Easter Parade
一時引退からの復帰作。
その経緯については有名な話 ―― もともと主役を務める予定であったジーン・ケリーが休日中のフットボールで足を骨折。自ら直接電話をして代役を頼んだ、と。
結果的には良かった、と言えるのかもしれないが、やはりトホホな話だと思う。
それはともかく。
実際の撮影がケリー版でどこまで進んでいたかは知らないが、各ダンスシーンの振り付けに関しては早くから準備が行われていたのではないか。
その根拠はアステアっぽくない振り付けが散見されることだ。
完全にソロで踊るシーンは作り変えたのだろうが、相手がいるものに関してはそうもいかなかったのだろう。
「Snooky Ookums」のように歌のシーンを扱うのは他では見られないし、「When the Midnight Choo-Choo Leaves for Alabam」では、えもいわれぬ違和感がある……アステアの腕が長く見え、足が短く見える。
などと何か悪いところばかり記しているようだが、どのナンバーも安定感があり素晴らしい。単にマニアとして意地悪に見ると、というハナシで。(アステアにはバーリンの楽曲が一番合うと思う)
今回、わざわざDVDを焼き直した理由の一つが「自分の見たいシーンにチャプターを付ける」ということで、当然 アステアのダンスシーンを総て見られるように、な訳だが、この作品に関してはジュディ・ガーランドの「演技」にも幾つか付けた。
長くなるので箇所の説明は省くが、細かい芝居が本当に上手い。単に「自然だ」というだけではなく「キュートなおかしさ」を見事に入れ込んできていて、何度も繰り返して見たくなる。
実は少し苦手な女優だが、この映画での共演は素晴らしく見える。
追:
アン・ミラーとの終盤でのデュオ「It Only Happens When I Dance With You」のダイナミックなエレガントさ、大人っぽさ、そしてアステアのズボンの丈が好きだ。