笠貝島球状斑れい岩

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球状斑れい岩は球状部と球状部の間を充填する石基部に区別できる。球状部の大きさは2〜5cm。
【球状部】やや粗粒の中心部と細粒の周縁部に区別される。これは斜長石の分断の程度差よるもので、もとは同一粒度であったと考えられる。
【石基部】均質半自形の斜長石、磁鉄鉱、普通角閃石からなる斑れい岩質ペグマタイト様相。
この球状構造は、新たに網状に侵入してきた斑れい岩質ペグマタイトの液の影響で、球状に分断された結果と解釈される。交代作用は球体の中心まで均等に及ぶまでに至らず同心球構造が形成されたと考えられる。
<”宮城県、笠貝島斑れい岩体について”から要約>

論文では「網目状に侵入したマグマが球状部を形成した。交代作用の強さにより同心球状が出来た。」と読めますが、断面を観察すると、周縁部の有色鉱物は明らかに放射状に配列している、中心部の形状が球顆の形状に相似していることから中心部がマグマに取り込まれ、または、先行して晶出し、それを中心として周縁部が外側に成長したと考える方が合理的だと思います。
球顆がほぼ同じ大きさと考えると、均等なサイコロ状にマグマが侵入することも考え難いと思います。

《コラム》
展示した標本はリサイクルショップによると都内から入手したそうです。女川は東日本大震災で甚大な被害を受けた場所、笠貝島は津波が43.3mに達した場所でもあります。重量を考えたら被災した人が持ち込んだとは考えられず、復興応援された人が現地から引き揚げたモノかもしれません。
古くは比重が重いことから漬物石に利用されたり、模様の奇麗さから石材に使われたようです。江島の学校跡の門柱に、はめ込まれた球状岩が見られるそうです。天然記念物に指定された後も盗掘が問題になったようで、「めっきり少なくなった」と記録が残っています。漁師さんが小遣い稼ぎをしたのかもしれません。現在は上陸が制限され、ウミネコ・ウトウの繁殖地となっています。近海はラッコの生息でも有名です。

#笠貝島球状斑れい岩

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