古畑任三郎 2nd season [レンタル落ち] 全5巻セット

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三谷幸喜の緻密な脚本による大人気推理サスペンスの第2シリーズ。

毎回異なるゲスト俳優による犯罪者が登場し、田村正和演じる主人公の警部補・古畑任三郎が、卓越した推理力により犯人との会話から犯行の実態を明らかにしていく。

しゃべりすぎた男
敏腕弁護士・小清水潔(明石家さんま)は、別の相手との政略結婚が決まり、邪魔になった恋人・向井ひな子(秋本奈緒美)を部屋にあったガラスの水差しで撲殺。犯行直後、ひな子の部屋を訪れた今泉にその罪を擦り付ける。逮捕された今泉は、真犯人とも知らず大学時代の同級生だった小清水に弁護を依頼するが、小清水は罪を軽くするためだとして、傷害致死を認めるよう勧める。しかし、小清水の発言に不審を抱いていた古畑は法廷記録を読み返し、決定的な証拠を発見する。
25分拡大版で放送。レギュラー放送では唯一の90分枠での放送。芳賀刑事が初登場。中丸新将が第6回の被害者川合役に続き、検察官役で2回目のゲスト出演を果たしている。さんまは後に自身の演じた役柄について、当初は特徴のある濁声からロックアーティストの案が提示されたが、さんまの「古畑との台詞対決にしたい」という希望から、法廷闘争ものとなったと話している。本放送当時などでは、フジテレビや系列局を含め90分枠の再放送枠を確保し再放送されていたが、フジテレビにおいて2時間のドラマ再放送枠が確保されなくなった2010年代以降では、前後編の分割形式で再放送されている。追悼時のアンコール再放送でも同様の形式で再放送された。

笑わない女
プライオリ女子学院の教師・宇佐美ヨリエ(沢口靖子)は学院の戒律を守ることに徹底していた。ある日宇佐美は学園の中でも自分と全く正反対の自由奔放な教師・阿部哲也(相島一之)を殺害し、事故死を偽装する。捜査に訪れた古畑は、阿部の部屋に残された様々な状況や、学院の厳しい戒律を守っていたのが宇佐美だけであることから、彼女を犯人とにらむが、彼女が阿部を殺す動機が分からない。
アメリカの俳優スティーヴン・セガールの娘である藤谷文子が女生徒役で登場する。

ゲームの達人
医師・乾研一郎(草刈正雄)は推理作家・花見禄助(藤村俊二)の往診に訪れていた。そこで花見から妻・常子(一色彩子)が浮気をしていると相談を受ける。乾は狂言自殺をして妻の愛を確かめようと持ちかけるが、実は乾こそが浮気の相手だった。乾はその狂言自殺を利用して、花見だけでなく常子をも殺害し、無理心中に見せかける。
初の連続殺人。会話場面に花見の執筆した「やっぱり猫が死ぬ」という小説本が登場する。三谷が脚本を担当した「やっぱり猫が好き」のセルフパロディ。

赤か、青か
天神大学電気工学部助手・林功夫(木村拓哉)は深夜、大学のすぐ側の遊園地に侵入し、観覧車に時限爆弾を仕掛けた後、逃げ出すところを警備員・真鍋茂(金井大)に見咎められ、口封じのために撲殺する。翌日、真鍋殺しの捜査に古畑たちがやってくるが、そこに林からの脅迫電話が遊園地に掛かり、爆弾設置が発覚。ところが、設置場所の観覧車には運悪く今泉が乗っていた。
その身勝手な思想に怒りを抑えきれなくなった古畑が、唯一、犯人に手を上げる。ジャニーズ事務所による肖像権の管理から、CS再放送が出来ない回である。しかし、地上波では再放送される場合がある。2021年4月に田村が急逝した際には当該回も再放送の対象となり、フジテレビだけでなくカンテレなど地方局でも随時再放送された。2024年には長らくFODでは配信されなかったが、30周年記念の一環でTverとともに期間限定で配信されている。

