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Die Haut “Der Karibische Western”
私が、このバンドを知ったのは、親友の(故)K合くんが、このマキシ・シングルを買って、聴かせてくれたからで、一発で気に入ったものの、購入する機会を失して、漸く、40年余りの時を経て入手しました。ただ、その後、1990年代に一度、Die Haut (ディー・ハウト;「皮膚」の意)のCD”Head On”も聴いてみたのですが、このマキシ・シングル程の衝撃は無かったです。 それはさておき、先ず、Die Hautのバイオグラフィーを少し書いておきます。Die Hautは、1982年に、独ベルリンで、Martin Peter (G), Remo Park (G), Christoph Dreher (B), Thomas Wydler (Drs)によって結成されたインスト・バンドなのですが、彼等のレコーディングやライブでは、誰がしかがVoでゲスト参加するようになります(今までにNick Cave, Kid Congo Powers, Anita Lane, Debbie Harry, Mick Harvey, Jeffrey Lee Pierce, Blixa Bargeld, Lydia Lunch, Alexander Hacke, Arto Lindsay, Kim Gordon, Cristina Martinez, Laurie Tomin, Alan Vega, Louisa Bradshaw, Danielle de Picciottoがゲスト参加しています)。また、メンバーも解散するまでに代わっており、唯一、Christoph Dreherだけがオリジナル・メンバーとして残っています。一方で、彼は作家/監督/映像作家としても活動しています。1985年に、 Dreherは、Remo Parkと袂を分かち、Die Hautを継続していきます。1985年には、Einstrützende NeubautenのメンバーとなるJochen Arbeitが、その後、Rudolph Moserも、Die Hautに加入しますが、1997年にバンドは、アルバム”Spring”を出して正式に解散しています。因みに、その翌年、このアルバムのリミックス・アルバム”Springer”が出ています。 それでは、本作品”Der Karibische Western (デァ・カリビッシェ・ヴェシュテルン)についてですが、メンバーは、Martin Peter (G), Remo Park (G), Christoph Dreher (B), Thomas Wydler (Drs)で、何と!録音は、英国This HeatのスタジオCold Storageで、エンジニアとミックスダウンは、Charles Bullenがやっています。そして、今回、A面には、ゲストVoとして、Stella Rocoなる女性がクレジットされていますが、実は、これ、Lydia Lunchのことなんです。それで、Die Hautは、結成した1982年に自費出版で、セルフタイトルのLPを出しており、同年には、本作品を通好みの独レーベルZensor(ツェンゾー)からファースト・シングルとして、12インチのミニアルバムをデビューアルバムとして大手Monogramから出しています。そう言う意味では、結構ラッキーな出だしだったと思います。と言う訳で、本作品の各3曲をそれぞれご紹介していきたいと思います。 ★A “Der Karibische Western” (5:25)は、怪しげなビートで始まり、Gが入ってくると、タイトル/ジャケ通り、マカロニ・ウェスタンをサーフで演奏している曲で、メチャクチャカッコ良いです。中盤にStella Roco (Lydia Lunchとすぐ分かる声質)によるハスキーなVoが入ってきますが、その後のアレンジもイカしています。この曲は何度もリピしてしまいます! ★B1 “Virginia” (2:16)は、つんのめるようなアップテンポのリズム隊に、2本のGによるNo Wave的なタメのあるフレーズが絡むインスト曲で、中々イケます。 ★B2 “Die Faulen Hunde Von Tijuana” (4:04)は、ダルでスローなリズムに合わせて、ポツポツとBやGが爪弾かれる、何とも寒々しいインスト曲で、バックには、「風のひゅうひゅうした音」が流れていますが、これはNick Caveによるものだそうです。 個人的には、何度もテープとかで聴いてきたA面のタイトル曲がもうカッコ良過ぎて、ツボってしまって、泣きそうです。しかしながら、改めて聴くと、結構、BとかDrsのボトムの音がしっかりしているのを感じました。また、B面の2曲もそれぞれ味があって、その粋な音楽に感動しました。B2のTijuana (ティファナ)とは米とメキシコの国境にあるメキシコ側の街で、昔からコカインや麻薬の密輸で有名で、B2では、麻薬とかで働く気も起きないような怠惰な日常を曲にしたのだと想像します。後、彼等の容姿がいつも崩したスーツ姿で、如何にもスタリッシュなワルな所も高得点です。それにしても、このマキシ・シングルの出来は格別ですので、皆さんも是非聴いてみて下さい!大推薦です!! A “Der Karibische Western” (5:25) https://youtu.be/PDahD0RR3-0?si=CpJsZE4jj-h2N1u0 B1 “Virginia” (2:16) https://youtu.be/FW1M5rF46PA?si=YjtKyuP1oCjpTAVt B2 “Die Faulen Hunde Von Tijuana” (4:04) https://youtu.be/1hv08yco5V4?si=A_yOOoHsjLZOFYAC [オマケ: 1982年7月2日ケルンでのライブ] https://youtu.be/Lva0-GHt_4E?si=NgbRM8E9NUDTyeez #DieHaut #DerKaribischeWestern #Zensor #12-inchMaxiSingle #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Instrumental #Surf #Western #NoWave #Recording #ColdStorage #Engineer #CharlesBullen #Virginia #DieFaulenHundeVonTijuana #MartinPeter #RemoPark #ChristophDreher #ThomasWydler #GuestVocal #StellaRoco #LydiaLunch #NickCave
