第1集(2)春・桜 初日カバー(四季の花シリーズ切手コレクション)

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 日本の美の象徴である雪月花を表現する作品は数多く描かれていたが、これほど雪と月と花を素直に描いた作品はあまり例を見ないだろう。

 筆者の酒井抱一は、播磨姫路城主の次男として江戸に生まれ。若いころから狂歌・俳譜や絵画などに親しみ、寛政二年(1790)三十歳で隠居した後は風流の生涯をおくった。特に文化十二年(1815)の光琳百回忌は、法会や遺墨展を催し"光琳百図"を刊行するなど、光琳芸術への傾倒を示した絶頂の時であった。

 「雪月花図」はその五年後に描かれた。左の松に雪、中央の月、右に桜が配され、さらりとした明るい表現とすっきりした構成が見事に調和している。なかでも桜図は、あまり太くない桜樹の一枝を画面下から伸ばし上を大きくあけている。これは雪や月とのバランスを考えたもので、宗達以来の琳派表現に江戸の粋な気質を合わせた、抱一独特の洒脱な表現が窺える逸品である。

 MOA美術館は、世界救世教教祖岡田茂吉師の遺志によって、昭和32年1月1日熱海美術館として開館、昭和57年減名称に変更した。尾形光琳筆の国宝「紅白梅図屏風」をはじめ、国宝3点、重要文化財60点を含む東洋古美術品三千数百点を所蔵している。

解説:MOA美術館学芸員 藤浦 正幸
初日カバーカシェ原画:有藤 寛一郎

※1993年当初の説明です。

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