にんじん/友部正人

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1973年(昭和48年)リリース。
フォークはほとんど聴かなかったけど、大学生の時に某ドープレンタルCD屋(大阪の方)でかかっていたこのアルバムに衝撃を受けてすぐに夢中になった。
特に「乾杯」と「トーキング自動車レースブルース」は初めて聴いた時こんなにむき出しで生身の格好いい音楽があるんだって痺れた。
青年と大人の間の(自分はまだ大人になれたとは思わないけど)なんだか定まらない、目つきの悪さだけが取り柄のような人間の懐にそっと入り込む悪友みたいな人懐っこい友部さんの歌声。

『やり場のなかったヒューマニズムが 今やっと電気屋の店先で花開く』
やもすれば説教臭くなりそうなトーキングブルースもそんなハッとするような言語感覚で切りつけておいてスッと傷口に塗り込んでくる。

「トーキング自動車レースブルース」なんかは歌われる情景のあまりのシュールさに、前年に起きた実在する暴走、というか殆ど暴動?事件を歌っていると知ってビックリした。当時の記事を読んだりすると所謂『暴走族』のイメージとは比較にならない遥かにヤバい騒乱ぶりで感動してしまう。もちろん友部さんの詩の描き方が素晴らしいのだけど。

最近レコードで買い直して、状態はあまり良くないが改めて聴き惚れている。ジャケも最高だ。
「乾杯」の歌詞を表示させると間違えて長渕のやつが出てくるApple Music、いい加減な仕事してっと鼻と耳と口を切り落とすぞ。

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