Atomic Heart/Mr.Children

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1994年9月1日発売。Mr.Children4枚目のアルバム。343万枚売れたらしいです。今思うとエグい数字です。多分お小遣いを貯めてCDを買った初めてのアルバムだと思う。
子供の頃に本当いやっちゅう程聴いてある時パタっと聴かなくなって、こないだ久々に聴きました。とにかく信藤三雄のアートワーク、パッケージが素晴らしいです。

初回限定は深い紺に近い青色のクリアプラスチック・三方背スリーブケースに、黄色のシンプルなタイトルとバンド表記のみ。
中はブルーのクリアプラスチックケースにブックレットは薄い水色に近い青色。つまり何層もの青が重なってあの深い青色になる訳です。

で、いざケースを開いてみると盤面はタイトルなどの簡潔な文字のみで、余計な装飾を排したほぼプレーンな銀盤。そして盤を取り外すと白いシャツで揃えたメンバーのモノクロのポートレート。見開きで目に入るブックレット裏にも同じセッションでの写真が。ここでもプラトレイが透明であることの技が効いています。見開きのシンメトリー的な相貌はデザインの静謐さと確信を際立たせます。
ここまで潔くシンプル且つ計算された美しさに満ちているアートワークには心底感服します。

前シングル群のとんでもない売れ方とバンドの勢いがあってこその自信の表れとも言えるし、
その状況でこれをやる勇気と腰の座り方がエゲツないとも言えるような名プロダクトだと思います。
ちなみにこの時のリリースツアーのパンフレットも同じ青のスリーブケースに入れる仕様になっています。そちらもいつかアップしたいですね。

話は逸れますが、CDというパッケージならではの魅力というのはまさにこういう特殊パッケージの工夫と遊び心に溢れたプロダクツにこそあると思います。
時勢的にもこういう形態がまた主流に返ってくる事はもうないと思います。ある時代の遺産として残るのもいいですが、ひとつの選択肢として残っていけば嬉しいですね。

K-POPのアーティストのCDなどのどデカい特殊仕様パッケージなんかも、もはやCDはおまけwと揶揄されていた時期もありましたが、しっかりCDに馴染みのない若年層の心をつかんでいますし、今作のようなあくまでCDの基本的な形態の枠内で創意工夫するというやり方とはまた違うものの、特殊パッケージの歴史を受け継ぐひとつの形だと思います。VHSテープみたいな形態になってるf(x)のpink tapeなんかは見ててワクワクしますね。

Atomic Heartに話を戻すと、音楽自体にもそれまでの音楽性に比べ挑戦的な部分があり、バンドの音楽性が変わっていく入り口だったと言われています。確かに曲が長いとか、歌詞が暗いとか、当時求められていたパッと聴き爽やかな曲が少ない、などあるものの、根本的にメロディもアレンジもめちゃめちゃキャッチーでポップなので、今聴いてもそこまで無茶をしてたんだなって感じはしないですね。
「Dance Dance Dance」みたいな曲にもめっちゃキャッチーなサビがあったり、「ジェラシー」だってアレンジがプログレ風なだけで歌謡曲ですしね。

当時の記憶で印象に残っているのはやはり透き通った青と深い深い青。曲でいえば「innocent world」と「Over」のイメージです。まさにジャケットそのままのような青一色の。

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