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Métal Urbain “Panik!”
これは、思わず買うでしょ‼️仏のエレクトロ・パンクMétal Urbainのセルフ・コンピ・アルバムの一つ”Panik!”です。2023年現在、一番新しいアルバムなので、入手はし易いと思います。何故、私が、このバンドに注目したか?ですが、それは、昔、平沢進が、P-Modelを始めるにあたって、Métal Urbainも参考にしたと言う噂を聞いていたからです。それでは、先ず、Métal Urbainのバイオグラフィーを簡単にご紹介しておきます。Métal Urbainは、仏Parisで1976年に結成された仏最初のパンク・バンドの一つです。彼等のユニークなところは、The ClashやSex Pistolsなどの初期パンクに影響を受けながらも、一方で、Lou Reedの”Metal Machine Music”の電子音にも影響を受けていたことです。その為か、彼等の編成は、ギターの他にドラムマシンとシンセが入っており、ドラマーがいなかったことも特異でした。結成時(1976年6月〜1977年5月)のメンツは、Clode Panik (Vo: 本名Claude Peronne), Eric Débris (Synth: 本名Eric Daugu), Zip Zinc (Synth: 本名Jean-Pierre Zing), Rikky Darling (G: 本名Eric Feidt)で、その後、Zip ZincとRikky Darlingが脱退した為、Hermann Schwartz (G: 本名Jean-Louis Boulanger), Pat Lüger (G: 本名Patrick Boulanger)が加入していますが、1978年12月に、今度は、Clode Panikが脱退したので、Eric Débrisがヴォーカルとシンセの担当になります。その後、1979年7月に、Charlie H. (Synth: 本名Charles Hurbier)が加入したので、Eric Débrisはヴォーカルに専念しています。この時期に、スピンオフバンドMetal BoysやDoctor Mix and the Remixを並行してやり始めます。その後、1980年2月に、SchwartzとLügerの2人のギタリストがDesperadosを結成する為に脱退し、オリジナル・メンバーのRikky Darling (G)が1980年から再加入しています。結成当初から彼等は、アルバムよりもシングルのリリースに注力しており、最初のシングル”Panik”を仏Cobra (このレーベルは元々は電子音楽系プログレのレーベル)より1977年に出しており、同年には、シングル"Paris Maquis"も英国Rough Tradeよりリリースしています。英国ではJohn PeelやRough Tradeのお陰で、多少の反響はありましたが、仏ではパンク・シーンは盛り上げっていなかったので、殆ど無視されていました。1981年に、Métal Urbainは、この時期、唯一のアルバム”Les hommes morts sont dangereux”を仏レーベルCelluloidよりリリースしますが、これは新録ではなく、シングル曲やBBCなどでの録音曲或いはライブ音源をコンパイルした内容となっています。しかしながら、同年にバンドは解散してしまいます。彼等のエレクトロニクスへのアプローチは、後進のThe Jesus and Mary Chain, Bérurier Noir, Steve Albini (Big Black)にも影響を与えたと言われています。2003年に、Métal Urbainは、Éric Débris (Vo, Machines), Hermann Schwartz (G, Chorus), Vott (G, Chorus), Jérôme Solo (Machines, Chorus)のメンバーで再結成し、Jello Biafraのプロデュースでアルバム”J'Irai Chier Dans Ton Vomi”をリリースして、現役で活動しています。ザッとMétal Urbainの流れはこのようになります。 それで、本作品”Panik!”について紹介していきます。先述と通り、本作品はセルフ・コンピ・アルバムなので、新緑は無いです。なので、参加メンバーとしては、Clode Panik, Eric Débris, Hermann Schwartz, Pat Lüger, Zip Zincが主で、一部の曲にMiss O.D. (Chorus)とRikky Darling (G)も参加しています。なので、1976年~1978年辺りの音源だと思います。全体の印象は、仏語で汚く歌うヴォーカルと、ハードロックな分厚いギター、ヘナヘナとしたリズムを刻むドラムマシンとシンセとから成る異形のパンク・ロックなんですが、それまでは、今挙げた3つの要素はどれも噛み合わないと思われていました。しかしながら、彼等は何のマジックか?それらを融合させた何処にも無い「ロック」を演奏しています❗️大体、ベースがいないのも変だし。そもそも、これは「パンク」なのか?まあ既成の概念をぶち壊すのがパンクなら、彼等程、革新的に間違い無く「パンク」な連中はいないと言えますね。しかも、この路線を貫いたのが、どのパンク・バンド(Sex Pistols等に代表される英国のパンク・バンド全て)よりも、正しくパンクなんだよなぁ❗️兎に角、一度、聴いて欲しい、パンクなアルバムです!大推薦‼️それにしても、A4 “Lady Coca Cola”やA8 “Metal Urbain”のむちゃくちゃさ加減は一聴に値しますね。 収録曲のクレジットです。 