磁硫鉄鉱 (pyrrhotite) 赤金鉱山 赤金鉱床 #0670

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赤金鉱床は近代になってからの赤金鉱山で稼行当初から採掘されていました。本標本は銀色塊状の磁硫鉄鉱からなる高品位な硫化鉄鉱石です。1~3枚目は背景をソフトウエア処理しています。

赤金鉱山は奥州市江刺伊手口沢にあった大規模なスカルン鉱山の総称で、米里層中の米里・赤金、芝層中の大倉・東などの10の鉱床があり、鉱石は磁鉄鉱、磁硫鉄鉱、黄銅鉱などが主体でした。この地区では江戸時代から採掘が行われていましたが、近代には赤金鉱山と総称し、1893年(明治26年) には岩谷堂の村井商店が試掘権を登録、後年米里村の栗木鉱山と合併して栗木鉱山株式会社を設立しましたが、1912年(大正元年)に伊手村赤金鉱区は大阪の藤田組に譲渡されました。以後、藤田財閥の中で所有が変遷し、終戦間もない1945年(昭和20年)に同和鉱業株式会社が設立され、赤金鉱山の開発が本格化しました。赤金鉱山の銅産出量は県内全体の産銅量の一割を占めるまでとなりましたが、1972年(昭和47年)に同和鉱業の合理化に伴い鉱山事業は江刺興業株式会社に引き継がれ、世界的な銅需要の低下と銅価の下落から1978年(昭和53年) に鉱山部門が閉鎖されました。

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