To Hight/Stevie Wonder

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文字通り“ブッ飛んで”いる(1)。しかし、ここでの“TOO HIGH”はあくまでネガティヴな意味合いで、ドラッグの危険性について歌っているのだけど、声高に反対宣言をするのではなく、シュールな光景を悲惨なストーリーに織り込んで、しかもそれを“ブッ飛んだ”曲に乗せて歌っているところがとても彼らしい。歌詞と音が分かち難く結び付いている。
 いきなりスタートするくすんだ色具合でウネるベースは、リズム自体はブラジル音楽からヒントを得ていると思われる。それをスウィング気味に粘っこくやるとこんな感じになる。そのベース・ラインとジャジーな感覚のドラミングを屋台骨にして、半音ずつ下降してくるコーラスや、全音ずつ下降していくリフレインが立て続けに登場。間奏では2本のハーモニカ・ソロ(2本なら“ソロ”じゃないか…)がフィーチャーされ、終盤はルート音が半音ずつ上昇・下降していく。曲が終わる時のコーラスの余韻がまたイイ。
 こんな実験的で摩訶不思議な曲を、ポップ・ミュージックの最前線にいる者が、1曲目でやってしまうとは!そしてそれを“難しい”と聴き手に意識させずに一気に聴かせてしまう。まったくもってスゴイとしか言い様がない

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