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血の収穫 / ダシール・ハメット《新潮社》
新潮文庫で1975年に発行(初版は1960年)された『血の収穫』ダシール・ハメット/著、能島武文/訳です。
“探偵会社コンチネンタルのオプ(探偵員)《わたし》は、鉱山会社社長の息子ドン・ウィルソンの依頼を受け、鉱山町パースンヴィルにやってきた。
パースンヴィルは、ドンの父で鉱山会社の社長エリヒュー老が労働争議を抑えるために雇ったマフィアが町に居つき、これに対抗する警察までマフィアのようになってしまい、ポイゾンヴィル(毒の村)の異名をとるほど荒れ果てていた。
しかしその状況を改善しようとしていたドンは、オプ《わたし》が着いたその日に街中で射殺され、寝たきりのエリヒュー老は、これを機にこの町のマフィアの一掃を《わたし》に頼む。引き受けた《わたし》はドンを殺したのが銀行の出納係アルベリーであることを突き止め、自首させる。
エリヒュー老は事件がマフィアの仕業でなかったことからオプ《わたし》への依頼を終了させようとするが、《わたし》はそれを拒否して徹底的にやることを宣言する。”
ハードボイルド(したたかな)オプ(探偵)が活躍する、ハメットの処女長編小説です。
展開として、《わたし》はいくつもの殺人を調べる過程で噂や嘘を武器に、“ポイゾンヴィル”に巣食うゴロツキどもを相撃ちさせ、町の悪党を一掃することになります。
勘の良い方は気づかれたと思いますが、この作品は黒澤映画『用心棒』、『ラストマン・スタンディング』などの原案となった作品です。(『日本無責任時代』も影響受けているそうです)
ただし、主人公《わたし》の固有名が登場しないことを始めとして、感情移入が難しいことから、読み進めるのに時間がかかりました。ハヤカワ・ミステリ文庫では、「赤い収穫」の題名で出版されていますが、あまり読書には勧められない作品かもしれません。
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https://youtu.be/763cIT4IXoQ