江戸後期製作 手提五段重 卵殻散らし 「おく霜」

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江戸後期の製作と思われる七寸の五段手提重です。手提重としてはかなり大型と思います。全面に卵殻を散らして檜葉で中抜けの模様を付けた「おく霜」という変り塗です。卵殻は白というよりやや青みがかって見えます。檜葉の黒い部分の幅が3-4ミリですから、この卵殻の粒子の細かさが分かろうというものです。現代の若狭塗しか知らなければ、これが若狭塗とは誰も思いません。卵殻を貼り付けるだけでも膨大な時間がかかったはずです。取っ手の部分にだけ紐模様を付けて、単調にならない工夫がなされています。

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