トパゾライトガーネット/灰鉄ざくろ石

1

ガーネットとしては「灰鉄柘榴石」という品種に属するため、先に投稿していたデマントイドとの色違い種にあたります。
https://muuseo.com/tezzarite/items/75
あちらの鮮やかな翠色はCrに起因するものですが、このウィスキーのように芳醇な琥珀色はFeに由来しています。

デマントイドがダイヤモンドの如きざくろ石であるなら、こちらは "トパーズの如き" ざくろ石。

topazoという語が入っている通り、黄褐色で透明な外観が彼の石を思わせることから『トパゾライト』とも呼ばれるガーネットです。
イエローアンドラダイトと呼称すべきとの主張もありますが、黄玉に親しみを覚える身としてはこの呼び名の方が好きです。

こちらのトパゾライトはウラル山脈の蛇紋岩帯から産出した個体であります。
そのため、やはりと言うべきか結晶内部に蛇紋石系アスベストであるクリソタイルの繊維を取り込んでいる様子が確認できました。

画像3枚目に見られるような針状の結晶がそれです。
こういった結晶の外縁部位に存在するインクルージョンは、恐らく研磨加工する過程で除去されてしまうのでしょう。

宝石らしい輝きや分散光は磨かなければ拝めませんが、原石の状態でなければ観察できない光景があることも忘れてはなりませんね。

デマントイドガーネット/灰鉄 "翠" ざくろ石
ダイヤモンドの如き分散光を放つガーネット『デマントイド』の菱形十二面体です。 上記のような化学組成を有することから、ガーネットとしては「灰鉄ざくろ石」と呼ばれる品種に属しています。 そのため微弱ながら磁性を有しており、ネオジムほどの強力磁石であれば容易く吸着させることができます。 数あるガーネット族の中では硬度が最低級であり、場合によっては宝石の基準とされている水晶よりも下回ってしまうため宝飾用としてはやや不適格とも取れるかもしれません。 が、そうである反面「分散度」というパラメータはすべてのガーネット、延いてはあらゆる鉱物と比較してもトップクラス。 果てはダイヤモンドのそれを凌駕する数値を誇っていることから、前述の欠点を補って余るほどの品格がこの柘榴石には備わっているのであります。 彼の結晶面には揺らめく流紋のようなテクスチャが見られるのですが、これがまた古風なステンドグラスのようでなんとも小洒落れた風合いを醸し出しています。 この小窓から内部を覗いてみますとやはり『ホーステイル』の姿が確認できました。 これはデマントイド特有かつロシア産に多く見られる特徴で、アスベスト鉱物の一種であるクリソタイルが繊維状に内包されたものであります。 https://muuseo.com/tezzarite/items/73 研磨すればもっと鮮明に観察できるかもしれませんが、せっかくの自形結晶ですので加工せずこのままの形を残しておきたいです。
https://muuseo.com/tezzarite/items/75

Default
  • File

    fanta

    2019/11/11

    ウイスキーのような芳醇な琥珀色…というステキな表現は、まさにピッタリだと^^思ってしまいました。

    返信する
    • ありがとうございます!
      ブラウン系ってどちらかと言えばパッとしない色なので、できるだけ良い言葉を使ってみました(笑)
      ちょっと光量が多くて水割り程度に色が薄まってしまいましたが、実物はもっとストレートな琥珀色でございます😉🥃

      返信する
  • File

    sat-2019

    2019/11/12

    鉱石は、一つひとつが様々な形状や様々な色合いを魅せてくれますが、こちらのアイテムも、仰る通りの「ウイスキーのような」美しい琥珀色と共に、自然が織りなす不思議な形状に、奇跡を感ぜざるを得ません…

    返信する
    • こんな切子細工のように整然とした物体が地中から出てくるなんて驚嘆せずにはいられませんよね😮
      その環境の中に何種類の元素が居合わせて、どういった結合方式でどんな風に配列し、さらにどんな色因が生じるのか・・・

      ガーネットひとつとっても、彼のようにウイスキー色の者もいればアブサン色の者もいて、
      日本酒のように澄んだ者がいたかと思えば鮮血みたいな色の者が生まれたり、
      色とりどり千差万別な面白い世界です😉

      返信する
  • File

    shm

    2019/11/13

    デマントイドの兄弟石ですよね😃揃えたいと思っていても中々これ、と思ったものが見当たらずじまいでして、私は後回しになってます💧

    しかも綺麗なインクルージョン、、羨ましい限りです😅

    返信する
    • 仰る通りざくろ石的にもそうですし、また郷里も同じなのでまことの兄弟と言えますよね👨🏻‍🤝‍👨🏻
      シュッとした馬の尻尾は見られませんが、これはこれでなかなか楽しめるものです🤤

      私の場合この石にはトパーズ繋がりで興味が芽生えていたので見逃さないようにできましたが、人気の無さそうな色だからそもそも流通も少ないのか、原石にしろルースにしろウラル産を探すとなるとなかなかお目にかかることはできませんでしたね・・・

      とは言えそこまで躍起にならずとも、気長に待っていれば理想的な石は自ずと現れるものだと実感しています。
      焦っていては思い入れのないものを増やすばかりなので、後回しするのも賢明な対処だと思います😌

      返信する