アメリカ/メリーゴーラウンド 1988.10.1【World Topics Stamp Collection】

0

『手掘りの木馬が色鮮やかに蘇る』

 動物園ならび、子供たちの夢を育てるプレイランド・遊園地。最近はコークスクリュー、ループなど"絶叫マシン"と呼ばれる機種がつぎつぎと開発され、人気を集めているが、いつの時代も、かわらない人気があり、遊園地には欠かせないものといえば、観覧車と木馬。この4種の田型連印切手には、民芸品としての木彫りの回転木馬(▷左上:シカ、▷右上:ウマ、▷左下:ラクダ、▷右下:ヤギ)が描かれ、木彫りの緻密な細工と鮮やかな彩りを再現している。

 一般に使われる<メリーゴーラウンド>の名称はイギリスの呼び方で、アメリカでは<カルーセル(carrousel)>と呼ばれている。カルーセルは、イタリアやフランスで、17世紀にはやった馬上試合のことだが、その際、馬に派手な武具をつけていたので、回転木馬にもそれに似た装飾をほどこし、カルーセルと名付けたらしい。18世紀初頭には、フランスの玩具商が回転台の上に木馬を乗せ、人力または馬力で台をゆっくり動かすという見世物をはじめ、その後、イギリスのフレデリック・サベッジ(1828-1897)が蒸気機関によって円盤を回転させ、クランクで木馬を上下させる装置を開発した。20世紀初頭のドイツが回転木馬の黄金時代と言われ、1907年に制作された<エル・ドラド>は、当時の技術と芸術の結晶と称えらたほどの優美なもので、アメリカを経て、現在は東京・練馬区の豊島園で楽しまれている。日本に初登場したのは1903年、大阪の第5回内国勧業博覧会で、メリーゴーランドを「快回機」と訳していたという。

※1988年当初の説明です。

#切手

Default
  • File

    お気に入り切手ミュージアム

    2020/01/12 - 編集済み

    カルーセルエル・ドラドですが、2010年に機械遺産に登録されています。

    ※『機械遺産』(Mechanical Engineering Heritage)とは、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本国内の機械技術面で歴史的意義のあるものに対して、日本機械学会が認定したものを言います。

    File
    返信する
  • 文献より・・・

    「カルーセルエルドラド」は、1907年にドイツのヒューゴー・ハッセによって作られました。
    カルーセルは同年にドイツのミュンヘンで開催された“オクトーバーフェスト”において、初めて人々に披露されました。
    当時は「トロットワール・ルーラン(動く歩道)」と呼ばれ、世界最大にしてもっとも豪華なカルーセルと言われていました。
    今にも動き出しそうな見事な造形の24体の木馬をはじめ、豚やゴンドラ、馬車などすべてが木造のカルーセルは、すべてが手彫りされたものです。
    天使や女神など全体に施された精巧な美術工芸は、当時全盛だったアールヌーボー様式の豪華な彫刻作品で埋め尽くされ、現在でも大変な価値を持ったものと評価されています。

    製作者のヒューゴー・ハッセ(1857-1933)は機械技師で、カルーセルを蒸気機関で動かす仕事を請け負っていましたが、蒸気機関の整備士としてカーニバルを回るうちに自らもカーニバル業を始め、次々と遊戯施設を制作し、「遊園地業の王様」と呼ばれるようになりました。
    この豪華なカルーセルとともにヒューゴーはヨーロッパのカーニバルを巡業し、各地で歓迎を受けました。
    しかし、ヨーロッパには戦争を予感させる不穏な空気が漂い始めます。戦争となればその華やかな巡業も困難になるばかりか、ヨーロッパでのカーニバル自体が激減してしまいます。また、カルーセルの移動には莫大な費用がかかるため、できるだけ一箇所に留まり興業を行う必要がありました。

    1910年にドイツ皇帝ウィルヘルムⅡ世の招きによりアメリカのルーズベルト大統領が訪れた際、ヒューゴーはアメリカの遊園地にカルーセルを移すことを思いつきます。
    1911年、ともに制作に携わった弟にカルーセルを託し、ニューヨークのコニーアイランドにある遊園地スティープルチェイスに送り出しました。カルーセルはスペイン語で“黄金郷”を意味する「エルドラド」と呼ばれ、1964年に閉園するまでコニーアイランドの名物として多くの人々を楽しませました。

    遊園地が閉鎖されると「エルドラド」は解体され、ひっそりと、倉庫に収められました。
    その噂を聞きつけたとしまえんが購入し、1969年「エルドラド」はニューヨークの人々に惜しまれながら貨物船にのり、太平洋を旅して日本にやってきました。解体された「エルドラド」は、専門家の監修による修復作業を経て、製作当時の姿に復元され、1971年4月3日から再び子供達の夢をのせて回り始めたのです。

    File
    返信する