絶対フォント感がなくても
モーツァルト:クラリネット協奏曲 K.622/バスーン協奏曲 K.191|カラヤン 日EMI EAA-126 https://muuseo.com/molo-molo/items/68 𝕄𝕠𝕝𝕠 𝕄𝕠𝕝𝕠 𝔻𝕖𝕤𝕚𝕘𝕟 見ただけで何のフォントかわかる能力のことを「絶対フォント感」と呼ぶ。デザイナーならフォントの名前を聞いただけでどんな書体かわからなければならないが、その逆ができる人はプロでもなかなかいない。しかし、絶対フォント感がなくても、誰が見てもパッとわかるフォントがある。それがAvant Garde Gothicだ。 このフォントの大きな特徴の1つ目は、オルタネートだ。たとえば、AやM、Vなどは、普通の文字の他に、斜めに倒れたような異字体がある。このオルタネートを使用することによって、文字に独特のリズムが生まれる。 もうひとつの特徴は、リガチャ(合字)である。これは、特定の文字と文字をを組み合わせたときに、まるで文字どうしが合体したかのように変形することだ。オルタネートもリガチャも、それ自体は他のフォントにも見られるものだが、Avant Garde Gothicの場合は、それらが非常に個性的な形を持っている。 だが、このようなフォントは使い方が非常に難しい。経験の浅いデザイナーほど、インパクトのあるフォントを使いたがる。テクニックがないので、どうしてもフォントに頼ってしまうのである。逆にすぐれたデザインほど、ごく普通のフォントを上手に使っている。ありふれたフォントをちゃんと使いこなせてこそ、デザイナーとして一人前である。そして、Avant Garde Gothicのような個性的なフォントを使うのは、さらにその上をいくテクニックなのである。