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Instrumental / Surf Zensor £27.98Dr K2
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Trümmerfrauen “Glasaugen“
Trümmerfrauen (トリゥマーフラウエン)は、独マンハイムから出てきた女性NDWバンドで、ハイデルベルク出身のStephanie Groth (G, Vo), フライブルク出身のGabi Streckfuß (Synth, Vo), マンハイム出身のIngrid Janowsky (B, Vo), 同じくマンハイム出身のPia Lenz (Drs)から成ります。バイオグラフィーについてちょっと調べてみました。1979年末にルートヴィッヒシャーフェンにて、Janowsky (B)とLenz (Drs)によって、フェミニスト・パンク・バンドとして始まりますが、この2人は楽器の演奏方法については全くの無知だったので、ただただ演奏したいと思って練習していました。そこに、2人と同じような人物と出会うことになります。それがGrothで、彼女が住んでいたハイデルベルクは、自動車で30分もかからない所に住んでいました。Grothは、先の2人が出していたギタリスト募集を見つけて、何故だか良く分からないまま、2人にコンタクトを取ります。それで、1980年4月5日に、最初のコンサートを敢行しています。彼女達は、自分達自身を「歳なんか取らない」と呼んでしたそうです。1980年11月から、バンド名をTrümmerfrauenとし、彼女達の音楽を更に進化させる為に、Streckfuß (Synth)が加入するのを待っていました。そして、4人は、あっと言う間に、マンハイムのパンクシーンに入り込みます。1981年11月に、彼女達は、ベルリンで、本作品でもあるデビュー・シングル”Glasaugen”を録音し、Zensorからリリースされます。その数ヶ月後の1982年4月に、Lenzがバンドを辞めてしまい、残りのメンバーでバンドを続けますが、やがてバンドは消滅してしまいます。なお、その後、1986年に、セルフタイトルのカセットが、レーベルIn Der Tatからリリースされており、この作品は、2017年には、ボーナストラック5曲を加えて、Danger RecordsからLPとして再発されています。 以上が、Trümmerfrauenの略歴で、活動中にリリースされた唯一の作品がこのシングルとなります。それでは、各面の曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Gelbkreuz” (2:57)は、簡素なリズム隊に、呪文のような2人のVoが乗る曲で、何かの呪術/祭儀を行っているようです。 ★A2 “Arbeit” (3:20)は、ややダウナーなフレーズとベースラインから成る曲で、深淵から浮かび上がるシンセのフレーズの効果的で、最後に近づくと、、! ★B1 “Glasaugen” (2:50)は、元気一杯のパンキッシュな曲で、複数でのVoの掛け合いが初々しくて、堪らないです。割とバックの演奏は控えめで、Voに重点が置かれたミックスが良かったです。 少ーしだけ、初期のThe Raincoutsを思い出すような、決して上手くはないが、そこに存在して当然の如く、音の鳴りのよい佳作曲が3曲も収録されているのは嬉しい。この頃って女性バンドがやたらと出てきましたが、どれも元気一杯で初々しくて、魅力的なバンドが多かったですね。そんな中でも、Trümmerfrauenは、憂いのような感情も感じられて、興味深かったです。また、シンセの使い方も出しゃばり過ぎず、良かったです。出来れば、またちょっと続けて欲しかったと思います。そう言う意味では、セルフ・コンピレーション・アルバムも入手しなきゃです! https://youtu.be/OM6Djgg1s9o?si=1E3WmmnNyAce-I3C #Trümmerfrauen #Glasaugen #Arbeit #Gelbkreuz #Zensor #1982年 #7-InchSingle #AllFemaleBand #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #FeministPunk #StephanieGroth #GabiStreckfuß #IngridJanowsky #PiaLenz
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Zensor 不明Dr K2
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Frieder Butzmann “Das Mädchen Auf Der Schaukel”
稀代の天才電子音楽家Frieder Butzmannのソロとしてはセカンド・アルバムになります。バイオグラフィーは前回紹介しましたので、そちらをご参照下さい。タイトルは「ブランコの少女」の意。しかしそれが何を言いたいかは不明(と言うか、NDWのグループやアーティストのタイトルって意味不明なのが多い)ですが、このスチールはThomas Kieselの短編映画”Incendio Italians”から取られたものらしいです。今回は音質重視なのか45回転12㌅EP2枚組の仕様です。この作品は、1984年にリリースされていますが、録音自体は1982年に行われています。彼の作品は、冷戦下西ベルリンで育まれた奇怪な電子音楽或いは実験的ポップソングですが、ここでは比較的分かりやすい形で収められています。D3を除いて、ほぼほぼ全曲をFriederが作詞・作曲したいますが、D3だけはJean Derauxが作詞・作曲しており、やや異質な感もあります。