『新車年鑑1990年版』より
こんにちは。年が明け、寒さもますます厳しさを増していますが、お変わりございませんでしょうか。 さて、新形式車両の登場が活発だった頃の1冊を今回もご紹介しております。この号に関しては1年3ヶ月分の収録ということで、歴代の『新車年鑑』・『鉄道車両年鑑』の中でも随一のボリュームを誇っています。ひょっとすると制作サイドにとっては、表紙に掲載する新形式車両の写真の選定に最も悩んだ号であったかも知れませんね。 ※表紙写真形式雑感 ① #京阪8000系 電車 鴨東線の開業に際して登場した特急用車両。アルミニウム合金製大形押出型材により製作された車体には、色調を明るくした外部塗色に始まり、洗練された印象を与える各種の処理が施された。これにより、本形式は大きな人気を集めることとなり、特急用車両そのものの置き換えにも至ることとなった。 ②JR西日本 #221系 電車 国鉄から引き継いだ113系・115系・117系といった近郊形電車の後継車両として設計されたが、車両の転配属にも対応出来るよう、同社の直流電化路線全般での走行が可能な性能とされたほか、転換式クロスシートを備える3扉車両は、同社における新たな近郊形電車のスタイルとなった。後に“アーバンネットワーク”と称されることになる近畿圏の路線網の充実において大きな役割を果たしている。 ③JR東海 #キハ11形 気動車 非電化ローカル線の実情に相応しい気動車のあり方を求めるべく開発された車両。第三セクター鉄道への投入実績の多い軽快気動車をベースとしつつ、キハ85系特急形気動車に倣った英国カミンズ社製エンジンの採用によって運転性能の大幅な向上を図る等、JR各社が新規に導入する一般形気動車において、“脱国鉄化”が顕著となる契機となった形式でもある。 ④ #近鉄26000系 電車「さくらライナー」 南大阪・吉野線のいわゆる吉野特急用の車両。名阪特急用の21000系「アーバンライナー」を想起させる外形の車体ではあるが、前頭部の傾斜角を緩くしてスピード感よりもラウンド感を強調してあるほか、内外装も飛鳥・吉野地域の自然をモチーフにしたことで、16000系等の汎用型特急車ばかりだった吉野特急においてそのシンボルカーに相応しい姿となった。 ⑤JR東日本 #719系 電車 仙台地区の輸送環境改善を目的に設計・製作された近郊形電車。211系電車を交流専用形式にしたような外観ながらも、同形式とは扉間のクロスシートや側窓の配置に相違がある。また、ステップ付きの出入口や、ロングシートの出入口寄袖仕切りに取り付けられた風よけ、開閉可能な箇所を少なくした側窓等に地域性が反映されている他、台車をはじめとした一部の部品には廃車発生品が使用されている。 #図書室 #鉄道ピクトリアル #新車年鑑