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1992-1993年頃製作 ホーキンス別注 モンペリエ黒
1993年、札幌のABCマートで購入したフルサドルローファー、モンペリエです。ラストはローファー専用の184、黒のアッパーはフレンチカーフだと思います。モカ縫いは二本の平行なステッチを施す「ツイスト」(画像8矢印)。フルサドルのこの靴は、ハーフサドルのハーロウ、ナイツブリッジと比べドレッシーな雰囲気ですが、やはりハーロウより履き味が固くて重く、登場回数はやや少なめでした。インソックに薄くホーキンスのスタンプが見えます。アウトソールの刻印は筆記体です。 モンクストラップのトゥルーンのところでも説明しましたが、わずか2年間の営業だったABCシューパブは調度、ディスプレイとも大変センスが良く、私は足繁くこの店に通っていました。当時ABCマートのグリーンはほとんどFウィズで別注が掛けられていたのですが、この靴はEウィズでした。 https://muuseo.com/shinshin3/items/428
グリーン参る
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1986-1987年頃製作 オールド・イングランド別注ハーロウ
1986-1987年頃製作のオールド・イングランド別注のアンラインドローファー、ハーロウです。オールド・イングランドは80年代半ばからグリーンに別注を掛けていたようです。当時グリーンを扱う唯一のフランスの会社でした。インソックのロゴがかなり薄くなっていますが、丸い模様の下にParisの文字が見えます(画像7)。アウトソールは深い刻印の大きなブロック体。ラストはハーロウ専用の61です(甲が低く踵の小さなラウンドトゥ)。チェスナッツの色もだいぶ煤けてきました(笑)。 このアンラインドのハーロウは大変軽く(恐らくグリーンの中で最軽量)、ソールの返りの良さからも長時間履いても疲れません。画像8の通り、モカ縫いはライトアングル(1)、爪先にもスキンステッチ(2)が施されており、ドーバーと同じく大変手間の掛かった造りになっています。
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1988-1989年頃製作 スタッグ製バンバリー
1988-1989年頃製作されたスタッグ製チャッカブーツ、バンバリーです。ラストはラウンドトゥの202。インソックはMADE BY~のロゴ、アウトソールの刻印は浅めの彫りの大きなブロック体です。30年近く履いていますが、状態は良好です。スタッグの中でも毛足の長い素晴らしいスエードが使われています(画像6)。金色に輝く毛の質感は普通のスエードとは全く異なるものであることが分かります。柔らかく軽く、水をはじきます。
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1994年製作 ロイドフットウェア別注 ヘイスティング黒
1994年にロイドフットウェアで購入した(黒、チェスナッツ同時購入)シングルモンクのヘイスティングHASTINGです。モカ縫いはツイストモカ、爪先のスキンステッチはドーバーと同じです。ラストもドーバーと同じ32。時期的には「最初期の新グリーン」の製作によるものと思われます。チェスナッツのヘイスティングのところにも書きましたが、いくつかはっきりと旧グリーンとは異なったところがありました。まず、腰裏の手書き文字が丸窓の中に書かれています。そのためライニングの革がもう一枚加わることになり、グリーンの長所であった柔らかな履き心地がなくなりました。アウトソールの革もオークバークではなくなり、かなり固いものになってしまっています。長時間履いても疲れなかったグリーンでしたが、この靴は一時間も歩くと脚がとても疲れました。結局、手放すことになったのですが、現グリーンへの未練をすっぱり断ち切ってくれた靴になりました。 尚、画像5-7は旧グリーン時代のヘイスティングですが、いくつか仕様が異なっています。ストラップの革の先端が「花輪くんの髪(画像8)」のように片方が尖っています。また甲上の革のカッティングが丸く収められています。
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1980年代前半製作 コードバン製パンチドキャップトゥLUDGATE
