鉄マンガン重石・灰重石 (wolframite/scheelite) 鐘打鉱山 #0236

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鉄マンガン重石(wolframite)はタングステンの鉱石鉱物で、鉄重石(ferberite)とマンガン重石(hubnerite)の連続固溶体のうち鉄重石分子20~80%のものを一括りにした呼称です。結晶は板状もしくは柱状で、黒色で亜金属光沢がありますが、マンガン成分が多くなると赤味がかった褐色に近づきます。鐘打鉱山では、鉄マンガン重石(黒鉱)と灰重石(白鉱)がそれぞれ鉱石として扱える程度に多産しました。(写真1枚目~3枚目は背景をソフトウエア処理しています。)

鐘打鉱山は1921年(大正10年)に大阪の池田梅蔵が金、銀、銅、タングステンを対象として鉱業権を設定したことに始まり、その後鉱業権者は転変しましたが、第二次世界大戦時中は重要軍需物質であったタングステンが増産され、1944年(昭和19年)には品位60%の精鉱を143.6トン出鉱した記録が残っています。戦後1949年(昭和24年)に日本タングステン鉱業により手掘・手選鉱で再開、1951年(昭和26年)に鐘打鉱業が設立され、1953年(昭和28年)には戦前の最高生産水準を凌駕、以降1982年(昭和57年)に産出量の減少と輸入精鉱の増加、市況の低迷の影響により閉山するまでタングステン鉱山として日本有数の地位にありました。

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