気まぐれヘッドライト/高橋エミ

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高橋エミの1977年発売のシングル。
59年「キクとイサム」でキクを演じたのち、吉田正、江口浩司に師事をし76年「旅立ちの詩」でデビューとのこと。その翌年の発売ですね。
アメリカ人とのハーフとの事ですが英語は話せなかったらしく、その歌唱からも言われなければ分からないでしょう。

AB面ともに作曲は八代亜紀「舟唄」「雨の慕情」の浜圭介、作詞は「昭和枯れすすき」の山田孝雄。編曲は小笠原寛(東てる美の「Lesbian」超名曲トーキングムードソフトボッサ歌謡!!めちゃめちゃ余談ですが「感触」のリイシューCDにはかの曲のインストバージョンが入ってて感動しました。そうなったらもうストレートにいい曲じゃん)。
めっちゃカッチリした布陣やなんて油断してると足元すくわれます。

表題は恋に破れた女?が夜中の国道をあてどなく爆走するロングドライブを描きつつ、サビで唐突に大阪地方の明日の天気予報をお伝えされる、という名・珍ファンキー歌謡。コッテリした小笠原のアレンジも好き。

B面はその名も「ブルース」よくあるなんちゃって○○ブルース歌謡的なやつかと思いきや、神様にあんたの幸せを分けてくれとお願いし、死を呼ぶブルースが聞こえるというなんとも物騒な歌。
特に2番の歌詞が好きで
『太陽が黒く壊れ この街は草がない
 荒れ果てた荒廃に 一羽のハトさえ飛びはしない』
なんて何ともいい味出してる。草がないってなんだよ。荒れ果てた荒廃?最初聴いた時、後輩が荒れてんのかと思いました。小4が作った歌詞みたい。

でもそんなこんなも高橋エミが圧倒的な絶唱で捻じ伏せます。どこか中性的でなんかずっと薄ら絶望を感じるとことか、全然スタイル違うけどチェット・ベイカーみたいだなって思いました。そう思って聴かれるとガッカリされると思いますけど。

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