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Andreas Dorau “Das Wesentliche”
またまた、Andreas Dorauのアルバムです!2019年の新録アルバムです(最新作と思っていたら、2024年にアルバム”Im Gebüsch“が出てました)。彼のバイオグラフィーについては以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品は、Das Wesentliche (ダス・ヴェゼントリッヒェ「核心」)と題されていますが、その真意は?と勘繰ってしまいます。まぁ、彼のことですので、Dorauとしての「核心」に立ち返った作品なのでは?と予想しています。なお、本来なら特別版の2枚組を買うところを、通常版の1枚だけのモノを買ってしまいました。ちょっと残念ですが、堪忍して下さい。内容的には、A面7曲/B面8曲が収録されています。殆どの曲は、DorauがVo/Synth/Gで、今回、プロデュースもやっているマルチ奏者Zwanie Jonson (ツヴァニー・ジョンソン)やギタリストのGunther Buskies (ギュンター・バスキーズ)、Kbd奏者Carsten Erobique Meyer (カーステン・エロビーク・メイヤー)及びEric Falconnier (エリック・ファルコニアー)がバックをしっかりと固めています。それでは、各曲について、紹介していきましょう。 ★A1 “Nein!” (1:59)は、Dorauしては珍しく、アコギとピアノを使った軽妙なポップ・ミュージックの小曲で、肩の力も抜けてます。新境地ですね。 ★A2 “Unsichtbare Tänzer” (3:34)は、唸るBとタイトなDrsに合わせて、軽めのシンセやSE的電子音に、優しいDorauのVoが聴ける曲で、聴きやすいです。 ★A3 “Identität” (2:07)は、跳ねるようなハッピーなリズムと手拍子に、Dorauが「可愛らしく」歌ってます。ピアノも良い具合ですねぇ。 ★A4 “Menschen Tragen Graue Hüte” (1:50)も、ハッピーソングで、やはり跳ねるようなリズムと何と!Gも入ってきます。小曲なんですが、元気が出ます! ★A5 “Wieso” (2:00)では、女性コーラスと軽快なバックに、Dorauが力まず、自然体で歌ってます。 ★A6 “Dinge Können Sich Ändern” (1:15)は、優しいシンセの音とポップなバックに、Dorauが柔らかく歌っていて、何だかほっこりします。 ★A7 “Gebrauchtes Herz” (2:52)も、アコギの弾き語りで始まる軽いポップソングです。最早、シティポップ? Dorauも自然体で歌っています。 ★B1 “Du Bist Eine Insel” (2:58)は、大歓声(ライブでは無くSEとして使っている)で始まる極めて王道ポップな曲で、シンセ以外にもアコギとかも使っていますね。間奏のシンセソロもグー! ★B2 “Naiv” (3:20)は、本作品では、ちょっと趣向が違って、打ち込みリズムに、ホーン風なシンセやエレピの演奏と絡んで、DorauのVoを聴くことができます。 ★B3 “Vielleicht” (1:05)も、エスプリの効いたラテンっぽい小曲です。Dorauは、タイトルをただただ反復して歌っています。 ★B4 “Hey Tonight” (2:22)も、打ち込みSynth-Bのリズム隊にGと言う簡素なバックで、可愛らしくDorauが歌っています。間奏のシンセソロも良き。 ★B5 “Fallen” (1:31)は、結構、細かい打ち込みを主体としたリズム隊とシンセをバックにDorauらしくしっかりと歌っています。 ★B6 “Instant Magic” (1:24)では、大胆なシンセと生ドラムをバックにDorauがタイトルを反復して歌っています。なお、シンセ度も高い曲です。 ★B7 “Schwierigkeiten” (2:41)も、シンセ度高い曲で、バックは打ち込みで、特にキックが効いています。コーラスワークが良いのと、後半のアコギもグーです! ★B8 “Was Immer Du Auch Vorhast” (2:22)は、日曜の朝のような穏やかな曲で、Gとピアノがバックの主体なんですが、Drsやコーラスも入ってきて、エンドロールとして良い感じです、 本作品は、今までと違って、割とアコースティックな要素が多いのと、短い曲が多いのですが、日本の「シティポップ(昔のニューミュージックですね)」のような軽妙で毒の無いポップソングが主体を占めています。まぁ、シティポップは言い過ぎかもしれませんが、とにかく、軽めで、肩の力を抜いた感じが、初めて聴いた時の第一印象です。まぁ、Andreas Dorauももういい歳のおじさんになったと言うことでしようか。また、歌詞に関しては、タイトルを呟くように繰り返すのも特徴ですね(彼って作詞は苦手なのかな?)。それでいて、一発で、Dorauと分かる「歌心」が、彼の持ち味でしょう。そんなDorauの歌も聴いてみませんか? それから、曲は短いものが多いのですが、アレンジは凝っていて、そんなことを考えさせずに、すんなりと聴かせてくれるのも、DorauのDorauたる所以でしょう! B2 “Naiv” (3:20) https://youtu.be/E6hh15I9M3Q?si=ZtzOIbUdOzsax5PP [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mpecD3C1IV6F2E8h2NTo3QTmPFsxAqQKk&si=iT5pBLTpbDSKVbna #AndreasDorau #DasWesentliche #TapeteRecords #SoloAlbum #HeavyGauge #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopMusic #CityPop #AcousticGuitar #Synthesizers #Choir #Drums
