[0070] 第104期営業報告書

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株主の皆様へ

 第104期の営業報告書を株主の皆様にお届けするにあたり一言ご挨拶申しあげます。
 当期のわが国経済は,長期にわたり景気停滞基 調を続けておりましたが、 相次ぐ公定歩合の引下 げによる金融緩和政策をはじめ, 大型予算にもと づく公共投資の拡大などにより、漸く回復基調に 向ってまいりました。
 しかしながら, 一方ではイギリスにおけるボン ドの変動相場制移行, 引続く金価格の高騰などに より、昨年末に成立した国際通貨体制も不安と動 揺をはらむ波乱含みの様相を呈し, いまなお楽観 を許せないものがあります。
 自動車業界におきましては,かかる経済環境のもとでアメリカにおけるマスキー法と同様な措置が国内の公害対策推進の世論を背景に,「自動車 排出ガスの量の許容限度の設定方針」として環境庁より告示され、自動車をとりまく環境はますま す厳しさを加えてまいりました。
 当社はこのような客観状勢の中にあって、 安全・公害対策の推進をはじめ, 新製品の開発、生産 設備の増強,販売サービス網の拡充等, 経営各分野にわたり重点的な施策を講じてまいりました結 果,売上高 1,858億8千万円, 税引利益41億1千万円と前期を上回る実績を納めました。
 特に最近の動向としましては,本年10月, 当社独自のRE公害対策システム《マツダリープス》 を採用した世界初の公害対策量産車「ルーチェAP」をはじめとする画期的な新型ロータリーエン ジン車 「ルーチェ」シリーズを発表し,東京都を中心に大阪, 名古屋等の主要都心部における排気 ガスの稀薄化対策に積極的な企業方針を打ち出しましたので、 今後の当社の業績向上に大いに寄与 するものと確信いたしております。
 今後の方針といたしましては、他社に先がけてRE公害対策システムを開発し, 公害対策量産車 を完成させた当社の独創的な技術開発力を基盤といたしまして、 なお一層経営展開の可能性拡大に つとめ企業の発展に資する所存でございます。
 株主の皆様におかれましては,当社の将来に深いご理解をいただき倍旧のご支援を賜わりますよ うお願い申しあげます。

昭和47年12月

取締役社長 松田耕平

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