【手彫證券印紙】第五次発行10銭青色:印面変種(定常変種)その1【Plate I/Pos. 1-10】

初版 2023/07/15 21:37

改訂 2023/07/15 21:41

先のLab ログ「【手彫証券印紙】第五次発行10銭青色:印面変種(定常変種)について【イントロ】」でもご紹介したとおり、第五次発行10銭青色印紙は「タスキ落ち」や「点落ち」のような忘刻をふくめ、大きなエラーが皆無という印紙ですが、その反面、Fly-speckと称される小さな点など、細かい印面変種の宝庫です。この印紙でなぜこのような状況になっているのかは全くナゾですが、シート写真との照合作業で進めているポジション同定と印面紋様の詳細な分析を通じて、現時点で確定しているポジションについては、定常的に出現する印面変種を整理することができました。

とにかく全ポジションに複数の印面変種が存在するので、何回かに分けて(ゆっくりと)紹介することといたします。

この回は、Plate IのPos. 1から10の10枚をご紹介いたします。

印面変種はそれぞれのポジションの印紙イメージ上に赤丸で示してあります。顕著なものからごくごく微小であったり、薄かったりするものもあって、印刷インプレッションによっては確認できないものもありますので注意が必要です。

それでは印面変種のラビリンスをお楽しみください。

Plate I / Pos. 1

菊紋の右斜め上の小点と、右警告文の「扵」の真上の小点の2つがよく目立ちます。

Plate I / Pos. 2

右額面の「十」にある小点を目安として、その他の小点を補助として探すのがいいかも知れません。

Plate I / Pos. 3

菊紋の右やや斜め上、隅飾りのすぐそばにあるものはよく見ると小さな点が2つです。これと、左警告文の「も」と「の」の間、左側にある小点の2つを手がかりにしてください。

Plate I / Pos. 4

このポジションの印紙はまだ複数枚での詳細な比較ができておらず、2箇所のみを示しています。消印と墨消しで印面中央が隠れているので、今後、マテリアルを追加することで追加のfly-speckが発見できる可能性が大です。

Plate I / Pos. 5

このポジションの印紙には不思議と上枠右端から1/4程度、枠線からぎりぎり外側にある小点の1つしか定常変種を見つけられていません。

Plate I / Pos. 6

左警告文の「の」のすぐ下にある小点と、右の下向き房飾りの横にある小点の2つがよく目立ちます。

Plate I / Pos. 7

確認できている印面変種は印面中央の「紙」のはらいの先端すぐ下と、右額面「銭」の金偏の下側、枠線そばの2箇所と少ないのですが、いずれもよく目立つのでわかりやすいポジションの一つです。

Plate I / Pos. 8

細かい印面変種が6箇所もあります。印面中央の「紙」のはらいの先端すぐ下の点はよく目立ちますが、Pos. 7とほぼ同じ場所にあるので注意が必要です。この点を確認したら、上額面の「0」の中、下寄りにある点と、右額面「銭」の金偏と旁の払いの間が不鮮明な線で繋がっているという特徴を追加で確認することにより、Pos. 8と同定できます。

Plate I / Pos. 9

このポジションで確認できている印面変種は左警告文の「可」の左側、外枠線ぎりぎりのところにある点の1箇所のみです。逆に、他のところにfly-speckが全く確認できないという場合はこのPos.9である可能性が高い、ということになります。

ちなみに左警告文の「可」の周りには実に多くのfly-speckが存在していますので、印面内の他の場所の変種と組み合わせて判断することが必要になってきます。

Plate I / Pos. 10

印面中央の「紙」のはらいの先端すぐ下の点がよく目立ちます。Pos. 7と8とほぼ同じ位置にあるので要注意ですが、左額面の「十」の左上に明瞭に走っているやや細長い筋との合わせ技でポジション同定が可能です。

さらにこのポジションに固有の特徴として、上外枠の外側に汚れのような滲みや点が多く見られます。

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unechan

子供の頃から細々と続けてきた切手収集。長年のブランクを経て10年ほど前から再開し、日本切手クラシカル、ドイツインフラなどを収集。併せて手彫証券印紙の収集を始め、現在はこちらがコレクションのメインになっています。郵趣に加えて音楽(ジャズ)、釣り、鉱石収集、昆虫採集(蛾類)など趣味多数にて家族には迷惑をかけております…

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