1980年代前半製作と思われるコードバン製パンチドキャップトゥLUDGATEです。赤みを抑えた渋い色合いです。ラストはラウンドトゥの149で、ウィズはEのやや細めの木型です。アイレットは6つ、前方のアイレットは左右の間隔が広くなっています。つま先のパンチングは小さく打たれて(画像5)、アイレット横には弓形にステッチが入ります。インソックのロゴはロンドン、ニューヨーク、パリの三都市。 チャーチのコードバンはオールデンに比べ薄く鞣されており、ベロ裏は中央部分だけが裏打ちされているこの靴では辺縁が割け始めています(画像8)。またヒール部分も裂け始めています(画像6)。こうしたことはオールデンのコードバンではほとんど経験がありません。イギリス人は馬と仲良しですが、馬の革の扱いはアメリカ人の方が優れているようです。
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1930-1940年代製作 マクラーレン ビスポークセミブローグ
1930-1940年代製作と思われるARTHUR D. MACLAREN製作のビスポークセミブローグです。昨年夏にイーベイで4000円で買いました。製作から80年前後は経過しているため、アッパーはカサカサに乾燥し切っていてあちこちヒビ割れしています。サフィールのレザーバームで汚れ落としをし、その後ディアマントで油分を補給しました。手入れをするとカーフはしっとり感を取り戻し、手触りも滑らかになります。 トゥ部分には色むらがありますが、渋い色合いのダークオークです。画像4の上から見たシェイプが本当にきれいで、現代の靴ではなかなか見られない美しいプロポーションです。スマートなラウンドトゥで、アイレット横のパンチングも大変小さく繊細です。アイレットの左右の間隔は狭いのですが、カンヌキの幅は広めです。ミシンステッチも大変に細かいです。ライニング前方は布製になっています(画像7)。ヒールの化粧釘も細かく打たれています(画像8)。 このマクラーレンという工房に関しては調べてもほとんどなにも分からないのですが、1970年頃までピカデリーにあったようで、グリーンにも別注を掛けていました。
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1990-1991 年頃製作 5アイレットダービー
1990-1991年頃製作の5アイレットダービーです。柔らかなフレンチカーフで、肌理が細かい上質なアッパーです。良い革は皺の入り方もキレイです。ラストはセミスクエアの33です。インソックは筆記体のスタンプで、アウトソールの刻印も筆記体です。同じモデルのスエードの靴がありますが、こちらはラウンドトゥの32ラストです。 入手直後はかなり草臥れた状態でしたが、お手入れで幾分復旧出来ました。これからライニングの革に栄養を与えます。
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明治後期製作 四方盆「はだれ雪」
明治後期製作と思われる十寸角の四方盆です。吸物膳より一回り大きなサイズで、高さがあることから膳ではなく、お盆なのだと思います。 変り塗は卵殻と檜葉を用いた「はだれ雪」で、比較的大きな檜葉を使っています。黒塗り部分には多少の擦れはありますが、木地の狂いもなく全体の状態は良好です。 しかし黒漆のお盆に焼き物を載せるのは、傷が付きやすく大変ですね。
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明治初期製作 三つ盃組台
明治初期の製作と思われる三つ盃と、それを載せる台です。台部分がなんとも可愛らしい形をしています。盃の変り塗は卵殻と松葉を用いたもので、表面には何ヵ所か漆剥げが見られます。下地の金箔ははっきりせず、むしろ銀箔ではないかと思わせる色合いです。 一番大きな盃の直径が7センチくらいですから、変り塗の出来映えはやはり素晴らしいです。
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1950-60年代製作 スタッグスエード製 2アイレットプレーントゥ
1950-1960年代の製作と思われる2アイレットのスタッグスエード製プレーントゥです。画像5のように腰裏に焼印を押されたようなサイズ、製品番号の数字がうっすら見られます。インソックにもまったくブランド名がないのですが(画像6)、その腰裏の筆跡はグリーンの職人さんの文字のようで、恐らくグリーン製の靴だと思います。スタッグとしては比較的毛足が短い方ですが、画像7のタン部分(ギザギザのところ)からもわかる通り大変厚い鹿革が使われています。ラストが分かりませんが、穏やかなラウンドトゥになっています。画像3でも分かりますが、先端がやや内向きに振られている印象です。靴紐はオリジナルの平紐。ライニングの革がとても柔らかくしっとりしていて、こんなライニングは今どこを探しても見つかりません。 ソールはシングルソールで底革はオークバークを使っているようです。ヒールの化粧釘もかなり太目の頑丈なもの。