偽善の報酬
脚本家・佐々木高代(加藤治子)は、長年犬猿の仲だった妹・和子(絵沢萌子)を殺害し、強盗の犯行に見せかける。しかし現場に到着した古畑は、高代の稚拙な偽装工作を早々と見破り、高代の犯行だと断言する。古畑は警官を配置して証拠隠滅を防ぐとともに、今泉を高代のお手伝いとして彼女の家に住まわせ、凶器を探させるが、どこをいくら探しても凶器が見つからなかった。再び高代の自宅を訪れた古畑は、冷蔵庫の中のあらゆる物が高代の本名である久子の「H」と和子の「K」に分けられている事を発見し、姉妹の決定的な不仲に気付く。そして古畑が辿りついた、凶器の正体とは……。
犯行シーンは存在するが、凶器が解決編まで明かされない。ドラマのベテラン脚本家という設定上、吉永小百合(高代へのお見舞いの花の贈り主)・桃井かおり(電話の相手)など実在の女優の名前が複数登場する。

VSクイズ王
人気クイズ番組「クイズ王」のチャンピオン・千堂謙吉(唐沢寿明)は、番組スタッフから事前にキーワードの数字を教えてもらう不正で、自身のチームにキーワードに関する数字のネタ調査をさせる事で王座を守っていた。しかし週刊誌にそれを暴露された事で、スタッフは一変して数字の事前通知をやめる事を千堂に伝える。焦った千堂は自力で当日のキーワードを調べようと衣裳部屋に忍び込むが、衣装係の沼田(伊集院光)ともみ合いになり、転倒した沼田は衣装ケースに頭を強打して死亡する。部屋のすぐ外ではお笑いコンビがネタ合わせをしており、現場から逃走する手段のない千堂。その後、偶然にも「クイズ王」の解答者として出演しており、その場に居合わせた古畑らが通報を受け踏み込んだ事件現場には、なぜかくさやが散らかっており、何軒もの出前が来ていた。
犯人が密室状態の犯行現場からどうやって脱出したか、という点に重きを置いた回であり、古畑も解決編前の「視聴者への挑戦」でこの点に言及している。ファルコンの定理が再登場。池田貴族が11回ラジオ内での収録テープのゲスト役に続き、「クイズ王」のジャッジとして2回目のゲスト出演を果たしている。解決編では、古畑の推理が最後の決め手に欠けてしまい一度引いたその直後に、決定的な証拠となるヒントを発見するという稀有な回である。

動機の鑑定
骨董商・春峯堂の主人(澤村藤十郎)は、美術館長・永井(角野卓造)と共に骨董品の贋作で荒稼ぎをしていた。しかし陶芸家・川北百漢(夢路いとし)に贋作の「慶長の壺」を博物館に出展していたことを暴露されそうになり、彼を射殺。永井に物盗りが侵入したように偽装工作させ、川北が入手していた真作の慶長の壺を取り戻す。しかし、永井はその際に、金銭目的で川北の作品を数点盗んでしまう。その後、古畑の捜査の手が伸びると、怖気づいて自首を提案する永井。しかし、それを聞いた春峯堂は逆上、自殺に見せかけて永井をも殺害し、永井が川北の作品を盗んだことを利用して、川北殺害の罪をなすり付ける。
唯一犯人の実名が不明であり、第2回、第16回に次ぐ3例目となる2人殺害。拳銃による殺人では唯一リボルバーを使用。直接の描写はないが、小石川ちなみの結婚式会場から現場に来たという古畑の口から、ちなみの近況が語られる。藤十郎にとっては、現代劇初出演の作品である。

魔術師の選択
引退したマジシャン・南大門昌男(山城新伍)は、弟子ながら悪名高いプレイボーイの倉田勝男(池田成志)と、同じく弟子でかわいがっていた毛利サキ(松たか子)が交際するのを快く思っていなかった。南大門はパーティーの席上で、テーブルに並べられた5本のオレンジジュースの瓶の1本に毒を入れ、倉田を殺害する。しかし、オレンジジュースを持ってくることを提案したのも、5本の瓶の中から毒入りのものを選んだのも倉田自身であった。毛利と動物病院で知り合い、パーティーの招待状を受け取り会場に訪れていた古畑らが事件現場に居合わせた事で、捜査を始めることになる。
同じ三谷作品『王様のレストラン』と世界観を共有。池田成志がシリーズを通じて唯一、2度目の被害者役(第1回に続き)でゲスト出演を果たしている。第11回に続き再び赤い洗面器の男の話が出てくる。松たか子の民放地上波ドラマの初出演作である。

