鉄重石 (ferberite) 恵比寿鉱山 一柳坑 #0648A/B

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鉄重石はタングステンの鉱石鉱物です。小さな標本ですが、石英斑岩の母岩中に鉄重石の柱状結晶が見られます。(1枚目~4枚目が標本A、5枚目~8枚目が標本B、背景はソフトウエア処理しています。)

恵比寿鉱山は黒雲母花崗岩及び石英斑岩に存在する気成鉱床及び熱水鉱床で、主としてタングステン、ビスマス(蒼鉛)を産しました。1910(明治43)年に発見され、1912(明治45)年から本格的な採掘が始められましたが、第一次世界大戦終結に伴う需要縮小により1920(大正9)年に休山した。1929(昭和4)年に電球用フィラメントの原料となるタングステン確保のためヱビス電球株式会社に買収されましたが(恵比寿鉱山の名称の由来)、世界恐慌の影響を受けて1933(昭和8)年に再度休山、その後所有者が転変しました。戦時中の1942年(昭和17年)頃には従業員約200人で稼行、重石精鉱を月4トン生産して重要鉱山に指定されています。終戦に伴い休山しましたが、1951年(昭和26年)に共栄鉱業株式会社と東京タングステン株式会社の共同経営により再開、その後タングステンの市況低迷により1963年(昭和38年)に閉山しました。

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