小栗虫太郎「黒死館殺人事件」【新青年 版】

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黒死館殺人事件【新青年 版】
著者 小栗虫太郎・挿絵 松野一夫/註・校異・解題 山口雄也/解説 新保博久
出版 作品社/発行日 2017年9月28日/488ページ/定価 6800円+税

「黒死館殺人事件」は、夢野久作の「ドグラマグラ」中井英夫の「虚無への供物」と並ぶ日本の探偵小説《三大奇書》の一角です。

奇書と言っても、内容そのものはそれほど難解ではないと思います。
物語は確かに奇異なのですが、奇書たる所以はその「難読さ」にあります。
 
推理小説でありながら謎解きに重きを置かず、名探偵 法水倫太郎(のりみずりんたろう)が語る、西洋歴史学・神秘学の用語の数々。それが「不明用語の千本ノック」のように繰り出され
それに加えて、原文が【旧字体漢字】+【旧仮名使い】で書かれていて、わたしは辞書を片手に、ノートに虎の巻を作成しつつ読むという無間地獄に落ちて、早々にギブアップしてしまった。
 
この本は、その【超難読探偵小説】を極めてオリジナルに近い状態で掲載した上で、難読な部分ほぼ総てに詳細な解説を併記した、待ちに待った【夢の解読書】です。

そして、A5サイズとは言えハードカバーで488ページ、厚さは何と4.3センチ!
読み終わると、左腕の筋肉が増大してパンパンになっている《ダンベール効果》も期待できる!?恐ろしい一冊。

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