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Tapete Records €20.00Dr K2
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Roedelius “Plays Piano (Bloomsbury Theatre, London, July 28th, 1985)”
RoedeliusことHans-Joachim Roedeliusのソロ作品の中でも、ちょっと異色なアルバム”Plays Piano (Bloomsbury Theatre, London, July 28th, 1985)を紹介します。タイトル通り、Hans-Joachim Roedeliusが、1985年7月28日に、英国ロンドンのBloomsbury Theatreで行ったピアノ・ソロ・コンサートのライブ音源を収録した作品です。しかも、録音機材は、Sonyのプロ用カセット・レコーダーによるものです。なお、Hans-Joachim Roedeliusのバイオグラフィーについては以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。始めは、各曲について紹介していこうかとも考えていたのですが、曲間が不明瞭なこともあり、全体的な紹介をしたいと思います。 A1 “Part 1” (2:06) A2 “Part 2” (3:53) A3 “Part 3” (1:57) A4 “Part 4” (2:55) A5 “Part 5” (2:56) A6 “Part 6” (1:35) A7 “Part 7” (2:50) A8 “Part 8” (1:32) A9 “Part 9” (6:41) A10 “Part 10” (2:17) B1 “Part 11” (2:42) B2 “Part 12” (1:33) B3 “Part 13” (2:23) B4 “Part 14” (1:51) B5 “Part 15” (5:26) B6 “Part 16” (1:56) B7 “Part 17” (5:15) B8 “Part 18” (3:29) B9 “Part 19” (3:09) B10 “Part 20” (0:57) B11 “Part 21” (1:34) この作品は、本当にRoedeliusのリリカルで繊細な感性に基づいて録音されたアルバムだなあと感心させられます。生ピアノ自体は、私的には「論理的」な楽器と考えているのですが、普通、ピアノの独奏とかは、逆に「感性」の楽器なんだと思います。それ故か、彼のソロで弾くピアノはツルッとした滑沢な表面の中に、時に悲しげに、時に弾けるように、時に元気一杯で、時に思慮深く、様々な表情を見せてくれるようで、聴き流してても、注意深く聴いても、許してくれます!そんな様々な捉え方の出来る音楽がこのアルバムには詰まっていますので、さあ、Let’s listen❗️ A10 “Part 10” (2:17) https://youtu.be/6xId5hW_E4o?si=iUr8S6uVwKyNYkxP [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nif22rX4wi2Fp5rIZOupFDbvqgG77XvJU&si=06z0e6lW9NSm7RGX #Roedelius #Hans-JoachimRoedelius #PlaysPiano #BloomsburyTheatre,London,July28th,1985 #BureauB #LiveAlbum #SoloAlbum #ModernClassic #Contemporary #PianoSolo
Modern Classic Bureau B 1400円Dr K2
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Günter Schickert “Kinder In Der Wildnis”
これも謎物件ですね。私は、このアーティストGünter Schickert (ギュンター・シッカート)のことは全然知りませんでした。多分、通販サイトを眺めていて、ちょっと視聴して琴線に触れたのでしょう。なので、先ずは、Günter Schickertのバイオグラフィーを調べてみました。Schickertは、1949年4月25日、Berlin生まれで、1962年には、トランペットを習っていましたが、1967年にはGを習った方が良いと言われ、それ以降、彼のメインの楽器になります。1960年代には、Schickertは、ベルリン・スクールな電子音楽もやっており、その後、1971年に、フリージャズを演奏し始めますが、一方で、Klaus Schulzeのローディー兼優秀な電子音楽エンジニアとしても働きつつ、Schulzeとも「ホームセッション」を行なって、腕を磨いていたとのこと。そうして、1973年に、エコーマシンとGだけを使用した「エコーギター」で、ファースト・ソロLP”Samtvogel”を自費出版しています。この作品は、1976年には、Brain RecordsがLPで再発しており、その後も度々再発されています。同年1976年には、Axel Struck (G, Vo)とMichael Leske (Drs, Perc)と共にGAMと言うバンドを結成していますが、このバンドは、「Krautrockは1970年代中盤には死んだ」と言われていたことに対抗して結成されたベースレス・バンドで、Guru GuruやAsh Ra Tempelのようなフリークアウトした音楽を更に高めようとしていたそうです(私は未聴)。