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『虹色ほたる~永遠の夏休み』DVD
川口雅幸の小説『虹色ほたる~永遠の夏休み~』をアニメ化した劇場公開作品。
監督は『ワンピース』の劇場版などを担当した宇田鋼之介、制作は東映アニメーション。
長くテレビシリーズの延長でしか劇場作品を作っていなかった東映が、
「もう一度オリジナル長編アニメを作る」
との意気込みで作られた作品であり、興行的には失敗したものの(これについては公開時期の判断ミスなどもあったと思うが)、ストーリー・作画・音楽・演出・キャスティングに至るまで非常に高いレベルの作品に仕上がっています。
アニメーションの原点である「動かすこと」に特化したシンプルなキャラクターデザインは、一見すると手抜きのように見えますが、これが鉛筆の線で実に繊細に描かれており、それがまた活き活きと動くさまは圧巻。
題名通り、蛍が飛び回るシーンがあるのですが、なんとそこがすべて手描き!
担当したアニメーターは一か月間蛍を描き続けていたそうです。
ただ作品内で大きく作画が変わるシーンがあり、どんな演出であろうとも、これは大きなマイナス点だと思います。
登場する子ども達に、きちんと子役を配しているキャスティングもこの作品の特徴。
その芝居がひとりひとりまた素晴らしく、主演の武井さんは大塚周夫をして「勉強させられた」と言わしめたほど。
大塚周夫さんは長年アニメにおいて「アフレコの際に絵が無い」ことを苦言されていましたが、本作はアフレコ段階でほぼ画が完成しており、監督も大塚さんが喜ばれていたと語ってくれました。
もっとも、これは子役たちが演技をしやすいようにとの配慮が大きかったようです。
古き良き日本アニメーション最後の花火というべき作品であり、恐らくこんな凄い作品はもう二度と作ることはできないでしょう。
惜しむらくは、DVDでのみリリースされていること。
劇場で見た画面は非常に綿密で美しかったので、HDもしくは4kでの再発売を望みます。