Jim Kweskin & The Jug Band / Jim Kweskin And The Jug Band (US, mono, Vanguard, VRS-9139) <1963>

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Jim Kweskin & The Jug Band / Jim Kweskin And The Jug Band (US, mono, Vanguard, VRS-9139) <1963>
(Side One) VRS 9139A
(Side Two) VRS 9139B

 ジャグとは「大きな瓶」や「洗濯板」など日用雑貨を楽器として使用し、カントリーやブルースなどを演奏する1920年代の大道芸人的な音楽で、楽器の買えない貧乏な人々が中心でした。当然ながらアコースティック・サウンドで、使用する楽器の外見の楽しさ、そうした楽器の音色のユニークさなどが特徴でしょうか。とにかく成り立ちからして音楽自体が陽気です。ジャグは他にスキッフルとかスパズムなどとも言われたようです。関係ないですがジョン・レノンの最初期のバンド;クオリーメンは、スキッフル・ビートに影響されていたとか、メンバーの楽器にバンジョや洗濯板があったと言いますから、こうしたいわゆるジャグ・バンドに近いものだったのかもしれません。

 ジャグはやがて廃れましたが、ルーツ・ミュージック志向の中で1950年代のデイヴ・ヴァン・ロングらによりリヴァイヴァルし、1960年代に再度ピークを迎えました。そうした流れの中で最も有名なのがこのJim Kweskin and The Jug Bandで、(ベスト盤を除いて)4枚のアルバムをリリースしています。

 本作品は1963年のJim Kweskin and The Jug Bandのデビュー作です。ギター、バンジョ、マンドリン、カズーに並んで洗濯板、洗濯桶ベース、comb-and-tissue-paperなんていうものもクレジットされています(最後のは草笛のようにオトを出しているのでしょうか?)。楽器がこんな調子なので当然ながらピッチが不安定で多少気持ち悪いです。ただ、それも含めて個性として楽しめる、どこかとぼけた音楽です。スタンダードっぽい古い音楽を気持ちよさそうにやっていて、聴いていて楽しくなってきます。

 このバンドの4枚はいずれも評価が高いですが、「どれか一枚」と言われると、個人的には最も自由なこのデビュー作を推します。別名"Unblushing Brassiness"という名前で呼ばれることもあります。

Vocals, Guitar – Jim Kweskin
Vocals, Guitar, Kazoo – Geoff Muldaur
Banjo, Mandolin, Steel Guitar – Bob Siggins
Harmonica, Kazoo – Bruno Wolfe
Jug, Bass – Fritz Richmond

https://www.youtube.com/watch?v=a4eCzn1v080


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