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1960-1970年代製作 ワイルドスミス ビスポークエラスティックスリッポン ~ そのトリビア
この靴のトリビアを少々。 画像1 この靴のタンの部分の拡大ですが、前方ゴム留めの糸のステッチが大変細かくなっています。 画像2 このスエード表面の拡大ですが、非常に滑らかで綺麗ですね。50-60年前の靴とはとても思えません。 画像3 ラバーをこのように三辺で留めるのは珍しいです。 画像4-5 腰裏の文字からは製造番号が「112169」、靴のスタイルが「224」というものであることが分かります。不思議なのはこのラバー部のカッティングで文字が欠けていることです。白いステッチは文字の上を縫われており、なぜこんなことになったのだろうと考えています。筆跡はやはりグリーンの職人さんのものですので、この靴もグリーン製だと思われます。 画像7 この靴の下に写っているチェスナッツのグレインレザーの靴は、1990年頃のグリーン製バンバリー(チャッカーブーツ)です。履き口周りのステッチがこの靴の方が格段に細かいことがお分かりと思います。こんなことが出来るミシンも現在のロンドンには存在しないのでしょうね。
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1960年代製作 フォーサイス別注 アルミ製シューツリー
1960年代の製作と思われるエジンバラの百貨店、フォーサイス別注のアルミ製シューツリーです。昔は木製のツリーより金属製のツリーの方が製作数が多いくらいでしたが、現在はほとんど見掛けることがありません。ご覧のようにトゥ(画像3)とヒール(画像6)にアルミで形成したパーツ、サイズを調整するバーがあるだけの大変軽いものです。画像4でお分かりの通りアルミ部分は大変薄く作られています。 画像5、バーの中央のプラスチックのツマミでジョイント部を曲げ伸ばしして靴の内部にセットします。 画像7、このネジをクルクル回転させてサイズを合わせます。1-2ミリ単位の微調整が可能です。 画像8、トゥの金属の裏に7×8と刻印があり、英国サイズの7から8くらいに適したツリーということが分かります。 旅行に持っていくにはピッタリの軽量、小型の優れものですね。
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1960-70年代製作 ワイルドスミス ビスポークエラスティックスリッポン
1960-70年代の製作と思われるワイルドスミスのビスポークのエラスティック・スリッポンです。特別細い木型ではありませんが、美しいラウンドトゥで控えめな雰囲気が大変好ましいです。とても手触りの良い短めの毛足のスエードが使われています。サイドのゴム部分は外からはほとんど見えません。インソックはデューク・ストリートのワイルドスミスのスタンプです。画像7でハンドウェルトの証であるインソールの凹凸が見えます。 ヒールの化粧釘打ちは二連と三連のものが見え、グリーンの工房で作られた印象です。ラバーはハーフムーンでダヴテイルではありませんが、釘打ちの様子からラバーがオリジナルであることが分かります。アウトソールはオークバークを使用しているようです。
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文久三年(1863)年製作 菓子器「菊霜」
文久三年製作の菓子器です。四寸ほどの小型のもので、重台が付属しております。変り塗は松葉でできた菊模様を卵殻で囲む「菊霜」と言われるものです。木地は大変に薄いのですが、やはり狂いはありません。擦り傷がかなりありますが、出来の良い若狭塗だと思います。
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江戸後期製作 若狭塗組重
江戸後期(天保~嘉永頃?)の製作と思われる組重です。黒塗の枠の中に、七寸の五段重(画像3)の他、酒入(画像5)、小箱(画像6)が入っております。変り塗は松葉、稗を散らした青漆を用いたもので、渋く美しい色合いです。画像8でも分かる通り、松葉の輪郭がはっきりしていないのも古い若狭塗の特徴かと思います。 相変わらず木地は薄く狂いなく素晴らしい仕上がりですね。江戸、京、加賀含め、江戸期のどの産地もこの木地のレベルには達していないように思われます。「十分に時間を掛けて木地を乾燥させる」~「時は金なり」ですから、それはまさに製作にとてもお金を使っているということになります。
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