『新車年鑑1987年版』より
こんにちは。 この号が刊行された頃の日本の鉄道界においては、国鉄の終焉と分割・民営化によるJR各社への移行こそが最大の関心事だったと言えます。今でこそ人々の間にすっかり定着した“JR”の呼び名ですが、当時は違和感を抱いたり奇異に感じたりする人も少なくなかったように思います。 ※表紙写真形式雑感 ①国鉄高崎局和式客車「 #やすらぎ 」 編成の両端に設けた展望室からの眺望性を高めるため大形の窓ガラスを採用したほか、各車には畳敷きのフロアの他に洋室も設ける等、単なるお座敷列車にとどめない為の発想が盛り込まれた。国鉄高崎局においては「 #くつろぎ 」を登場させて間もない時期であり、和式客車への需要と期待の高さが現れている。 ②国鉄 #キハ183系 気動車 形式上は既存のキハ183系の増備車であるが、塗色を含めた車体外観から内装、そして搭載する機関や台車等、あらゆる面での見直しと改良が図られ、北海道の特急列車のイメージアップとスピードアップに貢献したのみならず、国鉄からJRへと移り行くその象徴的な車両ともなった。 ③国鉄 #207系 電車 国鉄においてVVVFインバータ制御を実用レベルで採用した最初で最後の電車。量産車の登場も無く、VVVFインバータ制御車としての登場も民鉄の後塵を拝したと言われるが、鉄道界全体を見れば同制御を採用した電車としては早期の作であり、国鉄の技術開発力の高さを改めて示した車両であると言えよう。 ④ #北大阪急行電鉄8000形 電車「ポールスター号」 冷房の設置やVVVFインバータ制御の採用等、当時の地下鉄用車両としての新機軸をふんだんに盛り込んだ、言わば以後の電車の指針となる存在であることをアピールすべく、天の北極に最も近く方位の指針となっている北極星に準え、「ポールスター号」の愛称が付けられた。 ⑤ #東急9000系 電車 直線的な構成の車体構体やVVVFインバータ制御の採用等によって、製作コストの低減化と保守性の向上を図りつつ、車端部の1ボックスのみながらも、首都圏の通勤・通学輸送用車両としては異例となるクロスシートの設置といった居住性の向上にも力点が置かれ、“東急らしい”意欲的な内容の車両となった。 #図書室 #鉄道ピクトリアル #新車年鑑