)
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Olenellus gilberti
ネバダのピオーチェ (Pioche) 頁岩層より、オレネルス・ギルベルティ (Olenellus gilberti) です。 アメリカで最もありふれたオレネルスであります。他の類似種との鑑別は、頭鞍がほぼ円形であること、頭鞍と頭部先端縁の距離が非常に近く、1-2mm程度しか離れていないことが、最も簡易な見分けポイントとなるかと思います。本種と一見酷似した種でも、前記の2点間の距離が大きく離れている (O. clarki、O. nevadensisなど) か、完全にくっついている〜頭鞍が頭部の先端を乗り越えている (特にO. fremonti / M. fremonti) かを確認する事で、比較的容易に区別することが可能です。 昔は普通に市場で見る種でしたが、三葉虫化石が欠乏気味の近年では、本種すらほぼ見かけなくなってしまいました。中でもこの標本は、本体部45mm、尾棘含めて65mmと、この種にしては相当巨大で、手前味噌ですが、中々貴重な標本かと思います。
Lower Cambrian Pioche Shale Lincoln county, Nevada, USA Olenellus gilbertitrilobite.person (orm)
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Family Phacopidae
英国のシュロップシャー、マッチウェンロック累層より産出したシルル紀のファコプス類です。ご覧の通り、地層褶曲による変形が激しく、かつ外殻も大方剥げてしまっていて、標本としてはあまり美しくはない個体です。 7年半ほど前に購入した標本であります。長年何の種なのか同定できなかった事、それから、購入時に「かのチャールズ・ダーウィンの生家より数マイルの産地より蒐集」などと気になる文句と共に売り出されており、そういう謎標本には弱い私の手元に、放出されず残ったままになっております。 売り手はPhacops caudatusの名称で販売しておりました。ただ、この名は今日 (こんにち) ではDalmanites caudatusなどの旧名を指すことが多いと思いますので、正確ではないと思われます。 こちら (https://muuseo.com/trilobite.person/diaries/2) で謎のファコプスとして取り上げ、同定を頑張ろうとした種なのですが、あれこれ調べるも結局わかりませんでした。 当初は、この辺りでは普通種のAcaste downingaeか、Eophacops musheniのどちらかだろうと軽く考えていたのですが、複眼の数等参照するに、どちらも違いそうです。 謎のファコプスのまま、更にしばらく置いておきます。
Silurian, Wenlock series / Epoch Much Wenlock Limestone Shropshire,England,UK Family Phacopidaetrilobite.person (orm)
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Orygmaspis doriansmithi
カナダ、マッケイ (McKay) のオリグマスピス・ドリアンスミシ (Orygmaspis doriansmithi) です。 マッケイのオリグマスピスには、O. jenkinsi、O. calvilimbata、O. spinulaなどのような棘の発達した派手な種類と、O. contractaに代表される地味な種類がおりますが、本種はO. contractaと並びおとなしい印象の種です。市場では比較的稀なオリグマスピスかとも思います。 こちらは9mmとスモールサイズですが、大きければ4cm程度の個体もあるようです。本標本は小さいながらも、細部や周辺とのコントラストがしっかりしており、ルーペで覗くと中々のものです。 牛歩ですが、マッケイの標本も増えてきました。最後の写真4枚に私のマッケイ標本群全景を載せてみました (あまりに判別がつかない種はのぞきました) 。ここまで集めてなんですが、我ながら地味なコレクションだなと感じます。
Upper Cambrian (Furongian, Jiangshanian) McKay Group Cranbrook, British Columbia, Canada Orygmapis doriansmithitrilobite.person (orm)