ただ、Discogsで確認すると、GAMとしては、現在までに3作品しか出していないです。話しをSchickertに戻すと、彼は、1979年に、セカンド・ソロ・アルバム”Überfällig”をSky Recordsから出しており、この時には、Charles M. HeuerがDrsでゲスト参加しています。この頃には、彼は「ギター・マエストロ」とか「レジェンド」と呼ばれていたようです。その後、1983年に、彼はソロ作品を、英国YHR Tapesからカセットでリリースしており、その後もカセット、CDR、CD等の様々なフォーマットでリイシューされ、しかも、微妙に曲順や収録曲が変わっていると言う難儀な代物となっています。ただ、1980年代〜1990年代には、ソロとしては、2〜3作品しか出しておらず、また、主に音楽と演劇の為のNo Zen Orchestraとしても2作品しか確認できませんが、Ziguriと言うGünter Schickert, Udo Erdenreich, Dieter Kölsch, Zam Johnsonから成るヒプノティックでトランスかつハンマービートとサイケを混ぜたような音楽をやるプロジェクトを1987年〜1997年に盛んにやっていたそうで、このプロジェクトは、2011年に復活しています。2000年代以降になって、漸く、コンスタントに、ソロを含め、様々なバンド(?)で作品を出していくようになり、現在も現役で活動しているようです。 以上が、Günter Schickertの簡単な略歴ですが、恐らく、独国内のクラウトロック・ファンからは、日本とかで想像する以上に、高く評価されてきたと思われます。それでは、本作品“Kinder In Der Wildnis”(両面5曲ずつ収録)の各曲について紹介していきましよう。なお、A5とB5はボートラとなっています。 ★A1 “Höllentanz” (5:41)では、いきなりDrsとG、それにVoから始まって、ちょっとビックリしましたが、滑らかなグニャグニャのGワークと不定形かつ反復するVoが如何にもクラウトロックっぽいですね。 ★A2 “Rabe In Der Nacht” (8:43)は、エフェクトを掛けたGで始まりますが、割とリズミックで、ちょっと意外な感じもします。しかし、pヒプノティックな曲調は独逸ロックならではですね。なお、後半はGを弾きまくってます。終わり方もグー! ★A3 “Es Ist Schon Kurz Vor 12” (6:37)は、まるでギターシンセのようなGの反復から始まり、そこにまろやかなトーンのGが絡んできて、その対比が面白いです。更に後には不明瞭なVoやDrsも入ってきます。 ★A4 “Gitarre Wahnsinn” (4:49)は、A3と連続して、アルペジオGと通奏低音から成る、これまたミニマルな曲ですが、やがて別のGを弾きまくります! ★A5 “Wohin SollI Ich Gehen (bonus)” (3:33)は、Drsのビートを中心に微かなGとヘナヘナな掛け合いVoが入ってくるミニマルな曲で、ヘナった感じがグー! ★B1 “Suleika” (6:17)は、声と物音から始まり、金属質なGの反復リフに、超絶Drsがビートを刻むヒプノティックな曲で、後ろで低音Gをかき鳴らしています。 ★B2 “Schwarz Voll Weiss” (2:04)は、土着的ドコドコDrsに、ホーンらしき音がメロディを成して、その後ろで、Gのアルペジオが聴こえています。 ★B3 “7/5” (4:59)も、B2と連続して、緩やかなGによるアンビエンスに、トランペットも加わり、後ろでは花火の音等のフィールド録音が配置された曲ですね。 ★B4 “Kinder In Der Wildnis” (5:35)では、ノリの良いアップテンポな曲で、Gはひたすら掻きむしり、トランペットも煽ってきますが、NDWっぽいVoが特徴かな? ★B5 “Leihst Du Mir Dein Ohr (bonus)” (5:10)では、ハイハットとキックによるDrsとミニマルなBやG、それに聴き取りにくい2人のVoが無関係に掛け合いをしています。 個人的には、ジャケから受ける印象程、プログレ臭さは感じませんでした。寧ろ、曲によってはNeue Deutsche Welle的なユーモアやミニマルさも感じられて、ここら辺にクラウトロックとNDWのミッシング・リンクがあるのかなとも思います。ただ、バイオグラフィーに書いた「エコーギター」はそれ程出てこなかったようにも感じられ、ちょっと残念でした。ただ、もろプログレ感は少なく、どちらかと言うと、人力ミニマル・ポップとも言える印象ですね。元々はカセット作品だったので、こんな風になってしまったのではないでしょうか? でも、こんなポップネスも有りかもよ! https://youtu.be/5Px6vQUR3Rk?si=XByHfcbXsx5hH9o8の [BandcampのURLも貼っておきます] https://gnterschickert.bandcamp.com/album/kinder-in-der-wildnis #GünterSchickert #KinderInDerWildnis #BureauB #2013年 #重量盤 #YHRTapes #1983年 #CassetteFormat #Krautrock #Minimal #Hypnotic #EchoGuitarists#GuitarMaestro #ElectronicMusicEngineer #KlausSchulze #GuitarMaestro #ManuelGöttsching #CAMl
Krautrock / Minimal / Hypnotic Bureau B (YHR Tapes) 1700円Dr K2