Friederの曲は合っているのかいないのかが分からないと言うか「脱臼したハーモニー」が特徴なのですが、本作品では最小限に使用されており、何となくリズムなどがハッキリしている曲が多いです。また、本作品には、映像作家Michael Simbruckの映像作品に使用されたトラックD1”Der Letzte Akt”も収められています。 Frieder Butzmann初心者でも受け入れ易い作品だとは思いますので、西ベルリンの空気感を体験したい方は是非聴いてみて下さい。 ◼️EP1 A1 “Der Zauber Des Waldes” (3:52) A2 “Tschomleh (Worte)” (2:15) A3 “Gläserne Jugend” (6:15) B “Incendio” (11:56) ◼️EP2 C1 “Dunkle Gänge - Bunte Flüge” (4:27) C2 “Wolfsburg” (8:07) C3 “Der Endgültige Werwolf” (1:22) D1 “Der Letzte Akt” (3:45) D2 “Arbeitslied II” (3:45) D3 “Rubber Toys” (5:42) A3 “Gläserne Jugend” (6:15) https://youtu.be/x9Lp9mo49VY?si=X8-5okhBb3WQHVEo B “Incendio” (11:56) https://youtu.be/qqj_IGq4FBQ?si=1mdfs3esryJjm-H2 C2 “Wolfsburg” (8:07) https://youtu.be/XQ2GQGN2QGE?si=hzCrp-B0Yp_9RQqq D1 “Der Letzte Akt” (3:45) https://youtu.be/tA_8K9ELHR0?si=sBiVA467vmFY3bVu D2 “Arbeitslied II” (3:45) https://youtu.be/q2TiAZgh0Ho?si=g27H0i8Um_D_0wXf #FriederButzmann #DasMädchenAufDerSchaukel #Zensor #ElectronicMusic #AvantPop #Experimental #NeueDeutscheWelle #GermanNeueWelle #Berlin
Experimental Pop Zensor 4180円Dr K2
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Frieder Butzmann “ Vertrauensmann Des Volkes”
先程、紹介したFrieder Butzmannのセカンドアルバムです。こちらはちゃんとしたLPですが、曲が殆どが1分台の為か、曲間が区別がし難い仕様になっています。その内2曲だけ6分台の曲があります。彼は主にドイツのレコード・レーベルZensorからリリースしています。本作では、よりプリミティブな録音ですが、相変わらずの天然な天才振りを発揮しています。テープループやテープ加工、アナログシンセの効果的な使用、音声の加工、不明瞭なリズムの導入(基本的にはビートでは無いです)等々、何でしょうか、Der Planとかと違った意味で、音自体で遊んでいるような曲調と言えばいいのでしょうか?何とも形容し難い音楽なんですが、それがアヴァンギャルドに成らない寸でのところで立ち止まった音楽で、その為にポップネスも感じられる音楽とでも言いましようか。そんな風変わりな作風は彼の持ち味になっています。また、A面には日本語の浪曲のような声も入っています。なお、B4にはPsychic TV (元TG)のGenesis P-Orridgeが客演しています。 ここで、彼のキャリアを簡単に。Friederは、1975年から、ベルリン工科大学で、音楽論と情報理論学及び心理学を学び、Zensorでバイトしながら、1977年にパンクを、1978年初頭には既にポストパンクをやっていました。1980-1984年では、Thomas KieselとAlexander Hacke(ノイバウテンのメンバーでしたね)と共に、ドイツ国内だけではなく、フランスやオーストリア、アメリカでも勢力的にライブをやっています。また、実験的ラジオ・パフォーマンスも行なっており、サウンド・アートにも手を伸ばしているようです。 気になる方は、日本のSuezan Studiosからも再発CDが出ているようなので、是非とも聴いてみて下さい。 A1 “Geflüster” (1:35) A2 “Arbeitslied” (1:33) A3 “Die Kleinen Tiere” (1:08) A4 “Ballo Ballo” (1:59) A5 “New Life” (1:55) A6 “Hibakuschas” (6:02) A7 “Verletzter Buddha” (2:38) A8 “Sadismus Und Konkurrenz” (1:21) A9 “Tonight's Musik” (0:39) B1 “Tonight's Musik Part Two” (1:17) B2 “Zivilisation” (10:15) B3 “CFMC” (1:12) B4 “Just Drifting / Tales Of Death” (5:33) A6 “Hibakuschas” (6:02) https://youtu.be/zri6OyKfcWM?si=k9sN3GcAPwud9qhd B2 “Zivilisation” (10:15) https://youtu.be/A3QrSkCKqVk?si=7YnQ8bTgvhFJMxWB B4 “Just Drifting / Tales Of Death” (5:33) https://youtu.be/KlYCspHmklc?si=kHVm3b1MTFJOqaFJ #FriederButzmann #VertrauensmannDesVolkes #Zensor #SecondAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #SoundManipulation #Guest #GenesisP-Orridge
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Zensor 不明Dr K2