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カーボナード/金剛石
圧倒的な機械的強度を誇る炭素の元素鉱物。
歴としたダイヤモンドの一種で、『多結晶質』という特異な構造をもった変種です。
最も「硬い」鉱物として知られているダイヤモンドですが、それはあくまでも表面的な引っ掻き強さを評したもの。
明瞭な劈開性を抱えているため特定方向からの衝撃には滅法弱く、強い打撃が加われば為す術なく砕けてしまいます。
一方で、極微細な結晶の集合体であるこのカーボナードには劈開が見られません。
玉髄やヒスイと同様、結晶の緻密な犇めきあいが頑強性を生むために、通常のダイヤモンドを凌駕するタフネスが備わるのです。
このように個が群を成し堅固な一団となる様は、古代ギリシャにおいて無類の強さを誇ったというファランクスのよう。
ダイヤモンドの石言葉には "不屈" がありますが、あらゆる征服を撥ね退けるこの黒い塊こそが、その言葉を真に体現しているのではないかと思います。
ご覧のとおり能力のすべてを強靭さに極振りしているため、宝石としての煌びやかさはありません。
しかし、光すら通さない鉄壁ぶりにはある種の高潔さすら感じてしまい、工業用ダイヤとして捨て置くには惜しい内面的な魅力が詰まっている気がするのです。
#ダイヤモンド
qqtys
2019/01/31通常のダイヤモンドは炭素でできてると言われてもピンと来ませんが、これは見た目からしてまさに炭素の結晶ですね。
鉱物に関してはまったくの素人ですが、写真からも力強さ、タフネスさが伝わってきます。
このようなものがあるとは知りませんでした。
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テッツァライト
2019/01/31ご感想ありがとうございます!
石についてまったく知らない方にでも楽しんで貰えるようにと撮影しておりますので、そのように言って頂けて嬉しいです😄
仰るとおり、透明な姿からは炭素でできているなど想像もつきませんよね。
その点このカーボナードは多結晶質ゆえに光が透過しませんから、黒光りする姿はまさしく炭素の塊です!
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diamond
2020/02/04テッツァライトさま、わかりやすいご説明ありがとうございます。
質問させてください。カーボナードというと、いつもこういうごろっとした石の写真が出てきますが、宝石のダイアモンドのようにダイアモンドカットされたものもあるのでしょうか?
祖母が大切にしていた「黒ダイア」はダイアモンドカットされた真っ黒な石なのですが、合成石でしょうか?
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テッツァライト
2020/02/05diamond様、当アイテムへコメントをくださりありがとうございます!
こちらで展示している多結晶ダイヤの用途は、もっぱら工業用がほとんどであると言われています。
しかし、もちろん中には宝石用としてカットする場合もあるかと思いますので、お祖母様の黒ダイヤもしっかり天然物であると思います。
また下の写真のような、いわゆる普通の形をした結晶から磨いたものである可能性もありますが、どちらにせよダイヤモンドであることに相違ありません。
もちろん合成石であったり、透明なダイヤに特殊処理を施して黒く着色している場合もあります・・・が、それはまた別のお話。
思い出の品に対し、今の私のように真贋を探るのは野暮かもしれませんね。
取り留めのない内容でありますが、意に沿う回答でありましたら幸いです。
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diamond
2020/02/07御返事ありがとうございます!
最近、祖母を思い出すことが多いので、ノスタルジーですみません。祖母は中国で優雅な暮らしをしていた時期があり、いろいろな宝石を持っていました。なんでもおもちゃに貸してくれる祖母だったのに、黒ダイヤだけは貸してくれなかったので、孫に放り投げられるのが嫌だったのだと思います(苦笑)。それほど大切にしていたのに、今、宝石ショップに黒ダイヤというものはないので、何なのだろうとずっと疑問に思っていました。
テッツァライト様は鉱石にお詳しいので、もしできれば、追加で質問させてください。
Q1) 黒ダイヤの結晶は大きいのでしょうか? 祖母のものは3x1.5x厚み0.3センチくらいなので、もし結晶を磨いたとしたら、結晶はそれより大きいということですが。
Q2) 昔、黒ダイヤという名前で流行ったものは、ヘマタイトやガラスが多かったとも聞きましたが、素人にはヘマタイトやガラスと黒ダイヤは区別できないものでしょうか?
