【手彫証券印紙】第五次発行10銭青色:印面変種(定常変種)について【イントロ】
初版 2023/07/15 14:58
第五次発行10銭青色印紙は、個々の印紙の印刻文様の差が比較的はっきりしていると感じています。用いられた版の数が2つ(Plate IとII)で、かつ、長谷川(2022)に両プレートのフルシートの写真があるので、頑張ればシート写真との照合で個々の印紙のポジションを決定し、最終的には個々の印紙を組み合わせてフルシートを復元することが可能だと考えて、現在チャレンジ中です。
手持ちのマテリアルのポジション同定に順次取り組んでいる最中なのですが、証書貼りと単片・マルチプルのスキャン画像を組み合わせた、いわばバーチャルな復元シートはPlate Iでおよそ76%(残り12ポジション)、Plate IIでおよそ88%(残り6ポジション)を作り上げることができています。
この作業のために印面文様の特徴を詳しく確認していく途中で、この第五次発行10銭青色印紙は、実は細かい印面変種(定常変種)の宝庫であることに気づきました! 現在同定できている全てのポジションで、何等かの定常変種- Fly Speckが多いのですが - が複数存在しており、定常変種を確認するだけでポジション同定がほぼほぼ可能であるという見込みです。
代表的なものを数例紹介いたしましょう。印面上に赤丸で示したとおり、実に多数の定常変種が存在しています。
この印紙については、これまでにも古屋(1969)により初めて2つの版の再構築プレートが発表された際に、印面変種を含む特徴図が発表されているのですが、今回の作業を通じて、古屋氏の発表された特徴図をより詳細にまとめることができそうな勢いです。
今のところ、全てのポジションで複数の定常変種が存在すると推測していることから、このLab ログでも複数回に分けてポジション毎の定常変種を発表報告するとともに、印面の各部分(例えば左警告文の「可」)の近傍における定常変種検索図をご紹介することといたします。
作業途中ですが、印面中央の「印紙」の、「印」周辺の検索図をご紹介いたしましょう。数多くの定常変種が確認できています。
このような検索図をいくつも整理しているのですが、おかげで、ポジション同定の効率が飛躍的に向上しており、シート再構築作業には実に便利であることが証明できています。
定常変種の各論については、復元シートの完成とあわせてこれからも引き続いて調査を進めて、おりにふれて発表していきたいと思っていますので、どうぞ気長にご期待くださいませ。