菱マンガン鉱 (rhodochrosite) 稲倉石鉱山 #0383

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紅色の菱マンガン鉱を主体に、石英、方解石、黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱などを伴い、それらの鉱物が幅数mm~数cmでいわゆる累被縞状構造になっています。菱マンガン鉱の上部は透明感があるのでもう少し強いライトを当てて撮影すれば雰囲気が変わるかもしれません。

稲倉石鉱山では1885年(明治18年)に金鉱石が発見され、当初金・銀・銅鉱山として開発されましたが、1917年(大正6年)以降は鉄精錬用のマンガン鉱石が採掘されました。市況の影響を受け金・銀・銅鉱山時代から操業と休山を繰り返していましたが、1940年(昭和15年)の日独伊三国軍事同盟締結により海外からのマンガン鉱石の輸入が途絶えたため稲倉石鉱山は重要鉱山指定を受け、1944年(昭和19年)には道内マンガン生産量第1位(8万2千トン余)を記録、1953年(昭和28年)まで首位を保ちました。
戦後はフェロアロイ(鉄鋼材料製造時に添加する各種金属元素と鉄の合金)需要の増加を背景に1947年(昭和22年)に生産を再開しましたが、1963年(昭和38年)をピークにフェロアロイの需要減少や鉱量枯渇、海外からの安価な鉱石の輸入により赤字となり、1970年(昭和45年)に東方約12kmの距離にある大江鉱山と合併、同鉱山の支所となり、1984年(昭和59年)に閉山しました。

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