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ガーネット
1月の誕生石として有名な鉱物・宝石、ガーネットです。 柘榴の実の可食部である種衣に似ていることから柘榴石とも呼ばれます。 ガーネットは、鉱物としてはグループの総称であり、パイロープ、アルマンディン、スペサルティン、アンドラダイト、グロッシュラー、ウヴァロバイト、ゴールドマナイト、ノーリンジャイト、メイジャーアイト、カルダーライト、モモイアイト、エリンガアイト、メンツェライト-(Y)、モリモトアイトから構成されます。 さらに上のグループであるスーパーグループではショーロマイトグループなどを含む41種からなります。 簡易的な相関図とそれを基にした立体模型を提示しておりますが、あくまで個人的な見解です。 ガーネットの特徴として、固溶体の存在が知られています。ガーネットにおける固溶体とは、2種類以上の端成分(鉱物種)が混じり合い全体が均一の成分となっている状態です。むしろ、端成分を示す標本はほとんど見受けられません。 宝石としてみると、固溶体の構成比や微量元素による着色により様々な名称が付けられています。 鉱物名がそのまま宝石名となるものとして、パイロープ、アルマンディン、スペサルティン、ウヴァロバイトが良く知られています。 微量元素による着色による宝石名としては、パステルカラー、ファンタカラー、グレープ、キウィ、ミント、マンダリン、タンジェリン、メラナイトなど色による区分けが良くなされます。また、宝飾業界大手の企業による商標名であるツァボライトも有名です。さらに、クロムなどの微量元素名をつけて呼ぶこともあります。 固溶体による宝石名としては、パイロープとアルマンディンの固溶体であるロードライト、パイロープとアルマンディンとスペサルタイトとグロッシュラーの固溶体であるマラヤガーネット、アンドラダイトとグロッシュラーの固溶体であるマリガーネットがあります。 近年では、カラーチェンジガーネットの色幅についても研究が進み、スペサルティンが主たる黄色のもの、パイロープが主たる青色のもの、灰赤色や灰緑色のものまで実に多様です。原因としては、二価のマンガンと三価のクロムやバナジウムの含有率の差によるもののようです。 産出地域も幅広く、種類も豊富で収集癖をくすぐる素晴らしい石です。その上、価格が比較的に安価というのもありがたいものです。
鉱物とびら
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パパラチアサファイア
パパラチアサファイア オレンジ色(写真2枚目)とピンク色(写真3枚目)の中間色のサファイアがパパラチアサファイアとされています。スリランカが発祥の地とされ、名前の由来であるハスの花の色に似た美しい色相です。ただし、サファイアにおいてオレンジ色からピンク色までの色相は幅が広く(写真6枚目)、売り手によっては少しでもピンク色もしくはオレンジ色を噛む標本を高額になるパパラチアサファイアと称して販売しています。特に多いのは淡い色調のペールピンクの色相の標本です(写真4枚目)。 また、パパラチアサファイアと認められる色相の範囲は国によっても異なります。おそらく「ピンクとオレンジの中間色で美しい色」もしくは「ハスの花の色」への文化的な感性もしくは色域の認識基準が異なるためと思われます。例えば、アメリカでは赤みの強い物が好まれ、日本ではピンクに近い物が好まれます(写真1枚目)。そのため同じ鑑別機関であっても所在する国ごとにその認定される色相の範囲にムラがあります。 スリランカが発祥の地とされていますが、同じような色調のサファイアは世界中から報告されています。特に有名なところはマダガスカルやタンザニアでしょう。もともと超大陸時代には一体であり、当該地に宝石鉱物を大規模に形成させたモザンビークベルトの一帯なので同じような産出があってもおかしくありません。個人的にはウンバ産(写真7枚目)やイラカカ産の物は赤とピンクとオレンジの間の色域が幅広く優れた産地と言えると思います。ただ、残念なことにイラカカ産やソンゲア産の標本ではベリリウム処理をして発色を人為的に変更した標本が出回り、信頼性を落としてしまっています。 いずれにしても「ピンク色からオレンジ色の中間色で、蓮の花を想起させる美しいサファイアがパパラチアサファイアである」との前提の中で手にする者の感性がこれこそはと感じたものがパパラチアサファイアなのかもしれません。