お時間のあるときに御返事頂けたら,本当に嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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テッツァライト
2020/02/093×1.5×0.3というと、この「オーバルブリリアントカット」に近い形状でしょうか。
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テッツァライト
2020/02/09>Q1) 黒ダイヤの結晶は大きいのでしょうか? 祖母のものは3x1.5x厚み0.3センチくらいなので、もし結晶を磨いたとしたら、結晶はそれより大きいということですが。
長径で3センチもあるとは・・・本物とすると、原石の時点で相当な大きさですね。
参考として張り付けた写真は5ミリ程の結晶ですが、もちろんそれよりもずっと大きな黒ダイヤは存在します。
現に587カラット(約117グラム)もの重量を誇る「スピリット・オブ・ドゥ・グリソゴノ」という黒ダイヤ原石が南アフリカから発見され、世界で5番目(黒ダイヤの中では1番)に大きいダイヤとして記録されています。
>Q2) 昔、黒ダイヤという名前で流行ったものは、ヘマタイトやガラスが多かったとも聞きましたが、素人にはヘマタイトやガラスと黒ダイヤは区別できないものでしょうか?
確かにそれらも模造石として用いられてきました。
黒色石を特殊な測定器具を使わずに見分けるとなると少々難しいかもしれませんが、外観の特徴をよく観察すればある程度の判別は可能と考えます。
例えばヘマタイトであれば金属光沢があるでしょうし、研磨されているのであれば鏡面のように物が映り込むはずです。
また石の裏側から強い光を当ててみても、ヘマタイトなら光を透過しません。
「モース硬度」という引っかきに対する抵抗力もダイヤと比べると低いので、表面にも細かな傷がつきやすいです。
本物のダイヤであれば、余程のことがない限り表面に引っかき傷がつくことはありません。
また単結晶タイプの天然黒ダイヤであれば、ある程度の光の透過が見られると思います。
理由として、天然黒ダイヤは地色そのものが真っ黒というわけではなく、あくまでも石内部に多量の包有物が存在している影響で黒っぽく見えているだけだからです。
一方、天然のダイヤであっても多結晶タイプであると光は透過しません。
黒ガラスの場合も光を透過するかもしれませんが、ダイヤと比べればモース硬度が低いので傷がつきやすいです。
また合成石の可能性については低いと考えます。
理由として、基本的に合成ダイヤの結晶は非常に小さなものが多いからです。
現在でこそ技術進歩により大粒の合成ダイヤも製造されるようになってきましたが、お祖母様が入手したと思われる時期を鑑みるとこれだけ大きな石が流通していたとは考えにくいです。
と、ひとまず目視だけでも確認できることを挙げさせて頂きました。
それにしても中国で優雅な暮らしとは凄いお祖母様ですね!
何やら並々ならぬ人生を過ごしてきたものとお見受けします。
そんなお方が所有し尚且つ孫にも貸し与えなかった石となると、相当な逸品である可能性もありますね。
どうしても正体が気になるというのであれば、やはり鑑別機関に依頼することが一番です。
国内であれば中央宝石研究所や日独宝石研究所が特に信頼度が高く、市販のダイヤモンドテスタ等を購入するよりも遥かに確実性があるのでお勧めです。
取り留めない回答でありますが、参考になりましたら幸いです。
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diamond
2020/02/16本当にたくさんのご回答、ありがとうございました。
感謝いたします。中央宝石研究所か日独宝石研究所に鑑定をお願いしてみようと思います。ありがとうございました!
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貴方の手は何時も青い♡
2020/02/12きっとこちらにはあらゆる分野お世話になっております。旋盤のチップやらナイフの砥石や、、、。
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テッツァライト
2020/02/12はい!工場にある高度な工具からキッチンのシャープナーに至るまで、様々な分野で活躍しています💪
実際は合成された結晶やそれらの微粉を焼結したものが用いられることも多いのですが、私たちの生活に寄与してきたことは間違いないです。
まさに、工業界における「最先端」の担い手ですね😉
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