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万双 ダレスバッグ
知る人ぞ知る上野御徒町の革製品の店「万双」。
店名は残っていた前の店の看板の店名をそのまま採用。「人様の物に自分の店の名前を入れるのはおかしい」という信条から、製品にはブランド名すら入れないという高潔な職人魂が生きる名店である。
そしてその名店の看板商品といえばこのダレスバッグ。
質実剛健で知られる英国のブライドルレザーを、信じられない技術によって柔らかな曲線に仕上げてしまった。金属部品は全て真鍮削り出し。錠前も町工場で手旋盤によって削り出されているという職人技の結晶である。
しかも高品質な逸品でありながら、「鞄に20万も30万も出して欲しくない」という信条から、その値段は10万円以下という破格さであるから恐れ入る。
中は3マチのものを選んだ。手帳からペンケース、水筒や弁当箱までぐんぐん呑み込んでくれる。
手に入れたばかりでブルームが残っているが、このブルームが取れて革がその艶を増していく頃には、この鞄が似合う人間になっていたいものである。