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ベリル
ベリル(Beryl) 化学組成:Be₃Al₂Si₆O₁₈ 和名にして緑柱石、ベリルの語源「緑色の宝石の総称:bērullos」と柱状の結晶構造から来た名前でしょう。 緑柱石ほど多くの宝石名を持つ鉱物もそうは無いでしょう。 緑色のエメラルド、青色のアクアマリンは有名です。このほかにも無色のゴッシェナイト、黄緑色のヘリオドール、ピンク色のモルガナイト、赤色のビクスバイト(レッドベリル)があります。このほかにも色名をベリルの前に付けることでさらに細分する流れがあります(ライムベリル、ミントベリル、グリーンベリル、イエローベリル、ゴールデンベリルなど)。また、色の濃淡で名前が変わることもあります。青色の中でもより濃い色の物はサンタマリア(サンタマリアアフリカーナ)、さらに濃い紺色の物をマシシと呼びます。 エメラルド(ミントベリル)の緑色:クロムやバナジウムによる発色(鉄による補色もある) アクアマリン(サンタマリアやマシシ)の青色:二価鉄 イエローベリル(ゴールデンベリル)の黄色:三価鉄 ヘリオドール(ライムベリルやグリーンベリル)の緑色:二価鉄と三価鉄の混同による発色 ビクスバイトやモルガナイトの赤色:マンガン これらの他にもアフガニスタン産のボロビエバイトに含まれると一時的にもて囃されたものもあります。
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マグネシオターフェアイト-2N'2S
マグネシオターフェアイト-2N'2S(Magnesiotaaffeite-2N' 2S ) 化学組成:Mg₃Al₈BeO₁₆ 通称ターフェアイトと略して呼ばれ、世界の十大稀少宝石の一つに挙げられます。 比重や硬度といった物理特性はほとんどスピネルと変わりません。スピネルの分子が4つ組み合わさった状態からマグネシウム元素一つがベリリウムに置換されることでこの鉱物種の組成に変わります。この一つのベリリウムにより結晶構造が歪み、複屈折性と二色性を有するようになります。 スリランカやタンザニア、ミャンマーが宝石質で有名です。特にスリランカで多産します。 スリランカでは、青色から赤色までの色相を有します。特に中間色の藤色や灰色が多いです。スピネルであれば鉄とクロムが発色元素になるところですが、この産地の物は長波紫外線に蛍光しないことからクロムは関与していない可能性があります。どちらかと言えば、ロードライトの鉄とマグネシウムによる発色に近い気がします。とはいえ、純粋に赤い標本やモゴック産のクロム発色のピンク色の標本、コバルト発色の鮮青色の標本もあることから発色元素の特定は今後も注目されるところです。
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スピネル
スピネル(Spinel) 化学組成:MgAl₂O₄ 結晶形の良い物は正八面体をとり、尖った角を形成します。その形状ゆえにその名は「棘」に語源を有するという説があります。 硬度が高く(モース硬度8)、コランダムと同様の産状を成し、多彩な色相を有するため、古くからサファイアやルビーと混同されることがままありました。もちろん、現在では光学特性の解析手法が広く普及し、容易かつ高精度にできるようになったので間違われることは少なくなりました。 スピネルのイメージ色は赤とする人が多いのですが、無い色は無いほどに多彩です。赤色はクロム、黄色と青色は電荷の異なる鉄(一部の青紫色はコバルト)が主たる発色元素で、結晶構造中のアルミニウム元素と入れ替わることで発色します。そのほかの色はそれぞれの発色元素の混合と濃度の違いで生じます。発色元素を含まなければ無色となります。特に黄色(オレンジ色は多い)、緑色(青緑色は多い)、無色(薄灰色は多い)は稀であるとされます。