A1 “Hystérie Connective”、 A2 “Ghetto” A3 “Clé De Contact” A4 “Lady Coca Cola” A5 “Panik” A6 “Futurama” A7 “Anarchie Au Palace” A8 “Metal Urbain” B1 “Paris Maquis” B2 “Pop Poubelle” B3 “50-50” B4 “Atlantis” B5 “E 202” B6 “Numéro Zéro” A5 “Panik” https://youtu.be/3BiF1zVAMuk?si=3co5fnqzw7HHnCuS [full album] https://youtu.be/vzR_-PmlTec?si=0Ffy--G8RcXXhj6T #MétalUrbain #Panik! #CleopatraRecords #SelfCompilationAlbum #FrenchPunk #SynthPunk #PunkRock #DrumMachine #Synthesizers #Remastering #SingleCollection #ClodePanik #EricDébris #HermannSchwartz #PatLüger #ZipZinc #MissO.D. #RikkyDarling
Synth Punk Cleopatra Records 2764円Dr K2
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Jah Wobble “Metal Box-Rebuilt In Dub”
Jah Wobble。衝撃のデビューを飾ったPublic Image Limited (PiL)の初代ベーシスト。パンクのアイコンがいきなりポストパンクに変貌し、その時のオリジナル・メンバーとして、2枚のアルバムにベースで参加していました。その後、彼は、Holger Czukayらとのコラボ作品やら自身のバンドThe Human Condition (カセットでしか出ていない!今、一番聴きたいパンド)、その後のInvedars of the Heartなどやってきたツワモノです。なので、ちょっとだけバイオグラフィーを。本名John Joseph Wardle。実は彼はJohn Lydonとは1970年代からの学友で、2人は、John Greyと後のSid ViciousことJohn Simon Ritchieと一緒にThe Four Johnsと言うグループを作っていました。Jah Wobblesと言うステージ名はSidが「観客が絶対忘れない」名前でと付けたそうです。最初の頃は、ドラックとお酒まみれで、スクワットしていました。初めはギターで色々遊んでいたのですが、1975年にBob Marley & The Wailersを観て、そのベーシストのAston "Family Man" Barrettに衝撃を受けて、ベースに転向したそうで、Lydonとも色々やってたみたいです。LydonがSex Pistolsを脱退した時、1978年5月に一緒にリハをして、その年の7月にはPILのメンバーとして正式に参加となります。まあ、PILではJahの引き摺るような重いファットなベースラインが特徴でした。ただ、Jahは更なる音楽的発展を目指していたので、PILのセカンドアルバム”Metal Box”が出た頃から、このアルバムに使われなかった音源を用いて作った作品"Betrayal”を1980年にリリースします。PiLを脱退後、彼は、Dave "Animal" Maltbyをギターに、PiLのオリジナル・メンバーの Jim WalkerをドラムにしたThe Human Conditionを結成、ツアーを敢行し、2本のライブ録音カセット作品を残ります。また、CanのHolger Czukayのソロ作品で、HolgerとJaki Liebezeitとコラボして、アルバム”On the Way To The Peak of Normal”と”Rome Remains Rome”に参加、更には3名のコラボアルバムとして”Full Circle”を1984年にリリースします。その後、1982年にJahは自身のバンドInvaders of the Heartを結成します。メンバーはOllie Marland (Kbd), Annie Whitehead (Trombone), Neville Murray (Perc), Cliff (Dr)(1983年にはLee Partisに代わる), Harry Beckett (Trumpet), B.J.Cole (Steel G)、そしてJah Wobble (B)となっています。しかしながら、Jahは、お酒で身を持ち崩すようになりますが、1985年以降はキッパリと断酒しています。メンバー間のイザコザがあったので、1987年にThe Invaders of the Heartのメンバーを入れ替え、よりライブ志向のバンドにします。1989年にJahは米国NYCに旅行し、New Music Seminarに参加、そしてその年の11月にはオランダで録音したライブ・アルバム”Without Judgement”を1990年にリリースし、再び陽の目を見ることになります。彼はそれ以降、また様々なアーティストとコラボをしますが、その中でもBrian Enoとはワールド・ミュージックに影響を受けた点で共感し、そのような指向のアルバム”Take Me To God”は1994年にリリースしますが、これはジャンルレスなワールド・ミュージックを下敷きにして、様々な文化的背景を持ったミュージシャンが参加、商業的にも成功します。その後も彼の雑食性はアンビエント、ダンス或いは英国フォークソングにまで及びます。2009年9月にJohn LydonはPILのリユニオンを表明しますが、オリジナル・メンバーであったJahは誘われたにも関わらず、参加していません。しかし、2010年10月に行われたMusicport FestivalではPILのオリジナル・ギタリストのKeith Leveneと一緒にステージに上がっています。そして2012年初期に来日の予定だったのですが、ビザの関係でキャンセルなりましたが、JahとKeithはMetal Box In Dub名義で英国のライブハウスでライブを敢行しており、ビザの問題が解決した2012年にFuji Rock Festivalに出演しています。