フランス/目の不自由な人のために 1989.01.30【World Topics Stamp Collection】

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『点字の発祥国から発行された点字切手』

 フランスで初の点字切手が発行された。点字は、目の不自由な人が指先で読む記号文字で、紙面に突起した点の組み合わせで構成される。切手の表面にエンボッシング加工(文字や図案を凹凸状に浮き出させる方法)で展示が施され、下部にフランス語で"目の不自由な人のために"と記されている。

 組織的な聾啞教育を確立し、パリに初めて盲学校を成立したのは、フランスのバランタン・アユイ(1745~1822)である。その彼のあとを継ぎ、盲人の教育方法に画期的進歩をもたらしたのが、同フランスの盲人教師ルイ・ブラーユ(1809~52)であった。ブラーユは3歳で盲目となり、パリの盲学校で学んだのちに母校の教師となり、6個の点の組み合わせによる点字を発明、1829年に公表した。しかし、彼の生前にその価値は認められず、死後2年たって、ようやく母校の公式文字に採用された。ブラーユ以前にも各種の盲人用文字が考案されてはいたが、それらはいずれも感覚困難であるばかりでなく、盲人が自ら記すことができないという大きな欠点があり、結局、読み取り・記し方ともに最もすぐれた"ブラーユ点字"が世界共通の盲人用文字となった。

 このように、点字による盲人の教育拡大はフランスに始まったものだが、エンボスによる点字切手の第1号は、ブラジルの「第5回世界盲人福祉会議」小型シート(1974)。その後は、ウルグアイのクリスマス切手(1983)や日本の「第16回リハビルテーション世界会議」(1988)などがある。

※1989年当初の説明です。

#切手

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