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トパーズ
トパーズ(Topaz) 化学組成:Al₂SiO₄(F,OH)₂ 11月の誕生石として有名です。多様な色相を持ち、宝石にも好んで加工されます。珪酸塩鉱物としてはもっとも硬い(モース硬度8)一方で、強い劈開を持つために割れやすい特徴を有します。 より低温環境で形成されると水酸基を多く保有するOHタイプとなり、より高い屈折率を有するようになります。その一方でより高温環境で形成されると水酸基をあまり含まないFタイプとなり、屈折率がやや落ちます。 OHタイプは一般に退色しにくいとされ、ブラジル(オウロプレット)のインペリアルトパーズやパキスタン(カトラン)やロシア(南ウラル)のピンクトパーズが該当します。前者は色中心とクロムが結晶構造に取り込まれることで発色し、後者はクロム発色とされます。 Fタイプは紫外線や光、熱に曝すと容易に退色します。黄色や緑色、青色などありますが、その発色は色中心によるものです。結晶構造中に発色起因となる元素を含まないと無色になります。保管方法に注意が必要な標本です。
鉱物標本 トパーズ ミネラルショーとびら
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クリソベリル
クリソベリル(Chrysoberyl) 化学組成:BeAl₂O₄ 和名にして金緑石と評されるとおり、黄褐色から緑色の色相を呈する鉱物です。基本的な発色起因は鉄によるものとされています。チタン等を含むことで鉄の電荷が変わり、緑色(青み)を呈するようになるのかもしれません。 クリソベリルは宝石としても有名です。同じ鉱物とは思えないほど強い変色性を示すアレキサンドライトや猫の目のような光の帯が現れるキャッツアイが存在します。アレキサンドライトはクロムを結晶構造中に取り込むことで自然光中で青緑色を、キャンドルライトで赤紫色を呈するようになります。キャッツアイは平行に成長したチューブインクルージョンが入ってきた光を反射させて集めることで光の帯を作ります。 最近では鉄やチタンに加えてバナジウムを含むことでミントグリーンの色を呈する標本も見つかっています。
鉱物標本 クリソベリル ミネラルショーとびら
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ダイヤモンド
鉱物名:ダイヤモンド(Diamond) 化学組成:C 地球上でもっとも硬い鉱物ですが、堅くはありません。つまり、思っているよりも砕けやすい鉱物です。 高温高圧下で安定する鉱物なので地上にあること自体が驚きの存在なのです。それを可能としたのがマグマの急上昇と地殻内での急速な冷却です。 写真のダイヤモンドは多少なりとも色があります。それぞれ不純物や結晶構造のゆがみ、放射線による結晶構造の損傷等によってなされています。 黄色は一般的に広く産しますが、多産するのでとても発色の良いもの以外はあまり評価が高くありません。市場評価の高いピンク色や赤色で有名な産地と言えばオーストラリアのアーガイル鉱山ですし、南アフリカでは青色や緑色も産します。
鉱物標本 ダイヤモンド ミネラルショーとびら
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鉱物名:コランダム 宝石名:サファイア・ルビー
鉱物名:コランダム(Corundum) 化学組成:Al₂O₃ 産地:スリランカのラトナプラ地域(Ratnapura, Sri Lanka) 鉱物名はコランダムですが、宝石名の方が有名な鉱物です。 着色起因となる金属イオンの取り込みや結晶格子の欠損等によってさまざまな色相になります。赤色はルビー、その他の色はサファイアと宝石名で呼ばれます。 サファイアの中でも青色は一般的なイメージ色です。その他の色についてはその色をサファイアの前に付けて呼びます(グリーンサファイア、イエローサファイアなど)。特に高価とされる色にハスの花の色に例えられるパパラチアサファイアがあります。 #鉱物標本
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