2015年には、Cherry Red Recordsより”Reduxと言う6CDsボックスセットがリリースされ、彼の40年余りの活動の集大成となっています。まあ、こんな感じで今も活動中です。 それで、やっと本作品のところまできましたが、今回は、PiLの初期の曲をセルフ・カバー/セルフ・アレンジした作品となっています。しかも2枚組LPでの発表です。メンバーはJon Klein (Co-Produce, G, Programming, Beats, Mixing)、Keiko Yamazaki (Backing-Vo [D2]) 、Kayt King (Violin [A3, B1]、George King (Kbd [A3, B1])、Jah Wlbble (Production, B , Vo, Kbd, Programming, Dr)です。聴き慣れたはずの曲が、かなり捻じ曲げられたアレンジになっている所もありますし、基本はヴォーカルは二の次(と言うかJohn Lydonじゃないと違和感がありますね)で、ほぼほぼインスト中心になっているようです。ベースの音や奏法は紛うことなき、Jah Wobbleですね。それ程、Dubな感じはしませんが、もう少しめちゃくちゃやって欲しかったかな? 個人的には、エスノ・ダンス・ヴァージョンもあって楽しめました。皆さんもこの機会に「新しいPiL」を聴いてみてはどうでしょう? ◼️LP1 A1 “Albatross” (6:27) A2 “Memories” (5:08) A3 “Swan Lake” (7:30) B1 “Poptones” (9:21) B2 “Careering” (6:16) ◼️LP2 C1 “Graveyard” (4:31) C2 “The Suit” (4:37) C3 “Socialist” (4:34) <<Bonus Track>> D1 “Public Image” (6:43) D2 “Fodderstompf” (8:00) https://youtu.be/M7r5APVwzqU?si=8BtSUbSh3ux2N96R [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLZrG5hyntwAGMbG21WLtvevZ54RdF6NSt&si=nlj3yYNbI6zALQSZ #JahWobble #MetalBoxRebuiltInDub #PunlicImageLimited #Dub #SelfCover #SelfReArranged #JahWlbble #JonKlein #KeikoYamazaki #KaytKing #GeorgeKing
World Music / Dub Cleopatra Records 4700円Dr K2
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Chrome “Scaropy”
もう何回で紹介してきたアメリカの闇Chromeの、何と❗️新譜です❗️前回は、1995年のオリジナルメンバーであるDamon Edgeの死までを紹介してきましたが、その後の経緯を少し書いておきます。DamonのパートナーだったFabienne Shineは、彼の死後も曲を作っており、また、生前からDamonはHeliosにChromeを続けて欲しいとの話合いがあったようで、HeliosはShineと共にChromeを名乗って活動を続けます。1997-2001年は、John StenchとHilray Stenchと共にツアーに注力しますが、その後、2014年に”Feel It Like a Scientist”アルバムを発表し、USツアーの後、2017年4月には”Techromancy”をリリースします。そして、今年(2021年)に本作品をリリースします。なお、このアルバムに参加したメンバーはHelios Creed, Hilray “Stench” Hanes, Aleph Omega, Lou Minatti, Tommy L. Cyborgで、裏ジャケ写には5人の写真が載っていますが、皆んな一癖も二癖もあるように見えます 笑)。内容ですが、変調ヴォイスは健在です。しかし、全体的にストレートなアレンジで、結構,ロックしています。勿論、あの後期Chrome節とも言える引き攣るようなギターも聴くことができます。しかし、A1でいきなりアコギが聞こえてきた時はビックリしましたね。確かにChromeの音楽ではあるんですが、過去の作品に比べると、ソフィストケートされた印象です。しかしながら、Chromeの名前を忘れない、その姿勢は潔いと思います(まるで歌舞伎の家元制みたいですね)。 A1 “Scaropy” A2 “H Of Spades” A3 “Terminate” A4 “New Happy Fortune” A5 “Hello Sunshine” B1 “Night Nurse” B2 “Tataria” B3 “An Open Letter” B4 “Push” B5 “They're Coming To Get You” B6 “Kilauea” B7 “The Opposition” B1 “Night Nurse” https://youtu.be/UJtQwF63ikU?si=hMJH79EKdeDGZ2H9 [full album ] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lHBpQ_eGe2k_hPdpNr6Lsk1cLG3xjKXXk&si=gpwkqENCqHaLzoK3 #Chrome #Scaropy #CleopatraRecords #AcidRock #Psychedelic #Electro #HeliosCreed #Hilray’Stench’Hanes #AlephOmega #LouMinatti #TommyL.Cyborg
Acid Rock, Psychedelic Cleopatra Records 3300円Dr K2