第5集 南都鉄器(1) (伝統的工芸品シリーズ切手 初日カバー)

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 「アラレ」といういぼ状の突起が、きれいに並んでいる文様の南部鉄器で有名な南部鉄器は、岩手県の北上山系からとれる良質な鉄の鋳物で、盛岡市と水沢市で生産されている。盛岡の鉄器は、桃山時代(1582~1603)、領主南部利直が京都から鋳物師を招いて、茶道の湯釜を作らせたのが始まり。また、水沢の鉄器は、後三年の疫の後(1087~)、藤原清衡が近江国から鋳物集団を招いて、豊田城周辺で鋳造にあたらせたのが始まり。

 製品は、茶の湯釜、鉄瓶、香炉等の茶道具、置物、壁掛等の装飾品、花器、灰皿、鍋、鍋敷、風鈴などである。いろりや火鉢が使われなくなった現在では、鉄瓶の需要は少なくなったが、木や陶器といった他の素材と組み合わせて、ホテルやレストラン向けのステーキ皿やシチュー鍋、キャンドルウォーマー、インテリア等、新しい分野の製品が作られている。素材で重圧な形、黒光りして美しい鋳肌(いはだ)、堅牢な作りが特色である。

 伝統的な南部鉄器は、砂鉄または鋳物用の銑鉄を用い、鋳型は砂利で、溶かした鉄が直接当たる部分には真似(絹でこした細かい砂)を用いる。鋳型を作るには、挽き型または込め型により、挽き型の場合には、鋳型の表面に文様押しまったは肌打ち(天明肌、ゆず肌、くさらし肌、虫喰い肌、きのこ肌、印毛肌等)をする。できた鋳型はさらに焼成し、乾燥する。鋳物の表面は漆および鉄漿(おはぐろ)で着色し、料理用具には金気(かなけ)止めをする。伝統工芸士は現在13名いる。

※1985年当初の説明です。

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