OPERATION TIGER

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アーケードのガンシューティングゲーム『オペレーションタイガー』のサウンドトラック。作曲はkaru.こと海野和子。新規ボーカル楽曲「B.K.R」を加えた、全15トラック。

1987年に稼動開始したアーケード作品『オペレーションウルフ』シリーズの第四弾。
その音楽は、まるでハリウッドアクション映画さながらの緊迫感漲るドラマティックなサウンドで、『ミズバク大冒険』や『パズルボブル』など、ポップでかわいらしい音楽を手がけることの多い海野和子の作品とは到底思えないような、意外性の強い作品である。
フルオケ生演奏のような派手さは無いものの、今聞いてもなおチープさは全く感じられない。むしろ、生音をサンプリングした音楽を簡単に作れるようになった現代にこそ、再評価すべきサウンドではないだろうか。

この作品における海野和子の作曲センスは、まるで海外の映画音楽作曲者に通じるような、クールで極力メロディを抑えた重厚な世界観となって遺憾なく発揮されており、ズンタタ作品はおろか、日本のテレビゲームにおいても非常に珍しい、本格的な「洋楽感」を備えている。

その日本人離れしたセンスは、「POINT-K MINDS&WEAPONS(BGM 3)」や、女性コーラスが印象的な物々しい楽曲「MURDER QUEEN(BGM 4)」でも十分感じられるが、このアルバムのオリジナル楽曲「B.K.R」がその最たるものである。
ただ英語で歌っているから洋楽のように聴こえる、というものではない。その音楽の質に、乾いた音の空間に、そしてラストの長い無音の空間を越えてうっすらと立ち現れる、虚無感漂う4分30秒程のピアノソロの中に、言葉に出来ない、何か日本人離れしたセンスを感じるのである。それは、決して気のせいではない。

こうした、女性作曲家の手がける「戦場を題材にしたゲーム音楽」には、男性作曲家の作る戦意を高揚させるようなものとは異なり、どこか物悲しさとロマンに満ち溢れているものが多い。
松前真奈美の手がけたアーケード作品『エリア88』然り、下村陽子と松枝賀子の手がけたSFC作品『フロントミッション』然り、菅野よう子の手がけた初代『三國志』や『信長の野望』シリーズ然り。

ズンタタの手がけた作品でもあまり顧みられない作品ではあるが、ゲーム音楽の可能性を拡げた、隠れた名盤の一枚である。

ゲームサントラが、決してただの「ゲーム内音楽の記録集」ではないことを見せつける、完成度の高い音楽作品である。
なぜならば、「B.K.R」とピアノソロ楽曲が無ければ、このアルバムは完成しないのだから。

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