間違われた男
雑誌編集者・若林仁(風間杜夫)は高尾山中の山荘で妻の不倫相手の男(清水昭博)を射殺する。しかし、現場から去る際に車のタイヤがパンクしてしまい、ヒッチハイクをして鴨田巌(小野武彦)という男の車に乗せてもらう。若林は、自分とここで会ったことは誰にも言わないようにと鴨田を口止めするが、鴨田は若林が有名な雑誌編集者だと気付くと、その多弁な性格のために口を滑らせ、家族への留守番電話で早々にこのことを話してしまう。犯行が露呈するのを恐れた若林は、鴨田に車を止めさせ、その場にあった石で殴り殺害する。そして、鴨田が残した留守電メッセージを消そうと、若林は鴨田の家に侵入するが、その時、家のインターホンが鳴り、そこには古畑が立っていた。
第2回同様に犯人は2人殺害しているが、最初の犯罪は明かされずに終わる。コメディー的要素が強い。なお、この回ではサザエさん(火曜日版)の映像が流れる場面があり、これが事件解決のヒントとなっているためカットすることもできないことから、権利上の都合によりCSでは再放送されない。ただしフジテレビ本体では、著作権・肖像権共に問題がないため再放送される。また30周年記念の再放送(2024年6月7日放送)では放送内で運転中の携帯電話使用のシーンがあったためエンドロール後のテロップの下に当時の本放送年月と「運転中の携帯電話の使用は法律で禁止されています。」という注意テロップが追加されている。

ニューヨークでの出来事
福引きでニューヨーク旅行を引き当てた古畑はニューヨークに向かうバスの中で、のり子・ケンドール(鈴木保奈美)という日本出身の女性と出会う。古畑が警察官だと聞き、目的地までの時間つぶしのため、のり子は「友達の起こした事件」と称し、既に裁判で無罪判決を受けている、自身の「完全犯罪」について語り始め、古畑はその殺害方法の推理に挑む。
既に犯人の無罪が確定している。事件風景がない完全な安楽椅子探偵方式。アメリカでの海外ロケを敢行しているが、高速バス内での会話劇が中心となるため、アメリカでの撮影だとわかる場面は、休憩場所で停車したバス内とカフェでの場面、ラストのニューヨークでの停留所での別れのシーンのみである。また、解決編終了後と最後のスタッフロールカットに9/11テロによって崩壊する以前の「ワールドトレードセンター」が映っている。

しばしのお別れ
前衛華道家・二葉鳳翆(山口智子)は、師匠である二葉鳳水(長内美那子)の華道二葉流から独立し、踊り(タンゴ)と生け花をミックスしたフラワーアレンジメントスクールを創設する。しかし鳳翆に愛憎入り混じった感情を抱く鳳水のいやがらせで、スクールは存続が危ぶまれる状況に陥っていた。怒った鳳翆はスクールの発表会を利用し、招待した鳳水を看護師時代に培った技術を活用して病死に見せかけジキタリスを打って毒殺する。今泉が双葉鳳翆のスクールに通っており、古畑が発表会に観劇に訪れていた事から、捜査を開始する事になる。
古畑任三郎史上最高の視聴率を記録(34.4%)。90分スペシャル。『王様のレストラン』と世界観を共有。山口は、前年に結婚した唐沢寿明(第19回の犯人役)と夫婦揃って犯人役でシリーズ出演を果たしたこととなった。山口が劇中で披露したフラメンコは、放送当時に実際に山口が趣味としていた。2022年4月14日にテレビドラマ『やんごとなき一族』の代替番組として再放送された。

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