安堂寺橋西詰 箱場印
初版 2022/12/31 16:13
改訂 2022/12/31 16:13
「安」の一文字に外丸枠の黒印の箱場印があり、同じ印影のものを次のとおり2通所有しています。
この箱場印は見かける機会が多く、郵便創設時に大阪に設けられた七つの箱場の一つである安堂寺橋西詰の箱場印と考えていますが、別のLabログ「本町橋西詰箱場印」でご紹介した本町橋西詰箱場印と同じく、「摂河泉の郵便印」で図示されているものと印影が異なっていて、未だに完全に正体を掴みきれていません。
安堂寺橋は大阪市街の東側を流れている東横堀川に架けられた橋で、西側は安堂寺町通り、東側は内安堂寺町通りとなっていて、大阪の東西を結ぶ重要なルートになっていました。このため、郵便創設時に箱場が設けられたのでしょう。
東横堀川に架けられている橋には、この安堂寺橋西詰の他にも多くの箱場が設置されており、安堂寺橋から南側(上の地図では右側)だけでも久宝寺橋、農人橋、本町橋西詰、高麗橋の四ヶ所の箱場がありました。安堂寺橋から本町橋までをみると、ちょうど3ブロック毎に箱場が設置されているのがわかります。かなり計画的に配置されたものと考えられます。
安堂寺橋は今でも残っており、阪神高速道路の下にひっそりと架けられていてあまり目立たないのですが、安堂寺橋の名前は上方落語で登場するので、落語が好きな方は聞いたことがあるかもしれません。上方落語の「伊勢参宮神乃賑(いせさんぐうかみのにぎわい)」のはじめ、うまの合うご機嫌さんのお二人、喜六と清八がお伊勢参りに出かける風景で、
「仕度を整えますと友達に見送られ農人町の家を後に安堂寺橋を越えまして...」
と、この安堂寺橋が登場します。それだけ昔から知られたランドマークだったのでしょうね。