十五銀行のマッチラベル

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銀行のマッチラベルというと、大半は行名とロゴマークを全面に出した質実剛健なデザインで、色も目立つ赤とか青が多かったのですが、この十五銀行のものはどこか垢抜けていて、カフェーや洋食屋のような雰囲気。

十五銀行はかつて世の中にいっぱいあった番号付き国立銀行のひとつで、設立には多くの華族が関わったため「華族銀行」とも呼ばれていたそうです。
明治10年の開業で、当時は「第十五銀行」。
預金高も日本一、宮内省御用達の大変信用の高い銀行で、現在の山手線、赤羽線、東北線、高崎線、常磐線などを敷いた日本鉄道もこの銀行の後ろ盾で設立されたんだそう。

明治30年には普通銀行に転換して「第」が外れて私営の「十五銀行」に。
本店以外に支店は東京に8店舗、大阪9店舗、京都2店舗、神戸4店舗、横浜、名古屋、堺、和歌山、西宮、岡山、広島、下関、福岡、熊本、鹿児島、川内に各1店舗という規模でした。

その後、昭和2年に恐慌で取り付け騒ぎが起き、休業に。
国の支援で一応は立ち直りましたが、結局、昭和19年には帝国銀行に戦時統合されました。

が、その帝銀も戦後は三井銀になり、三井銀も太陽神戸と合併して太陽神戸三井銀に。
さらに太陽神戸三井も「さくら銀」に行名変更となって、今じゃ三井住友銀ですもんね。
時代の流れってのはすごいですね。

今回のマッチラベルはどの時代のものかは分かりませんが、デザインの垢抜け具合から、銀行としての勢いがあった昭和2年より前ということはなさそう。
太平洋戦争開戦以前の昭和10年代ではないかと見ています。

なお、十五銀行の本店があった場所は現在の銀座8丁目で、今は銀座三井ビルになってるそうです。

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