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角川書店 角川文庫 まぼろしの怪人
昭和五十四年六月二十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和33年(1958年)から昭和34年(1959年)にかけて学年誌「中学一年コース」「中学二年コース」に連載された横溝正史の連作短編小説「まぼろしの怪人」。
クリスマスを2日後に控え、人混みで賑わう日本橋の街。“探偵小僧”のあだ名を持つ新日報社の給仕、御子柴進少年が新日報社社長令嬢の由紀子のお供で買い物をしている途中、サンタクロースの扮装をした男が大勢の人たちに追いかけられている場面に出くわした。それは映画の撮影かと思われたが、実はそのサンタクロースこそ、ここ数年、日本中を荒らしまわっている神出鬼没の怪盗“まぼろしの怪人”であった。御子柴少年、そして新日報社の敏腕記者、三津木俊助と怪盗“まぼろしの怪人”、その対決の幕が切って落とされた。
横溝正史が少年少女向けに書いたものを、山村正夫が編集構成したジュヴナイル作品ですね。今回の悪役キャラクターは、神出鬼没の怪盗“まぼろしの怪人”。稀代の変装の名人で、何年間も警察の手から逃げ続けては日本中の高価な宝石類を奪ってゆくという“アルセーヌ・ルパン”や“怪人二十面相”ばりの大怪盗ですが、そんな“まぼろしの怪人”の怪盗譚を主軸にしつつも、後半の2つのエピソードでは殺人事件を絡ませて物語に変化をつけて、読者を飽きさせないような工夫がされているのに感心しました。角川文庫には昭和54年(1979年)に収録されました。
画像は昭和54年(1979年)に角川書店より刊行された「角川文庫 まぼろしの怪人」です。白髪の鬘とマスクを脱いでいる怪しい男。稀代の変装の名人である“まぼろしの怪人”を描いた表紙画ですね。しかし一方で、この口髭を生やした顔が果たして“まぼろしの怪人”の本当の素顔なのか、ふとそんなことも思わせる素晴らしい表紙画だと思います。
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